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豆乳の発酵システム
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- 【要約】
豆乳を発酵可能であり、発酵結果物が人の健康に資するような組成物を製造するための新規システムを提供する。
【解決課題】 豆乳に納豆菌を混合し、この豆乳を納豆菌の発酵に至適な温度を数時間以上維持できる加熱容器にセットしてなる豆乳の発酵システムである。 本発明によれば、豆乳を均一に発酵させたヨーグルト様の発酵組成物を得ることができた。この組成物中には大量の納豆菌が繁殖し、これにともなって大量の納豆キナーゼが存在する。よって、抗血栓作用など人体に対する健康増進機能が達成される。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆乳に納豆菌を混合し、この豆乳を納豆菌の発酵に至適な温度を所定時間維持できる加熱容器にセットしてなる豆乳の発酵システム。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆乳の発酵システムに係わり、特に、豆乳に納豆菌を混合させて豆乳を発酵させる方法に関するものである。このシステムは、豆乳中の納豆菌の発酵に適した温度を維持できる加熱器によって達成される。
【背景技術】
【0002】
この種の発酵システムとして、本願発明者によって提案されたものが存在する(特開平7−308151)。この発酵システムは、牛乳パックに腸内細菌からなる種菌を入れ、これを加熱容器にセットすることによって実現される。加熱容器はヒータと、加熱時間を制御するためのタイマとからなり、所定時間牛乳パックを加熱することによって牛乳が腸内細菌によって発酵されたヨーグルト様の食品が製造される。
【0003】
このヨーグルト様食品は、腸内細菌を多量に含んでおり、人がこれを食することによって腸内細菌叢を改善し、抗アレルギ効果等健康に寄与する生理作用をもたらすことになる。
【特許文献1】特開平7−308151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
豆乳を発酵可能であり、発酵結果物が人の健康に資するような組成物を製造するための新規システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、豆乳に納豆菌を混合し、この豆乳を納豆菌の発酵に至適な温度を数時間以上維持できる加熱容器にセットしてなる豆乳の発酵システムであることを特徴とするものである。この発酵の過程では、遠赤外線を利用することによって、豆乳が良好に発酵する。
【0006】
ここで、「良好に発酵」とは、発酵後の豆乳の外観が、液体状や固体状でもなく、適度な流動性を持ち、かつ発酵後の組成物の納豆菌数が高いレベルに至っている状態である。
【0007】
豆乳の発酵は、例えば、特開平7−308151公報の記載の加熱容器を用いることによって可能となる。加熱容器のヒータを遠赤外線ヒータに変えても良い。或いは、容器内壁に遠赤外線発生機能のあるフィルムやコーティングを施しても良い。豆乳の発酵に使用される微生物としては、市販の納豆種菌を用いれば良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、豆乳を均一に発酵させたヨーグルト様の発酵組成物を得ることができた。この組成物中には大量の納豆菌が繁殖し、これにともなって大量の納豆キナーゼが存在する。よって、抗血栓作用など人体に対する健康増進機能が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は発酵システムに使用される加熱装置の容器本体の断面図、図2は図1のA−A断面図である。この実施例は、容器本体と、この容器本体内に設けられた加熱装置と、容器本体に接続されたタイマー回路とから構成されている。
【0010】
容器本体は、製造装置内に栄養性培地或いは可食性培地としての豆乳と発酵用の納豆菌との混合物を収容するための空間を形成する。すなわち、この容器本体10は、図1,2に示されるように、内部に断面矩形の空間11を有する長方状の形状を備える。また、容器本体10は外側に臨む外容器12と内側部分を形成する内容器14から構成されている。
【0011】
この外容器12の上面は開放され、かつ底面部分に均等に4カ所U状に突出する支持脚16が一体に形成されている。この外容器12は、内部に断面矩形の空間18を有し、この空間18内に同様に断面矩形の第2の空間を有する内容器14が収容されている。この内容器14は外容器12内への収納が可能なようにその外壁部分が外容器の空間18の幅よりも若干狭く形成され、外容器12の内壁と内容器14の外壁との間に間隙22が形成されている。
【0012】
図2に示されるように、この間隙24は容器本体10の背面10Aに相当する、外容器12の内壁と内容器14の外壁との間で、それ以外の部分よりも広く形成されており、この広い間隙(以下、「広間隙」という)に後述するような加熱装置としての遠赤外線照射可能なヒータが配設されている。
【0013】
一方、内容器14の底面26は外容器12の底面28よりも上部に位置しており、両者はボルト30Aおよびナット30Bからなる連結機構によって締結される。すなわち、内容器14の底面26から外容器12に向け、かつ外容器12の底面28から内容器14に向けて円筒状の突片32A,32Bがそれぞれの中心位置で突設して設けられ、内容器14を外容器12内に挿入した際に両者の先端面が互いに整合するようになっている。そして、これら突片32A、32Bのそれぞれには円筒状のボルト穴30Aが構成され、ボルト31が内容器14からボルト穴に挿通され、外容器12の突片32A、32B内に挿通される。次いで、ナット30Bを外容器12側よりボルト31の先端に螺着する。このようにして、内容器14が外容器12内に固定される。
【0014】
図3は連結機構の拡大断面図であり、二つの突片32Aと32Bとの間にシール用のOリング34が介装されている。このようにすれば、二つの突片32Aと32Bとをガタつきなく完全に固定してシールすることができる。
【0015】
図1および図2に示すように、内容器14の上端部分は、内容器14が外容器12内に固定された状態で、外容器12の上端より上方に突出し、さらに底面方向に向かって、かつ外側に向けて屈曲し、その先端が外容器12の上端部分で終了している。
【0016】
図4に示すように、内容器14の先端部分の径方向内側に臨む部分が、ほぼ半分の肉厚で円周方向に沿って切り欠かれ、外容器12の先端部分はその外壁からほぼ半分の肉厚で円周方向に沿って切り欠かれている。したがって、内容器14の先端と外容器12の先端とは、外容器12内に内容器14を固定した時、互いに係合される。そして、両者の間には、望ましくは、防水性等を目的としたシール部材としての環状のパッキン36を周設する。また、両者を直接接着剤(材)によってシールしても良い。
【0017】
図5乃至7は、内容器14を拡大して示すものであり、この内容器14の背面38(広間隙24に臨む部分)と底面26(図7参照)には、加熱装置としてのヒータ40が配設されている。このヒータ40は、背面を長さ方向に蛇行し、かつ底面部分も蛇行するように連続して配設され、これら二つの面を同時に広く加熱できるようになっている。
【0018】
また、内容器14の背面38、左右の側面、および正面には、保温用および背面に設けられたヒータ40による加熱を背面以外の他の面にも及ぼすための伝熱手段としての2重層アルミニウム箔44が、ヒータ40を覆うように一連に巻き回されている。また、このアルミ箔44は底面26にも添着されている。
【0019】
ヒータ40の途中には、温度制御手段としてのTRS(サーモスイッチ:設定温度以上になると閉じ、それ以下であると開くスイッチ)46が設けられている。内容器14の背面38に設けられたヒータ40は、広間隙24内に納まるため、内容器14を外容器12内に収容する際にヒータ40が外容器12内壁に当接して内容器14の挿入が妨げられることはない。
【0020】
図8は外容器12の全体を示す斜視図であり、その背面部分に遠赤外線ヒータ40に通電するためのマグネット式コード受け口48が存在する。この受け口48は内容器14を外容器12にセットした際にヒータ40と電気的に接続するように構成されており、そして、図9に示す電源コード50がこの受け口48にセット可能になっている。
【0021】
この電源コード50は、その先端にマグネット式受け口48に脱着可能な差し込み部52と、他端には家庭用電源に差し込み可能なプラグ54が設けられ、その途中にはタイマー回路56を備える。このタイマー回路の正面には、加熱装置への通電時間を設定するためのタイマー摘み58が設けられている。
【0022】
図10は、電気回路の回路図を示すものである。したがって、差し込み部52を受け口48に接続し、そしてタイマー摘み58を所望時間に設定することにより、その間、前記ヒータ40に通電することができる。
【0023】
図1,2に示す符号60は、栄養性培地(可食性培地)としての豆乳が収容される容器を示すものであり、好ましくは1000ccの豆乳を入れることができる容器である。容器本体10の内容器14内の空間は、このような容器を収容できる形状および体積に形成される。
【0024】
図5に示すように、ヒータ40は、これらの容器を十分加熱できるように、内容器14の背面38の底部から上部にかけて設けられている。容器本体10の高さは適宜変更できる。また、図11に示すように、容器本体10を保温の目的で蓋64によって覆うようにしても良い。なお、図1,2の符号60および図12の符号15は豆乳用パックとは異なる主として樹脂製の別容器を示し、市販の豆乳パック内の豆乳をこれに移し換えるようにして使用することもできる。
【0025】
次に本実施例の動作について説明する。この実施例では、前記納豆菌の乾燥粉末菌体(高橋佑蔵研究所製)と市販のパック入り豆乳1リットルを使用した。菌が混入された豆乳(1000ccの)を容器60に移し替えて、これを容器本体10の内容器14内に挿入して、タイマー摘み58を微生物の増殖(発酵)に適した時間に設定する。通常、5乃至20時間である。本実施例の場合は、8乃至15時間である。この間、ヒータ40は通電されて、ヒータ40が発酵に適した温度まで豆乳を加熱すると共に、温度維持手段46によって発酵に対して適温(36乃至44℃、好ましくは37℃乃至40℃)に維持する。
【0026】
この加熱に際して、ヒータ40が、内容器14の底面26の広い領域に設けられているために、底面26のほぼ全面よりパック内の豆乳が加熱される。加熱されて比重が軽くなった豆乳は、その上部にある加熱されていない豆乳と順次対流し、豆乳パックの全体が均一に微生物の増殖に適した温度に加熱される。しかも、内容器14の背面38にもヒータ40が設けられているために、発酵に適した温度まで短時間で到達するようになる。
【0027】
したがって、栄養性培地(豆乳)が内容器14の背面38に設けられたヒータ40によってその高さ方向から加熱されると共に、内容器14の底面26に設けられたヒータ40によって、その径方向からも加熱されることによって、栄養性培地と細菌との混合物の全体を均一かつ迅速に加熱することができる。しかも、ヒータ40は内容器14の底面26および背面38に設けられているだけなので、装置を必要以上に大型化することなく、かつコストの増大を招くこともない。
【0028】
実公昭60−38382号公報記載の装置では、本実施例の装置のように、ヒーターが底面のほぼ全面に設けられていないために、豆乳パックの加熱が局所的になり、豆乳の発酵(菌の増殖)が部分的に進む。発酵した部分では流動性が低下し、その後もこの状態で加熱が進行するから、最も温度が高い部分(CC)と最も温度が低い部分(AA)との間に約15ないし17℃の差が生じてしまう。最も温度が高い部分では、菌の発育至適温度を越えてしまう。出来た後の製品を観察すると、部分的に塊となったところが多く観察された。
【0029】
一方、本実施例の装置では、既述のように、豆乳(可食性培地)の発酵中に培地が均一に加熱されることから、豆乳がその全体にわたってほぼ均一に加熱され、出来たヨーグルト様な半固形性或いは流動性を持った製品を観察すると、底から上にかけて均一な性状(粘度、流動性等)を持っていることが確認された。
【0030】
そして、本実施例の製造装置によれば、アルミ箔44によって加熱装置からの熱量が外容器方向に逃げないようにするとともに、内容器の背面38にあるヒータ40の熱量を、内容器14の左右の側面および正面にも及ぼすようにすることができる。また、ヒータ40を内容器14の底面および背面に設けているだけなので、装置が大型にならず、かつコストの増大を来すこともない。
【0031】
本発明の容器本体10は好適には樹脂によって構成される。そのうち、内容器14は熱伝導性の良好な材料(例えば、塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン樹脂)で構成することが望ましく、外容器12は断熱性に優れた材料(例えば、ポリスチレン、ABS)で構成することが望ましい。
【0032】
ヒータに代えて、内容器14の外容器12側の面と、内側空間20側の面の少なくとも一面(この面の一部あるいは大部分)に遠赤外線発生用セラミックスを固定すれば良い。このようなセラミックスとしては、日本板硝子(株)製のラジエコーパウダーを使用できる。このセラミックスは板状(カード状)に予め成形し、これを内容器14の面に接着するようにすると製造が容易になる等好ましい結果が得られる。
【0033】
また、このセラミックスは容器15の内面及び外面の少なくとも一つの一部あるいは全部に設けられることがさらに良い。そしてまた、別容器15の側面を中に空間を備えた二重構造とし、この空間内にセラミックスを配設した構造としてもよい。
【0034】
そして、この場合には、セラミックスが、直接栄養性倍地と接触することがなく、手入れが簡単になるという利点が得られる。遠赤外線セラミックは、ヒータ40の加熱によって遠赤外線を発生する。遠赤外線は栄養性培地の内部まで浸透しこれを効果的に加熱することができる。したがって、加熱時間を短くし、かつ加熱を広範に行うことができる。セラミックスが設けられている面積あるいは体積が増えることにより、発生する遠赤外線量を増大することができる。
【0035】
また、ヒータの配列パターンは、内容器の幅方向に往復(蛇行させても良い。)させ、隣接するヒータの間隔を狭くすることにより、栄養性培地を広い範囲で加熱することができる。
【0036】
遠赤外線を利用すると、豆乳を加熱開始後ほぼ30分程度で発酵至適温度まで加熱することができる。本発明によれば栄養性培地のほぼ全体を均一に加熱できることから、共通した至適温度に栄養性培地全体を維持できる。これに対して、従来の製造装置によれば、温度が高くなる容器底部の培地において、一つあるいは複数の菌の至適温度を越え、これらの菌が死滅あるいは増殖しないおそれがある。複数の菌が全て増殖して栄養性培地を均一に発酵させることにより、全ての有効成分を含む発酵製品を得ることができる。また、加熱開始後素早く適温まで加熱することができない。
【0037】
本実施例による豆乳の発酵の持続は、発酵が豆乳の全ての領域に及ぶ程度の時間であることが好ましい。この時間は、前述のとおり、1リットルの豆乳パックを用いて、ほぼ8乃至15時間であることが好ましい。
【0038】
発酵の持続期間の調整は、加熱時間によって調整することの他、豆乳パック内の温度差を検出することによっても可能である。すなわち、豆乳パック内で発酵が始まると、パックの上中下の各部分において、温度差が生じてくる。約8時間経過時点から温度差が生じる。発酵の程度がほぼ良好と考えられる10乃至14時間の範囲では、豆乳パックの下と上で約6乃至10℃の温度差が観察される。したがって、この温度差を豆乳パック内に入れた熱電対等の温度計によって検出することにより加熱の終了を知ることができる。例えば、豆乳パック内の上部と下部に温度センサを入れ、このセンサの信号を受信したマイクロコンピュータが予め設定されている温度差に至ったことを判断して通電する回路のスイッチをオフするようにすれば良い。
【0039】
豆乳が投入された容器の回りに巻き付けられる、樹脂製の柔軟材と、この本体を豆乳が入った容器内に巻き付けた後、これを固定するマジックテープと、を備え、柔軟材の中に既述の遠赤外線ヒータによって、豆乳が入った容器の全体を均一に加熱するものを加熱装置として利用することもできる。
- 【公開番号】特開2007−3(P2007−3A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【発明の名称】豆乳の発酵システム
【発明者】
【氏名】山田 武敏
- 【出願番号】特願2003−329797(P2003−329797)
【出願日】平成15年9月22日(2003.9.22)
【出願人】
【識別番号】393004351
【氏名又は名称】山田 武敏
- 【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
【識別番号】100080953
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 克郎
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
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