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原料の定量を容器に充填する半自動システム
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- 【要約】
【課題】 従来の手作業は上腕と肘、前腕と手を1日に数千回も伸び縮みさせて作業をしているために、腱鞘炎になったり、疲労して処理速度を落とす要因になっていて問題があった。他方、機械による自動化は高価な設備費の割には処理できる原料が限られており、人手作業の効率性を加味した半自動充填システムを提供する。
【解決手段】 トレー自動供給機から取り出された容器を間欠移動式コンベアで間欠的に移送しながら、その容器に一切手を触れることなく、間欠移動式コンベアに隣接して置いたコンテナー内の原料の適量を両手を使って粗充填した容器を計量器の上に移送して計量器で計量し、あらかじめ設定しておいた上限値と下限値の間の目的の重量から外れた場合にのみ手作業で補正する充填作業において、上腕と肘をほぼ体側部に固定した状態で前腕と手の動きのみで作業の動きを最小限にして作業者の疲れを軽減し、効率を上げるようにする。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレー自動供給機から取り出された容器を間欠移動式コンベアで間欠的に移送しながら、その容器に一切手を触れることなく、間欠移動式コンベアに隣接して置いたコンテナー内の原料の適量を両手を使って粗充填した容器を計量器の上に移送して計量器で計量し、あらかじめ設定しておいた上限値と下限値の間の目的の重量から外れた場合にのみ手作業で補正する全ての工程を作業者が定位置で動くことなく、上腕と肘をほぼ体側部に固定した状態で前腕と手の動きのみの範囲内で作業ができるようにしたことを特徴とする原料の定量を容器に充填する半自動システム
【請求項2】
上記計量器は定量とする重量範囲である上限値と下限値を設定しておき、その範囲内に入ると間欠移動式コンベアは自動的に間欠移動し、外れると一次停止するようにしたり、あるいは別途押しボタンスイッチやセンサーを備えておき、作業者の判断でそれを手で押したり、遮ぎったりして強制的に容器を計量器から払い出し移送できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の原料の定量を容器に充填する半自動システム。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総菜などの食品原料の定量を容器に効率良く充填する半自動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
総菜のような食品原料は、構成する素材が均一に分布しておらず、また素材どうしが紐状に絡み合ったりしているために機械で自動的に定量を取り出すことは困難であった。そのために、容器を手に持って手作業で充填して計量器に載せて計量している。
【0003】
図4に示すように、手作業では、作業テーブル8を前にして作業者が立つ。その前に原料を入れたコンテナー5(多くはプラスチックス製で、寸法が縦600mm、横400mm、深さ160mm程度の大きさ、惣菜では約15kg程度が入っている。)を置き、コンテナー5の向こう側に計量器6を置く。さらに、その隣にあらかじめ生産したい個数を数えておいた容器3を置く。そして、作業者4が左手で容器3を1枚ずつ取り上げ、これにコンテナー5の中の原料から定量に近い大体の分量を右手でつかんで盛り付ける。これを計量器6の上に載せて重量表示盤の数値を見て定量(通常は値付ラベルに表示する重量の+5%以内程度の重量)にあるか否かを判断する。範囲外であれば補正し、範囲内であれば容器を計量器6から取り上げて隣接するベルトコンベア10に移し変える。この一連の作業は全て手作業で行われている。
【0004】
この作業を自動化しようとした本発明者による実施例がある。その一つの実施例は、スクリュー式充填装置を使用して各原料ごとのスクリューの回転数に対応した排出量をあらかじめ知っておいて、目的の重量を排出する間だけスクリューを回転して、その間だけシャッターを開き、スクリューの回転が停止すると同時に、シャッターを閉じて自動充填する装置がある。(非特許文献1参照)
【0005】
あるいは、上記スクリュー式充填装置を使用して定量を少し下回る大部分の重量を粗充填機で粗充填した後、残りの少量の不足分を補正充填機で補正充填しようとしたり、スクリューの回転と連動してシャッターを開閉して定量を自動充填しようとする実施例もある。(非特許文献2参照)
その他には、他の発明者らによるコンピュータスケールを利用した実施例もある。
【0006】
それらの技術はすでに実施されている。
【0007】
【非特許文献1】 特願平2001−123567号
【非特許文献2】 特願平2001−123566号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、広く実施されている手作業では生産性が悪く、作業者を多く必要とするため人件費が高く付き利益率を著しく低下させていた。これを解決するためになされた自動充填装置では原料が多品種になると原料が入れ替わるたびに装置を洗浄しなければならないから、原料の切り替えによる時間ロスが大きくて自動充填の恩恵が損なわれるばかりか、自動充填をできる原料も限られ、高額の設備費を必要とする割には投資効果が小さい結果に終わっていた。
【0009】
ところが、本発明者らによる作業分析の結果、手作業による方法には機械による自動化にない利点が数々あることが判明した。
すなわち、手作業では計量器で計量する前の粗充填の段階では視覚と触覚を働かせてそれに近い重量を判断して容器に充填しているが、経験を積むとかなり正確に粗充填している。
【0010】
また、上記の作業分析結果により手作業の大部分が運搬作業であることが判明した。すなわち、▲1▼処理したい個数の容器を数えて準備し、それを1枚ずつ左手で取り出す運搬、▲2▼この容器を左手で持ち、右手で原料をつかんで盛り付ける運搬、▲3▼盛り付けた容器を計量器の上に置く運搬、▲4▼重量が定量の範囲から外れていたときに容器から原料の一部を取り除いたり、あるいは足し増ししたりする補正充填の運搬、そして▲5▼定量になれば容器を計量器から取り除いて隣接するベルトコンベアに移し変える運搬で構成されていることがわかる。
しかしながら、これらの全ての作業は手作業であるために手間がかかるだけでなく、1日に数千回も腕を上下させたり伸び縮みさせたりしていると腱鞘炎になったり、疲労して処理速度を落とす要因になっている。その結果、作業者1人当たりにつき1分間に4〜5個程度しか処理することができないから人海戦術に頼らざるを得ず、それだけ人件費の負担が増して採算割れの事態を招くこともある。この作業を省力化することが業界に残された最大の課題であった。
【0011】
本発明は、上記のような従来の問題を解決しようとするものであり、本発明者は従来の手作業の利点と機械化による利点とを組み合わせることによって作業の効率化をはかり、生産性を高めることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するために、トレー自動供給機から取り出された容器を間欠移動式コンベアで間欠的に移送しながら、その容器に一切手を触れることなく、前方に置いたコンテナー内の原料の適量を両手を使って容器に粗充填する。その容器は間欠移動式コンベアで計量器の上に移送される。計量器ではあらかじめ設定しておいた上限値と下限値の間の目的の重量から外れた場合にのみ手作業で補正する。間欠移動式コンベアの幅はほぼ容器の寸法に近く、その前に置かれたコンテナーは作業者のほぼ前腕と手の届く範囲内にある。すなわち、作業者が定位置で動くことなく、上腕と肘をほぼ体側部に固定した状態で前腕と手の動きのみの範囲内で作業ができるようにして、作業者の無駄な動きをなくして疲れを軽減する。
【0013】
また、上記計量器は定量とする重量範囲である上限値と下限値を設定しておき、その範囲内に入ると間欠移動式コンベアは自動的に間欠移動し、外れると一次停止するようにしたり、あるいは別途押しボタンスイッチやセンサーを備えておき、作業者の判断でそれを手で押したり、遮ぎったりして強制的に計量を終了させて容器を計量器から払い出して移送できるようにする。
【0014】
上記構成によれば、前記した▲1▼の運搬では容器の取り出しをトレー自動供給機で自動化し、手作業から解放する。そして、▲2▼の運搬では間欠移動式コンベアの前に置かれたコンテナーの中の原料を両手を使って容器に定量に近い適量を充填する。容器を一方の手(左手)で持つ必要がなくなったので、両手を使って原料を容器に充填することができる。上記の適量とは、作業者が慣れるとほぼ定量に近い重量を指す。そして、▲3▼から▲5▼の運搬では充填された容器は自動的に間欠移動されて末尾に取り付けた計量器上に載り(あらかじめ定量とする重量の上限値と下限値が入力設定されている)、計量器で計量する。この重量範囲に入ると間欠移動式コンベアは移送するが、外れると一次停止するように制御する。この時、作業者は上限値よりも多ければ原料の一部を取り除き、下限値よりも少なければ足し増しをして補正する。あるいは、処理速度を速くするために計量器による信号を待たずに、作業者の判断で押しボタンスイッチを押したり、あるいはセンサーを手で遮ったりして強制的に移送させる機能も持たせておくと、計量器からの応答時間による時間待ちを短縮することができる。
【0015】
上記トレー自動供給機にカウンターを取り付けておくことによって、処理したい枚数になるとトレー自動供給機を停止するようにしておけば、上記▲1▼の運搬の一部が省力化され、あらかじめ処理したい容器の枚数をいちいち数えて前準備する必要がない。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記のように構成されるので、作業の中に取り込まれた運搬の距離を最短にして作業者の手の届く範囲内の定位置で全ての作業を実施することができるから、作業効率を上げることが出来た。
従来のように、作業者は上腕と前腕を激しく上下させたり、伸縮させたりする必要がなく、上腕と肘を体側部にほぼ固定して前腕と手だけの最小限の動きで作業を進めることができるから、疲れも少なく効率を上げることができるとともに腱鞘炎になる恐れもなくなった。
【0017】
また、作業者は容器に一切触れる必要がなくなり、充填作業にのみに専念することができるのみならず、両手を使って充填することができるようになったから処理速度が速くなった。
【0018】
計量器で自動的に定量を判断させる機能と、押しボタンスイッチやセンサーを併設して強制処理もできる機能を持たせたから、計量器による自動計量処理だけに頼らず、作業者の判断で処理を完了することもできるので一層処理速度が速くなった。
【0019】
原料の切り替えが頻繁であっても、原料別に準備されたコンテナーを入れ替えるだけですむから、原料が頻繁に代わってもそのたびに洗浄する必要がなく、洗浄による時間ロスがなくなり生産性が向上した。
【0020】
従来は作業者1人で1分間に4〜5個程度しか処理する能力がなかったが、本発明によれば、その約2倍近くも処理速度を上げることができるようになった。
【発明の実施するための最良の形態】
本発明の実施例の形態を図1ないし図3にもとづいて説明する。
【0021】
間欠移動式コンベア(バーコンベア)1の先頭にトレー自動供給機2を配置し、これで容器3を1枚ずつ取り出しては間欠移動させる。そして、この間欠移動式コンベア1の前に作業者4が立ち、これを挟んで向かい側に原料を入れたコンテナー5を置く。
他方、上記間欠移動式コンベア1の末尾に上限値、および下限値を設定できる計量器6を配置する。この計量器6の重量表示盤は計量台とは分離して間欠移動式コンベアの上方の作業者の見やすい位置に設置しておく。作業者は、トレー自動供給機2から取り出され、間欠移動式コンベアで間欠移送される容器3内に、コンテナー5から両手で原料の適量をつかみ、充填する。その容器3は間欠移送されて計量器6上に載る。その時の重量が上限値と下限値の範囲内に入ればそのまま移送され、範囲から外れると一次停止する。上限値から外れた重量の原料を容器3から取り除くかあるいは足し増しする。その重量範囲内に入れば移送される。あるいは、計量器6からの信号よりも速く作業者の判断で重量範囲に入っていることが確認できれば、押しボタンスイッチを押すかセンサーを手で遮ることによって強制的に払い出してしまうこともできる。このようにして、次々に容器3内に定量の原料が充填されて移送される。
【0022】
図3に示すように、間欠移動式コンベア1の両側にL字型のガイド板7を取り付けておくと、容器3内に充填するときに容器3が動かないので充填しやすくなる。
このガイド板7に蝶板を取り付けて前後に倒せるようにしておけば、容器3を簡単に取り出すことができて便利である。
- 【公開番号】特開2007−30979(P2007−30979A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【発明の名称】原料の定量を容器に充填する半自動システム
- 【出願番号】特願2005−237993(P2005−237993)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】
【識別番号】592104003
【氏名又は名称】株式会社産業機器研究所
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