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電子線殺菌装置
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- 【要約】
【課題】 ボトルキャップを低コストで殺菌する電子線殺菌装置を提供する。
【解決手段】 電子線殺菌装置は、ペットボトルを第1経路に沿ってガイドする第1搬送部と、ボトルキャップを第2経路に沿ってガイドする第2搬送部と、電子線発生装置が発生する電子線を第1のタイミングで第1経路に照射し、電子線発生装置が発生する電子線を第2のタイミングで偏向して第2経路に照射する電子線照射装置とを備える。一つの電子線発生装置によってペットボトルとボトルキャップを並行して殺菌するため、設備コストが低く抑えられる。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1搬送物を第1経路に沿ってガイドする第1搬送部と、
第2搬送物を第2経路に沿ってガイドする第2搬送部と、
電子線発生装置を備え、前記電子線発生装置が発生する電子線を第1のタイミングで前記第1経路に照射し、前記電子線発生装置が発生する電子線を第2のタイミングで偏向して前記第2経路に照射する電子線照射装置
とを具備する
電子線殺菌装置。
【請求項2】
請求項1に記載された電子線殺菌装置であって、
前記第2搬送部は前記第1搬送物である容器に装着されるキャップを前記第2搬送物として支持する
電子線殺菌装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された電子線殺菌装置であって、
前記電子線照射装置は第1走査方向に沿って前記第1経路に電子線を照射し、
前記第1走査方向の水平面への射影は、前記第1経路の水平面への射影に対して傾いている
電子線殺菌装置。
【請求項4】
請求項3に記載された電子線殺菌装置であって、
前記電子線照射装置は前記第1走査方向と平行な第2走査方向に沿って前記第2経路に電子線を照射する
電子線殺菌装置。
【請求項5】
請求項3に記載された電子線殺菌装置であって、
前記第1経路と前記第2経路とは略平行であり、
前記電子線照射装置は前記第2経路に略平行な第2走査方向に沿って前記第2経路に電子線を照射する
電子線殺菌装置。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載された電子線殺菌装置であって、
前記第1経路と前記第2経路とは鉛直方向に高さが異なる
電子線殺菌装置。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載された電子線殺菌装置であって、
前記電子線照射装置は、
前記電子線発生装置から前記第1経路の方向に第1走査角度で広がる第1スキャンホーンと、
前記電子線発生装置から前記第2経路の方向に前記第1走査角度よりも小さい第2走査角度で広がる第2スキャンホーン
とを備える
電子線殺菌装置。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載された電子線殺菌装置であって、
前記第2搬送部は、自転を伴って前記第2経路を通過するように前記第2搬送物を前記第2経路に沿ってガイドする
電子線殺菌装置。
【請求項9】
請求項1乃至8に記載された電子線殺菌装置と、
前記電子線殺菌装置が設置される殺菌室と、
前記殺菌室において電子線を照射された前記第1搬送物が自動的に運び込まれる充填室と、
前記充填室に設置され、前記第1搬送物の開口を通して内部に内容物を充填する充填装置と、
前記充填室において前記内容物を充填された前記第1搬送物と前記殺菌室において電子線を照射された前記第2搬送物とが自動的に運び込まれるキャッパ室と、
前記キャッパ室に設置され、前記第1搬送物の開口を前記第2搬送物を装着することによって塞ぐキャッパ装置
とを具備する
充填システム。
【請求項10】
請求項1乃至8に記載された電子線殺菌装置であって、
更に、前記第1経路と前記第2経路とを格納し、外部よりも清浄度が高い殺菌室
を具備し、
前記電子線照射装置の表面のうち前記電子線の照射口を含む一部は前記殺菌室の内部に位置し、
前記表面のうちの他の一部は前記外部に位置する
電子線殺菌装置。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルキャップを殺菌する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ペットボトル等の食品容器を製造し、内容物を充填してボトルキャップを装着する工程において、殺菌をする技術が重要である。通常、殺菌は過酸化水素に例示される薬剤を用いて行われる。
【0003】
薬剤の使用に代えて電子線を用いて殺菌する技術が検討されている。電子線を用いた殺菌は、薬剤を使用しないことから、薬剤のコストが不要となること、薬剤をすすぐ工程が不要となること等の点で優れている。
【0004】
特許文献1には、殺菌を短時間で行うことができ、ラインの高速運転が可能であり、しかも、装置全体を大型化する必要のないキャップ殺菌装置を提供することを目的とするキャップ殺菌装置が記載されている。
【特許文献1】特開2002‐128030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ボトルキャップを確実に殺菌することを可能にする電子線殺菌装置を提供することである。
本発明の他の目的は、構成が簡易な電子線殺菌装置を提供することである。
本発明の更に他の目的は、安価な電子線殺菌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0007】
本発明による電子線殺菌装置は、第1搬送物(52)を第1経路(18)に沿ってガイドする第1搬送部と、第2搬送物(54)を第2経路(20)に沿ってガイドする第2搬送部と、電子線発生装置(36)を備え、電子線発生装置(36)が発生する電子線を第1のタイミングで第1経路(18)に照射し、電子線発生装置(36)が発生する電子線を第2のタイミングで偏向して第2経路(20)に照射する電子線照射装置(21)とを具える。
【0008】
こうした構成によれば、複数の経路の各々に沿って搬送される殺菌対象物、例えばボトルとボトルキャップに対して、ひとつの電子線発生装置をタイムシェアリングすることによって能率的殺菌を行うことが可能である。搬送経路は、3つ以上であってもよい。その場合、電子線発生装置は、3つ以上の経路に対してタイムシェアリングして電子線の照射を行う。
【0009】
本発明による電子線殺菌装置において、第2搬送部は第1搬送物である容器(52)に装着されるキャップ(54)を第2搬送物として支持する。
【0010】
本発明による電子線殺菌装置において、電子線照射装置(21)は第1走査方向(y)に沿って第1経路(18)に電子線を照射する。第1走査方向(y)の水平面への射影は、第1経路(18)の水平面への射影に対して傾いている。
【0011】
本発明による電子線殺菌装置において、電子線照射装置(21)は第1走査方向(y)と略平行な第2走査方向に沿って第2経路(20)に電子線を照射する。
【0012】
本発明による電子線殺菌装置において、第1経路(18)と第2経路(20)とは略平行である。電子線照射装置(21)は第2経路(20)に平行な第2走査方向に沿って第2経路(20)に電子線を照射する。
【0013】
本発明による電子線殺菌装置において、第1経路(18)と第2経路(20)とは鉛直方向に高さが異なる。
【0014】
本発明による電子線殺菌装置において、電子線照射装置(21)は、電子線発生装置(36)から第1経路(18)の方向に第1走査角度(θM)で広がる第1スキャンホーンと、電子線発生装置(36)から第2経路(20)の方向に第1走査角度よりも小さい第2走査角度(θS)で広がる第2スキャンホーンとを備える。
【0015】
本発明による電子線殺菌装置において、第2搬送部は、自転を伴って第2経路(20)を通過するように第2搬送物(54)を第2経路(20)に沿ってガイドする。
【0016】
本発明による充填システムは、本発明による電子線殺菌装置と、電子線殺菌装置が設置される殺菌室(4)と、殺菌室において電子線を照射された第1搬送物が自動的に運び込まれる充填室(8)と、充填室に設置され、第1搬送物の開口を通して内部に内容物を充填する充填装置(30)と、充填室において内容物を充填された第1搬送物と殺菌室において電子線を照射された第2搬送物とが自動的に運び込まれるキャッパ室(10)と、キャッパ室に設置され、第1搬送物の開口を第2搬送物を装着することによって塞ぐキャッパ装置(32)とを備える。
【0017】
本発明による電子線殺菌装置は、第1経路と第2経路とを格納し、外部よりも清浄度が高い殺菌室を備える。電子線照射装置の表面のうち電子線の照射口を含む一部は殺菌室の内部に位置する。表面のうちの他の一部は外部に位置する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ボトルキャップを確実に殺菌することを可能にする電子線殺菌装置が提供される。
更に本発明によれば、構成が簡易な電子線殺菌装置が提供される。
更に本発明によれば、安価な電子線殺菌装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0020】
(実施の第1形態)
本実施の形態におけるキャップ殺菌装置は、ペットボトル52とボトルキャップ54を殺菌するために使用される。図23には、ボトルキャップ54の構成が示されている。ボトルキャップ54は、中心軸66を中心として略回転対称な円筒形状をしている。ボトルキャップ54は、ペットボトル52に装着されたときに外側に露出する筒状の曲面である側面80を有する。側面80には、周方向に直交する凹凸が設けられている。ボトルキャップ54は、ペットボトル52に装着されたときに外側に露出する円形の面である上面82を有する。上面の反対側には、ペットボトル52にねじ込むための開口86が設けられている。開口86の内側の内側面84には、ペットボトル52に設けられたおねじと螺合するめねじが設けられている。
【0021】
図1は、本実施の形態におけるボトルキャップ殺菌装置が適用される食品容器充填システムの構成を示す。食品容器充填システム2は、ペットボトル52の流れに沿って上流側から順に、殺菌室4、すすぎリンサ室6、充填室8及びキャッパ室10を備える。これらの室はすべてクリーンルームである。
【0022】
殺菌室4は、飲料が充填されるペットボトル52を殺菌室4に導入するためのボトル入口12と、ボトル入口12から導入されるペットボトル52をすすぎリンサ室6の入口まで所定のボトル経路18に沿って搬送する搬送装置とを備える。ボトル経路18の途中には、ペットボトル52に電子線を照射して殺菌するための電子線照射装置21が設置される。殺菌室4は更に、ボトルキャップ54を殺菌室4に導入するためのキャップ入口14と、キャップ入口14から導入されるボトルキャップ54をキャップ経路20に沿って殺菌室4の外部まで導く搬送装置を備える。キャップ経路20の一部は、電子線照射装置21による電子線の照射範囲の中に位置する。その照射範囲の上流側には、ボトルキャップ54を電子線照射装置21に送るためのキャップ送り装置16が設置される。その照射範囲の下流側には、電子線照射装置21から送られてくるボトルキャップ54を受け取って下流側に送るためのキャップ受取装置24が設置される。キャップ受取装置24から送られるボトルキャップ54は、キャップ経路26に沿って無菌環境下で殺菌室4からキャッパ室10に搬送される。
【0023】
すすぎリンサ室6は、殺菌室4から搬送されたペットボトル52を水、空気等によってすすぐ装置であるすすぎリンサ28と、すすがれたペットボトル52を充填室8に搬送する搬送装置とを備える。充填室8は、すすぎリンサ室6から搬送されたペットボトル52に飲料を充填する装置である充填機30と、飲料が充填されたペットボトル52をキャッパ室10に搬送する搬送装置とを備える。キャッパ室10は、充填室8から搬送されたペットボトル52に、キャップ経路26を通って搬送されたボトルキャップ54を装着する装置であるキャッパ32と、ボトルキャップ54が装着されたペットボトル52をボトル出口34に搬送する搬送装置とを備える。
【0024】
図2は、電子線照射装置21の構成を示す正面図である。電子線照射装置21は、図2の上側、すなわち図に描かれた直交座標系におけるz軸の正の向きが鉛直方向の上側となるように設置される。電子線照射装置21は電子線供給部36を備える。電子線供給部36は、図2のy軸方向に電子線を走査しながら供給することができる。電子線のエネルギーは900KeV程度である。
【0025】
電子線照射装置21は更に、スキャンホーン22aを備える。スキャンホーン22aは、電子線供給部36によって供給される電子線が通過する空洞を内部に有する。その空洞は、電子線供給部36から鉛直方向下側に向かって電子線の走査方向に広がるテーパ形状をしている。スキャンホーン22aの内部の空洞は後述するようにx軸方向に二股に分岐している。第1の分岐した空洞の下端は、メイン電子線照射口38に取り付けられる薄膜によって密閉される。第2の分岐した空洞の下端は、メイン電子線照射口38に重なるため描かれていないサブ電子線照射口に取り付けられる薄膜によって密閉される。
【0026】
メイン電子線照射口38とサブ電子線照射口とは殺菌室4の内部に面する。電子線照射装置21のうち、メイン電子線照射口38とサブ電子線照射口を除く部分は、殺菌室4の外部に位置することが好ましい。その外部は、要求される清浄度が殺菌室4よりも低い。こうした構成によれば、電子線発生装置のうちの殺菌室の外部に位置する部分をメンテナンスすることが容易である。
【0027】
電子線照射装置21によって電子線が照射される照射範囲に、ペットボトル52の通過する経路が設置される。ペットボトル52は、下方から支持部材によって支持される。パイプスクリュー40‐1は、軸受け42‐1によって支持される回転軸を中心にして回転することによってその回転軸と平行な方向にペットボトル52を搬送する。ペットボトル52の搬送経路の鉛直方向下側には、電子線を反射する反射板46が設置される。パイプスクリューの上側には、ペットボトル52の上部と高さが重なる位置に、電子線を反射する反射板48が設置される。軸受け42‐1に対してパイプスクリュー40‐1の反対側には、ペットボトル52の搬送経路に沿って、パイプスクリュー40‐1と高さが重なる位置に、反射板44‐1が設置される。
【0028】
図3は、電子線照射装置21の構成を示す上面図である。前述したように、スキャンホーン22aの下端はメイン電子線照射口38とサブ電子線照射口50aとに分岐する。図3においては電子線供給部36とスキャンホーン22aとが省略され、メイン電子線照射口38とサブ電子線照射口50a及びそれよりも鉛直方向下側の構成が描かれている。
【0029】
メイン電子線照射口38の長手方向とサブ電子線照射口50aの長手方向とは略平行である。メイン電子線照射口38の下方には、ペットボトル52の搬送経路が設置される。ペットボトル52の搬送方向の水平面に対する射影と、メイン電子線照射口38の長手方向の水平面に対する射影とは、平行ではなく傾いている。図3においては、ペットボトル52はy軸の正方向に搬送され、かつy方向よりも小さい速度でx軸の負方向に搬送される。
【0030】
ペットボトル52は、電子線照射範囲の上流域において、一側面が反射板44‐1に接し、反対側の一側面がパイプスクリュー40‐2に接した状態で、軸受け42‐2を中心としたパイプスクリュー40‐2の回転により下流側に搬送される。
【0031】
ペットボトル52は、電子線照射範囲の中流域(即ち、軸受け42‐1よりも下流側且つ軸受け42‐2よりも上流側)において、一側面がパイプスクリュー40‐1に接し、反対側の一側面がパイプスクリュー40‐2に接した状態で、同じ速度で回転するパイプスクリュー40‐1、40‐2の回転により下流側に搬送される。
【0032】
ペットボトル52は、電子線照射範囲の下流域(即ち、軸受け42‐2よりも下流側)において、一側面が反射板44‐2に接し、反対側の一側面がパイプスクリュー40‐1に接した状態で、パイプスクリュー40‐1の回転により下流側に搬送される。
【0033】
サブ電子線照射口50aの下方には、ボトルキャップ54が通過するキャップ経路20aが設置される。電子線照射範囲において、サブ電子線照射口50aの長手方向とキャップ経路20aの流れ方向とは略平行である。
【0034】
図4は、電子線照射装置21の構成を示す側面図である。図3のc−c断面が描かれている。スキャンホーン22aは、電子線供給部36から下方に向かって二股に分岐する。スキャンホーン22aにより、メイン電子線56が通るメイン電子線通路と、サブ電子線58が通るサブ電子線通路58とが確保される。メイン電子線56の経路とサブ電子線58の経路とは角αをなす。図2に記載されているメイン電子線走査角θMはメイン電子線56の走査角である。サブ電子線照射角θSは、サブ電子線58の走査角である。本実施の形態において、メイン電子線走査角θM=サブ電子線走査角θSである。
【0035】
キャップ経路20aにおいて、ボトルキャップ54は、開口86がサブ電子線照射口50aの方を向くように配置される。この向きで配置されることにより、飲料が充填される空間に接する内側面84がより高度に殺菌される。
【0036】
図5は、電子線照射装置21が備える図示しない制御装置が電子線供給部36を制御する方法を示すタイミングチャートである。電子線供給部36が備える電子銃は、所定の周期で電流を供給されて電子線のパルスを発生する。電子線が発生するタイミングに同期して、電子線の方向を走査方向(y軸方向)に偏向するための走査磁石に電流が流される。走査磁石によって発生される磁界により、電子線は1パルスの間に角θM=θSを走査する。
【0037】
図5においては、電子線のパルスの6回に1回、電子線を副走査方向に偏向するための副走査磁石に電流が供給される。このとき電子線は、副走査方向(x軸方向)に偏向される。副走査磁石に電流が供給されないとき、電子線はメイン電子線56の方向に供給される。副走査磁石に電流が供給されるとき、電子線はサブ電子線58の方向に供給される。
【0038】
図18は、キャップ経路20の付近の構成を示している。キャップ経路20において、電子線照射範囲の上流側には、キャップ送り装置16aが設置される。電子線照射範囲の下流側には、キャップ受取装置24aが設置される。
【0039】
図19は、キャップ経路20の延長方向に垂直な方向から見たボトルキャップ54とキャップ経路20の拡大図である。キャップ経路20は、第1側面ガイド60、第2側面ガイド62及び上面ガイド64を備える。これらはキャップ経路20の延長方向を長手方向として互いに平行に配置される中空のステンレス管である。これらは、下流側の方が上流側よりも低く位置するように傾斜して設置される。
【0040】
キャップ送り装置16aがボトルキャップ54に十分な初速を与えられる場合は、キャップ経路20は延長方向が水平になるように設置されてもよい。
【0041】
第1側面ガイド60と第2側面ガイド62とは鉛直方向の下側から側面80に接触する。第2側面ガイド62は第1側面ガイド60よりも電子線の照射範囲の中心に近い。第2側面ガイド62は、第1側面ガイド60に対して高い位置に配置されている。第1側面ガイド60がボトルキャップ54に接触する点と第2側面ガイド62がボトルキャップ54に接触する点とを結ぶ線と水平面とは角βをなす。
【0042】
上面ガイド64は、鉛直方向の下側から上面82に接触する。ボトルキャップ54は、開口86を斜め上に向けた状態で、第1側面ガイド60、第2側面ガイド62及び上面ガイド64によって支持される。
【0043】
図19においては中心軸66が水平面に対して正の角βをなし、開口86が斜め上を向いている。電子線は上方から照射されるため、開口86が上を向いていると、ボトルキャップ54の内側面84が確実に殺菌され好ましい。電子線照射装置21が照射する電子線のエネルギーが十分に高い場合は、ボトルキャップ54の開口86が上を向いていなくても内側面84が確実に殺菌される。その場合、例えば角βがゼロであり、上面ガイド64は水平方向からボトルキャップ54の上面82に接する構成でもよい。
【0044】
第1側面ガイド60、第2側面ガイド62及び上面ガイド64の中には、冷却用の流体、例えば冷却水が流される。
【0045】
以上の構成を備えた食品容器充填システム2は、次のように動作する。
【0046】
ボトルキャップ54を装着される前のペットボトル52がボトル入口12から殺菌室4に導入される。ボトルキャップ54がキャップ入口14から殺菌室4に導入される。ペットボトル52は搬送装置によって搬送され、電子線照射装置21に到達する。
【0047】
ボトルキャップ54はキャップ送り装置16aによって加速度を与えられて転がる。ボトルキャップ54は、側面80が第1側面ガイド60と第2側面ガイド62に転がり接触し、上面82が上面ガイド64によって下から支持された状態で、電子線照射装置21に到達する。
【0048】
電子線供給部36は電子線を供給する。電子線は走査磁石によってy軸方向に偏向する。このメイン電子線56はメイン電子線照射口38から出て、ペットボトル52を走査する。ペットボトル52は電子線により殺菌される。パイプスクリュー40‐1、40‐2は電子線が照射されることによって加熱される。パイプスクリュー40‐1、40‐2の内部に冷却水が流されることにより、温度の上昇が抑制される。殺菌されたペットボトル52は搬送装置によってすすぎリンサ室6に搬送される。
【0049】
電子線は6パルス毎に1パルス、副走査磁石によってx軸方向に偏向する。このサブ電子線58はサブ電子線照射口50aから出て、ボトルキャップ54に照射される。ボトルキャップ54は電子線により殺菌される。第1側面ガイド60、第2側面ガイド62及び上面ガイド64は電子線が照射されることにより加熱される。第1側面ガイド60、第2側面ガイド62及び上面ガイド64の内部に冷却水が流れることにより、温度の上昇が抑制される。殺菌されたボトルキャップ54は、キャップ受取装置24へ搬送され、キャップ経路26を通ってキャッパ室10に送られる。
【0050】
ペットボトル52はすすぎリンサ室6においてすすがれ、充填室8において飲料を充填されてキャッパ室10に搬送される。キャッパ32は、ペットボトル52にボトルキャップ54を装着する。ボトルキャップ54が装着されたペットボトル52はボトル出口34から搬出される。
【0051】
こうした食品容器充填システム2は、ペットボトル52とボトルキャップ54が同じ電子銃から供給される電子線によって殺菌されるために、コストが低く、設備がコンパクトである。ペットボトル52とボトルキャップ54が電子線によって殺菌されるため、殺菌・洗浄用の薬品が不要である。そのため、ボトルの内部に薬品が残留することを防止するための手段が省かれる。さらに、薬品と薬品をすすぐための水とが不要であるため、ランニングコストが抑制される。
【0052】
(実施の第2形態)
図1に示された食品容器充填システム2の電子線照射装置21として、他の構成が適用されうる。図6は、電子線照射装置21の構成を示す正面図である。本実施の形態における電子線照射装置21において、サブ電子線照射口50bはメイン電子線照射口38よりも高い位置にある。他の構成は、実施の第1形態と同じである。メイン電子線の走査角度θMとサブ電子線の走査角度θSとは同じ角度である。そのため、サブ電子線照射口50bはメイン電子線照射口38よりも走査方向の長さが短い。
【0053】
図7は、電子線照射装置21の構成を示す上面図である。図8は、電子線照射装置21の構成を示す側面図である。キャップ経路20bの上端は、メイン電子線照射口38の下端よりも高い位置にある。図9は、電子線照射装置21が備える図示しない制御装置が電子線供給部36を制御する方法を示すタイミングチャートである。
【0054】
こうした構成によれば、スキャンホーン22bのサブ電子線側の分岐、及びキャップ経路20bの位置が実施の第1形態よりも高く、ペットボトル52の搬送経路からより離れている。そのため、ペットボトル52の搬送装置、反射板等とボトルキャップ54の搬送装置、反射板等の位置が干渉し難くなる。その結果、設計が容易になり、メンテナンスが容易になる。
【0055】
(実施の第3形態)
図1に示された食品容器充填システム2の電子線照射装置21として、更に他の構成が適用されうる。図10は、電子線照射装置21の構成を示す正面図である。本実施の形態において、サブ電子線の照射角度θSはメイン電子線の照射角度θMよりも小さく、例えばθS=(1/2)θMである。なお、図10においてはメイン電子線の走査角度の一端がサブ電子線の走査角度の一端に重なっているが、サブ電子線照射口はボトル経路18及びキャップ経路20が干渉しない位置に設置することが望ましい。
【0056】
図11は、電子線照射装置21の構成を示す上面図である。キャップ経路20cは、サブ電子線照射口50cによる電子線の照射範囲よりも下流側且つメイン電子線照射口38の下流側の端部よりも上流側の位置で、屈折する。特に、上方に屈折することが好ましい。図12は、電子線照射装置21の構成を示す側面図である。
【0057】
図13は、電子線照射装置21が備える図示しない制御装置が電子線供給部36を制御する方法を示すタイミングチャートである。副走査磁石電流が流されるとき、すなわちサブ電子線照射口50cの方に電子線が偏向されるとき、走査磁石電流は、サブ電子線が角度θSを走査するように、メイン電子線を照射するときよりも小さい範囲で変化する。
【0058】
こうした構成によれば、スキャンホーン22cのサブ電子線側の分岐が実施の第1形態よりも小さい。更に、キャップ経路20cが屈折することで、スキャンホーン22cのサブ電子線側の分岐がコンパクト化されて空いたスペースが何もないスペースとして残される、あるいは他の部材を配置することができる。そのため、システムの設計に余裕ができ、メンテナンスが容易になる。こうした観点から、サブ電子線照射口50cがメイン電子線照射口38よりも高く配置されることも好ましい。その場合、キャップ経路20cの上端がメイン電子線照射口38の下端よりも上に配置されることが更に好ましい。
【0059】
(実施の第4形態)
図1に示された食品容器充填システム2の電子線照射装置21として、更に他の構成が適用されうる。図14は、電子線照射装置21の構成を示す正面図である。本実施の形態において、サブ電子線の照射角度θSはメイン電子線の照射角度θMよりも小さく、例えばθS=(1/2)θMである。メイン電子線の走査角度の一端は、サブ電子線の走査角度の一端と重なっていることが好ましい。
【0060】
図15は、電子線殺菌装置の構成を示す上面図である。キャップ経路20dは、ボトル経路18と平行に設置される。ボトル経路18はメイン電子線照射口38に対して平行ではなく傾いている。サブ電子線照射口50dは、キャップ経路20dに平行に設けられる。サブ電子線照射口50dの水平面への射影は、メイン電子線照射口38の水平面への射影に対して平行ではなく、傾いている。
【0061】
キャップ経路20dは、サブ電子線照射口50dによる電子線の照射範囲よりも下流側且つメイン電子線照射口38の下流側の端部よりも上流側の位置で、屈折する。特に、上方に屈折することが好ましい。図16は、電子線照射装置21の構成を示す側面図である。
【0062】
図17は、電子線照射装置21が備える図示しない制御装置が電子線供給部36を制御する方法を示すタイミングチャートである。副走査磁石電流が流されるとき、すなわちサブ電子線照射口50cの方に電子線が偏向されるとき、走査磁石電流は、サブ電子線が角度θSを走査するように、メイン電子線を照射するときよりも小さい範囲で変化する。副走査磁石電流が流されないとき、電子線はメイン電子線照射口38の方向に向かう。より大きい副走査磁石電流が流されると、電子線はメイン電子線照射口38からx軸方向により離れた方向に偏向する。本実施の形態においては、サブ電子線照射口50dがメイン電子線照射口38に対して傾いているため、サブ電子線58がサブ電子線照射口50dに沿って照射されるように、副走査磁石電流は走査磁石電流の変化に随伴して変化する。
【0063】
こうした構成によれば、ボトル経路18とキャップ経路20とが平行であるため、搬送ラインのスペースがコンパクトである。
【0064】
(実施の第5形態)
図18及び19に示されたキャップ経路20の付近の構成に代えて、他の構成を採用することが可能である。そのような構成として、図20には、図18のキャップ経路20の延長方向に垂直な方向から見た断面図が描かれている。キャップ経路20は、L字部材68を備える。L字部材68に接して冷却用の流体が流される冷却配管70が設置される。
【0065】
L字部材68の表面は金属である。L字部材68は、長手方向に垂直な線が水平面に対して傾斜する第1の金属面と、第1の金属面に対して長手方向に垂直な方向に隣接して配置された第2の金属面とを有する。ボトルキャップ54は、L字部材68に沿って転がる。ボトルキャップ54の側面80は第1の金属面に下から支持され、転がり接触する。ボトルキャップ54の上面82は第2の金属面に下から支持される。L字部材68は、長手方向に沿って下流側に向かって低くなるように傾斜する。
【0066】
こうした構成によれば、サブ電子線照射口50から照射される電子線がL字部材によって反射してボトルキャップ54に照射される。そのため、ボトルキャップ54がより効率的にかつ均一に殺菌される。
【0067】
(実施の第6形態)
図18及び図19に示されたキャップ経路20の付近の構成に代えて、更に他の構成を採用することが可能である。図21はそのような構成の正面図、図22は上面図である。
【0068】
キャップ経路20は、上流側コンベア72と下流側コンベア74とを備える。上流側コンベア72の上面は金属製である。この上面は水平に配置され、y軸正方向に移動する。下流側コンベア74の上面は金属製である。この上面は水平に配置され、y軸正方向に移動する。上流側コンベア72と下流側コンベア74とは、移行部76においてx軸方向に隙間なく隣接する。
【0069】
上流側コンベア72と下流側コンベア74との上方には、ガイドレール78が固定される。ガイドレール78は、法線が水平な接触面を有する。移行部よりも上流側においてこの接触面は上流側コンベア72の上方に位置する。移行部76よりも下流側において接触面は下流側コンベア74の上方に位置する。ガイドレール78の水平面に対する射影は、サブ電子線照射口50の水平面に対する射影に対して傾いている。
【0070】
キャップ送り装置16bは、ボトルキャップ54を上流側コンベア72に供給する。ボトルキャップ54の姿勢は、上面82が上流側コンベア72に接し開口86が上を向く姿勢であることが好ましい。電子線のエネルギーが十分に高い場合は、ボトルキャップ54が姿勢に依存せずに十分に殺菌されるため、姿勢は任意でよい。ボトルキャップ54が供給される位置は、ガイドレール78の接触面に対して上流側である。
【0071】
キャップ送り装置16bによって供給されたボトルキャップ54は、上流側コンベア72と下流側コンベア74とによって、y軸の正方向の速度成分を与えられる。その速度成分があるために、ボトルキャップ54はガイドレール78に接触する。ボトルキャップ54は、ガイドレール78によってx軸の正方向の速度成分を与えられる。ボトルキャップ54は、ガイドレール78に接触を保って下流側へ搬送される。ボトルキャップ54は側面80においてガイドレール78に転がり接触して中心軸66を中心に自転する。
【0072】
以上の構成により、ボトルキャップ54はサブ電子線照射口50に対して斜めに移動し、かつ自転しながら移動する。これらの運動により、ボトルキャップ54には電子線が効率よく均一に照射される。ボトルキャップ54の開口86が上を向いていることにより、飲料が充填される空間に接するボトルキャップ54の内側がより高度に殺菌される。コンベアの表面が金属であることにより、電子線が反射される。その反射された電子線によってボトルキャップ54が更に殺菌される。コンベアが上流側コンベア72と下流側コンベア74とに分かれていることにより、下流側コンベア74には上流側コンベア72においてすでに殺菌されたボトルキャップ54が供給されることになり、下流側の無菌状態が確保される。
【0073】
以上の実施例の変形例として、キャップ経路20は、ボトルキャップ54を搬送する複数列の搬送ラインを備えていてもよい。更に、ボトルキャップ54をパイプスクリューで搬送してもよい。その場合、ボトルキャップ54は開口86が上を向いた状態で搬送される。ボトルキャップ54の側面80はラインの片側の固定部材に接触しながら、反対側のパイプスクリューによって搬送される。電子線照射領域において、ボトルキャップ54は、固定部材と転がり接触して自転しながらパイプスクリューによって並進運動をする。
- 【公開番号】特開2007−76704(P2007−76704A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【発明の名称】電子線殺菌装置
- 【出願番号】特願2005−268276(P2005−268276)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】
【識別番号】505193313
【氏名又は名称】三菱重工食品包装機械株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100102864
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 実
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
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