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電気転てつ機の動作桿ガイド機構
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- 【要約】
【課題】 電気転てつ機のケースの開口内を磨耗させない。
【解決手段】 水平ガイドローラ4と、垂直ガイドローラ5とを有している。水平ガイドローラ4は動作桿1の上又は下の面をころがり接触によって支えるものであり、電気転てつ機のケース2に水平姿勢に配置されている。また、垂直ガイドローラ5は、動作桿1の左右の面をころがり接触によって支えるものであり、電気転てつ機のケース2に垂直姿勢に配置されたものである。動作桿1は、角型断面の棒状体であり、電気転てつ機のケース2を横切って進退動させて転てつ機の解錠、転換、鎖錠を行う際に、上下の水平ガイドローラ4、左右の垂直ガイドローラ5を転回させながら進退動し、電気転てつ機のケース2の開口には直接接触せず、したがってケースを磨耗させない。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平ガイドローラと、垂直ガイドローラとを有する電気転てつ機の動作桿ガイド機構であって、
動作桿は、電気転てつ機のケースを横切って進退動させて転てつ機の解錠、転換、鎖錠を行うものであり、
水平ガイドローラは動作桿の上又は下の面をころがり接触によって支えるものであり、電気転てつ機のケースに水平姿勢に配置され、
垂直ガイドローラは、動作桿の左右の面をころがり接触によって支えるものであり、電気転てつ機のケースに垂直姿勢に配置されたものであることを特徴とする電気転てつ機の動作桿ガイド機構。
【請求項2】
上下段軸受ブロックを有し、
上下段軸受ブロックは、それぞれ対をなして動作桿の挿通口の周囲に形成された着座面に取り付けられ、
水平ガイドローラは、それぞれ上段軸受ブロックの対間、及び下段軸受ブロックの対間の回転可能に支持されて動作桿の挿通口の上下位置に配置され、
垂直ガイドローラは、上段軸受ブロックと下段軸受ブロック間に回転可能に支持されて動作桿の挿通口の左右位置に配置されているものであることを特徴とする請求項1に記載の電気転てつ機の動作桿ガイド機構。
【請求項3】
上下段軸受ブロックは、6面体の軸受ブロックの4個を用い、軸受ブロックの対を上向きあるいは下向きの姿勢で組み合わせて上下2段に配置し、上向きあるいは下向きの姿勢で組み合わせた軸受ブロックの対の組み合わせ間に水平ガイドローラを回転可能に支持し、上向き姿勢の軸受ブロックと、下向きの姿勢の軸受ブロックとの対の組み合わせ間に垂直ガイドローラを支持させたものであることを特徴とする請求項1に記載の電気転てつ機の動作桿ガイド機構。
【請求項4】
各軸受ブロックは、端縁より正面に突出する突出縁を1面に有し、上段軸受ブロックの対は、突出縁によって面積が拡大した面を上面に用い、水平ガイドローラの回転軸の軸穴が開口された面を互いに向き合わせに配置され、上段軸受ブロックの対の突出縁の下方には空間が形成されるものであり、
上段の水平ガイドローラは、上記空間内に配置してその回転軸を両上段ブロックの前記軸穴内に挿込まれているものであり、
下段軸受ブロックの対は、突出縁によって面積が拡大した面を下面に用い、水平ガイドローラの回転軸の軸穴が開口された面を互いに向き合わせに配置され、下段軸受ブロックの対の突出縁の上方には空間が形成されるものであり、
下段の水平ガイドローラは、上記空間内に配置して、その回転軸を両下段軸受ブロックの面に開口された前記軸穴内に挿込まれているものであることを特徴とする請求項3に記載の電気転てつ機の動作桿ガイド機構。
【請求項5】
垂直ガイドローラは、上段軸受ブロックと下段軸受ブロック間の隙間に垂直姿勢で配置され、上段軸受ブロックに開口させた貫通孔から挿し込まれたロッドが垂直ガイドローラの軸孔を貫通し、下段軸受ブロックの貫通孔に挿込まれ、ロッドの上下の突出端をナットで止めることによって、上段軸受ブロックと下段軸受ブロック間からの脱落が阻止されているものであることを特徴とする請求項4に記載の電気転てつ機の動作桿ガイド機構。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作桿を使用した電気転てつ機における動作桿のガイド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
動作桿を使用した電気転てつ機、たとえばNS形電気転てつ機は、Nレール用の開発に伴い、これに使用する電気転てつ機の標準品として昭和41年7月に規格となった転てつ機である。NS形電気転てつ機は、電動機、フリクションクラッチ、又はマグネットクラッチ、減速歯車、転換鎖錠部、手回し装置、回路制御部および制御リレーで構成されている。転換鎖錠部は、転換ローラ、動作桿、鎖錠桿、カムバー、ロックピースなどによって構成され、転てつ機の解錠、転換、鎖錠の3つの動作をする動作機構である。ポイントを定位から反位へ転換するに際しては、転換ローラの回転によって定位側のロックピースを動かし、動作桿、鎖錠桿を解錠して動作桿を直線運動させ、トングレールを駆動して定位から反位へ、或いは逆に反位から定位に転換し、ロックピースを動かしてポイントを反位又は定位に鎖錠するものである。
【0003】
図6において、電気転てつ機のケース21は一定の幅を有する鋳鉄製の筐体であり、動作桿22は、例えば、角型断面の棒状体であり、電気転てつ機の鋳物の上ケース21aと下ケース21bとの上下の合わせ目に形成された角型断面の開口23内に挿通され、開口面をガイドとし、開口23内の平面部分を摺動させることによって、電気転てつ機のケース21を横切って直線方向に進退動させる構成になっている。
【0004】
開口23内の平面部分は、磨耗を阻止するために給油が不可欠とされているが、それでも長期間の使用によって開口内の平面部分が磨耗し、磨耗が著しい時には、肉盛りや、ケースの交換をしなければならない。然るに肉盛りやケースの交換には、電気転てつ機の取り外しや据付けの作業、調整作業を伴うきわめて大掛かりな作業を必要としていた。
【非特許文献1】(社)日本鉄道電気技術協会 「転てつ装置」 平成4年5月10日 P39〜P47
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、電気転てつ機のケースの開口の厚肉の平面部分をガイドとし、開口内の平面部分を摺動させることによって、動作桿を進退動させたときには、開口内の平面部分が磨耗し、磨耗が著しい時には、肉盛りなどの追加作業や、ケースの交換などの作業が必要となる点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による電気転てつ機の動作桿ガイド機構は、角型断面の動作桿の四周面をローラで支えるものであるため、磨耗が少なく、また各ローラは軸受ユニットで支えて電気転てつ機のケースに装着されるものであるため、脱着、交換が容易であることを最大の特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明による電気転てつ機の動作桿ガイド機構によれば、それぞれ縦横方向に対を成す軸受部間にローラを支持させてこれを電気転てつ機のケース内面に垂直および水平姿勢に配置して取り付ければよいため、着脱作業は簡単である。また、長期の使用によってローラ面が磨耗したとしても軸受部を電気転てつ機のケース内面から取り外してローラを簡単に交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
電気転てつ機のケースの開口の平面部分の磨耗を阻止するという目的を、動作桿の4周にころがり接触によって動作桿を支えるローラを配置することによって実現した。
【実施例1】
【0009】
図1は、動作桿をローラで支える状態を示す電気転てつ機の要部断面図、図2は、図1のA−A線断面図、図3は、図2のB−B線断面図である。
(1) 動作桿と水平及び垂直ガイドローラとの関係
動作桿を使用した電気転てつ機において、図1に示すように動作桿1の一端は、電気転てつ機のケース2の開口から外部に突出し、その突出端には、スイッチアジャスタ3が連結されている。動作桿1は、前述のように角型断面の棒状体であり、電気転てつ機のケース2を横切って進退動させる構成になっている点は従来と同じである。
【0010】
また、動作桿1は、転換鎖錠部に駆動され、スイッチアジャスタ3は、前述のようにトングレールに接続され、転換鎖錠部の制御によって転てつ機の解錠、転換、鎖錠を行うが、その動作は、本発明と直接関係がないため、動作桿1の動作の説明については、これを省略する。
動作桿1の断面形状は、四辺形、この実施例では図2に示すように横長の長方形であり、本発明においては、動作桿1の長方形の各4面を水平ガイドローラ4,4の対と垂直ガイドローラ5,5の対とで支えるものである。
【0011】
水平ガイドローラ4は動作桿1の上面、下の面を支えるものであり、電気転てつ機のケース2に水平姿勢に配置され、垂直ガイドローラ5は、動作桿1の左右の各面を支えるものであり、電気転てつ機のケース2に垂直姿勢に配置されたものである。
【0012】
(2)軸受ブロックの構成
図4に、水平ガイドローラ4及び垂直ガイドローラ5を支持する軸受ブロック6の構造を示す。図4(a)、(b)において、軸受ブロック6は、左右対称形をなし、一面(第1面P1)には、その端縁に沿って一定の長さで張り出した突出縁7を有する6面体である。突出縁7を張り出した第1面P1のほぼ中央部位には、水平ガイドローラの回転軸を差し込む有底の軸穴8が開口されている。
【0013】
また、垂直ガイドローラの回転軸を差し込む軸孔は、第一面P1に直交する第2面P2から、第2面の反対の面で前記突出縁7によって面積が拡大した第3面P3に達して軸受ブロック6を貫通する貫通孔9として形成されている。なお、第2面P2及び第3面P3にそれぞれ直交する第4面P4と第5面P5には、軸受ブロックを貫通してケースにねじ止めするためのねじ孔10が開口されている。
【0014】
(3)軸受ブロックの組立体
本発明において、端縁より正面に突出する突出縁を一面に有する同じ形状の6面体の軸受ブロックの4個を用い、軸受ブロック6の対を上向きあるいは下向きの姿勢で組み合わせて図5のように上下2段に配置する。本発明においては、軸受ブロック6の対を上向きあるいは下向きの姿勢で組み合わせて上下2段に配置し、上向きあるいは下向きの姿勢で組み合わせた軸受ブロックの対の組み合わせ間に水平ガイドローラ4を回転可能に支持し、上向き姿勢の軸受ブロックと、下向きの姿勢の軸受ブロックとの対の組み合わせ間に垂直ガイドローラ5を支持させたものである。以下、軸受ブロックを上段軸受ブロック6aと下段軸受ブロック6bとに区別して説明する。図5において、上段軸受ブロック6a,6aの対は、突出縁7によって面積が拡大した第3面P3を上面に用い、水平ガイドローラ4の回転軸の軸穴8が開口された第1面P1を互いに向き合わせに配置する。
【0015】
これによって上段軸受ブロック6a,6aの対の突出縁7,7の下方には空間が形成される。この空間内に上段の水平ガイドローラ4を水平姿勢に配置し、その回転軸4a,4aを両上段ブロックの第1面P1の軸穴8内に挿込む。下段軸受ブロック6b,6bの対は、突出縁7によって面積が拡大した第3面P3を下面に用い、水平ガイドローラ4の回転軸の軸穴8が開口された第1面P1を互いに向き合わせに配置する。
【0016】
これによって下段軸受ブロック6b、6bの対の突出縁7,7の上方には空間が形成される。この空間内に下段の水平ガイドローラ4を水平姿勢に配置し、その両端の回転軸4a、4aを両下段軸受ブロック6b、6bの第1面P1の軸穴8内に挿込む。さらに、各上段軸受ブロック6a,6aと各下段軸受ブロック6b,6b間の隙間には、垂直ガイドローラ5を垂直姿勢で配置し、上段軸受ブロック6aに開口させた貫通孔9からロッド12を挿込み、垂直ガイドローラ5の軸孔を貫通させて下段軸受ブロック6bの貫通孔9に挿込み、ロッド12の上下の突出端をナット13、13で止め、上段軸受ブロック6aと下段軸受ブロック6b間から垂直ガイドローラ5の脱落を阻止する。
【0017】
さらに、水平ガイドローラ4及び垂直ガイドローラ5を組み付けた上下段軸受ブロック6a,6bの組立体を図1に示すように、ケース2の内面で、動作桿1の挿通口の周囲に形成された着座面14にあてがい、ケース2の定位置に予め定められた位置に開口されている取付け孔を通してケース2の外部から締付ねじ15を挿込み、この締付ねじ15を各上下段軸受ブロック6a,6bのねじ孔10にねじ込んで各上下段軸受ブロック6a,6bを定位置に固定するとともに、上段軸受ブロック6a,6aの対間及び下段軸受ブロック6b、6bの対間に水平ガイドローラ4を回転可能に支持させ、左右の上段軸受ブロック6aと下段軸受ブロック6bとの対間に垂直ガイドローラ5を回転可能に支持させて水平ガイドローラ4の対間で動作桿1の上下面を支え、垂直ガイドローラ5の対間で動作桿1の左右の垂直面を支持させる。
【0018】
(4)動作桿のガイド機能
本発明において、動作桿1は、水平ガイドローラ4,4によって上下面が支えられており、転てつ機の解錠、転換、鎖錠動作に伴って、動作桿1は、上下の水平ガイドローラ4,4及び左右の垂直ガイドローラ5,5を転回させながら進退動する。動作桿1は、その上下、左右の面が各ガイドローラ4,5で支えられて安定に支持され、また、ころがり接触によるため、摩擦抵抗が少なく、動きが滑らかであり、また、すべり接触に比べて長期間使用しても、磨耗の程度が小さく、長期間の使用に耐えるが、必要により、動作桿1と、水平ならびに垂直ガイドローラー4又は5間にグリースを封入することによって、一層長寿命化、保守の軽減化を図ることができる。
【0019】
本発明によれば、軸受ブロック6を左右対称形にユニット化することによって、1種類の軸受ブロックの配置を上下段ならびに左右に使い分けて上下2段の水平ガイドローラ及び左右2列の垂直ガイドローラを支持させることができる。また、水平ガイドローラ4及び垂直ガイドローラ5やその回転軸あるいは上下段の軸受ブロックが磨耗、あるいは破損したときには、現場作業で磨耗、あるいは破損した部品のみの交換によって対処できる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
電気転てつ機は、その機能、用途から大別すると、NS形、G形、TS形などに分類され、いずれも動作桿を備え、そのストロークはさまざまではあるが、通常、120mm〜220mmの範囲である。必ずしも、頻繁に動作させるものではないが、重量物である転てつ機の解錠、転換、鎖錠動作を行うものであるため、電気転てつ機の鋳物ケースの開口面をすべり接触によってガイドするときには、鋳物ケースに加えられる摩擦力が大きいが、本発明によれば、ころがり接触によって動作桿をガイドするため、動作桿を有する上記電気転てつ機に本願発明のガイド機構を適用して長寿命化ならびに保守の軽減化を図ることができる。
- 【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による電気転てつ機の動作桿ガイド機構の1実施例を示すもので、図2のC−C線断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2のB−B線断面図である。
【図4】(a)は軸受ブロックの斜視図、(b)は縦断面図である。
【図5】軸受ブロックの組立体の分解図である。
【図6】従来の動作桿の例を示す図である。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
- 【公開番号】特開2008−149985(P2008−149985A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【発明の名称】電気転てつ機の動作桿ガイド機構
- 【出願番号】特願2006−342424(P2006−342424)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
- 【代理人】
【識別番号】100075306
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 中
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