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シート式案内標識
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- 【要約】
【課題】 ボード式案内標識の筐体をシート式案内標識の筐体に兼用する。
【解決手段】少なくとも筐体1と、型枠2と、標識シート3との組合せを有している。筐体1は、一面が開放された箱であり、従来は、ボード式案内標識の筐体として用いられていたものである。その開口内の一部には、筐体1の内壁に、標識ボードの取付け用のステーが額縁状に張り出して設けられている。型枠2は、断面L型のアングルを額縁状に組み合わせたものであり、標識シート3は、繊維シートのシート面に交通標識、案内標識の表示が付され、緊張状態を保たせて型枠2に張り渡されている。型枠2は、標識シート3から受ける張力に耐えるに必要な強度を有している。標識シート3を張り渡した型枠2を標識ボードに代えて筐体1のステーに脱着可能に固定する。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも筐体と、型枠と、標識シートとの組合せを有するシート式案内標識であって、
筐体は、一面が開放された箱であり、開口内の一部には、筐体内壁にステーが額縁状に張り出して設けられているものであり、
型枠は、断面L型のアングルを額縁状に組み合わせたものであり、
標識シートは、繊維シートのシート面に交通標識、道路標識などの案内標識の標示が付されたものであり、緊張状態を保たせて型枠に張り渡され、
標識シートを張り渡した型枠は、標識シートから受ける張力に耐えるに必要な強度を有し、筐体のステーに脱着可能に固定されているものであることを特徴とするシート式案内標識。
【請求項2】
型枠は、互いに直交させた座部と立上り部とを有する断面L型のアングルを額縁状に組み合わせたものであり、シート取付用の駒を有し、
前記型枠が平坦面となる座部の面は、前記ステーに着座させる面であり、立上り部は、座部から直角に立ち上がる部分であり、
前記駒は、立上り部に囲まれた座部の面に一定間隔を置いて装着されたものであり、
前記標識シートは、型枠の四周に配設された各駒に支えられ、緊張状態を保たせて型枠内に張り渡されているものであることを特徴とする請求項1に記載のシート式案内標識。
【請求項3】
前記駒はスライダー及びガイドを有し、
スライダーは標識シートの端縁を保持し、型枠の立上り部に沿って移動調整可能に支えられたものであり、
前記ガイドは、各駒のスライダー間に跨って張り渡された標識シートを一定の高さ位置に支え、型枠内に張り渡される標識シートに同一平面を保持させるための突縁であることを特徴とする請求項1に記載のシート式案内標識。
【請求項4】
前記型枠の座部上に設置された前記駒は、型枠の立上り部に沿って移動調節可能に支えられているものであることを特徴とする請求項3に記載のシート式案内標識。
【請求項5】
前記スライダーは、クランプを有し、
前記クランプは、前記スライダーに標識シートの一部を保持させ、該スライダーからの脱落を阻止するものであることを特徴とする請求項3に記載のシート式案内標識。
【請求項6】
前記筐体のステーは、ボード式案内標識の標識ボードの支え面として予め筐体の開口内に形成されたものであり、前記標識シートが張り渡された前記型枠の取付面に兼用されるものであることを特徴とする請求項1に記載のシート式案内標識。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通標識、道路標識などの案内標識、特に、所定の標識記号、標識文字が標記されたシート式案内標識に関する。
【背景技術】
【0002】
交通標識、道路標識などのいわゆる案内標識には、夜間での視認性を向上させるための代表的な照明方式としては外照式と、内照式の照明方式がある。内照式案内標識は、従来主として標識ボードが用いられてきた。以下これをボード式案内標識という。従来のボード式案内標識は、正面が開放された筐体と、筐体内に配置された蛍光灯と、筐体の正面開口に取り付けられた標識ボードとの組合せからなっていた。標識ボードには、乳白色の透光性アクリル板が用いられ、その表面には、半透光性の塗料で標識図柄や文字などが描かれている。
【0003】
図6に、前記標識ボードの取付構造を示す。図6において、筐体1には、その開口内の一部に額縁状に張り出したステー5が筐体1の内壁の一部に固定されている。標識ボード31は、ステー5の表面にあてがわれ、その外周縁を覆って額縁状の化粧枠32をあてがい、標識ボード31を挟み、化粧枠32と、ステー5とをボルト・ナット33で緊締し、標識ボード31を筐体1に一体に固定したものであった。なお、筐体1内には、照明源としての蛍光灯が内蔵されているが図6では、図示を省略してある。
【0004】
ところで、アクリル板は、経年変化によって、脱色あるいは変色するため、10年以内の適当な期間に交換しなければならない。このような問題点を解消するため、最近、繊維シートに半透光性の塗料で標識図柄や文字などを描いた標識シートが用いられるようになってきた。標識シートは耐候性にすぐれ、視認性がよく、変色、脱色し難いという特徴がある。このような理由から、最近ではボード式案内標識を標識シートによる内照式案内標識に取り替える作業が進んでいる。標識シートを用いた案内標識をシート式案内標識という。
【0005】
ところが、交換作業に際しては、既設のボード式案内標識の筐体ごと取り替えなければならず、交換作業は専ら高所作業のため、重量物の搬出入、筐体の上げ下ろし、取付け、取り外しを含めてその交換作業は非常に厄介であった。
【特許文献1】実公昭39−34387号公報
【特許文献2】特許公開2004−346541
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、ボード式案内標識をシート式案内標識に取り替えるに際し、従来はボード式案内標識の筐体ごと取り替えなけれならなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ボード式案内標識に用いる筐体をシート式案内標識の筐体に兼用し、標識ボードに用いられている筐体をそのまま標識シートにも転用できるようにした点を最大の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるシート式案内標識によれば、標識シートは専用の型枠に取付け、標識シートを取り付けた型枠を筐体に取り付けるため、筐体には、標識シートの張力に耐えるだけの強度は必要ではなく、既設のボード式案内標識に用いられている筐体をそのまま利用してシート式案内標識として利用でき、したがってボード式案内標識をシート式案内標識に簡単に交換でき、併せて資材を節約することができる。
【0009】
また、既存の標識ボードを標識シートに交換する場合だけに限らず、シート式案内標識を新設するときにも、筐体には、シートの緊張による張力に耐えるだけの強度を必要としないため、筐体の軽量化、構造の簡略化を実現でき、さらに、標識シートの取付け、取り外しは、型枠ごと行うため、現場での取付け、取り外しの作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
既設のボード式案内標識に用いる筐体をそのまま利用してシート式案内標識の筐体に転用するという目的を、標識シートを専用の型枠に取付け、標識シートを取り付けた型枠を筐体に取り付けることによって実現した。
【実施例1】
【0011】
以下に本発明の実施例を説明する。
(1)本発明によるシート式案内標識の構成要素
図1、図2において、本発明によるシート式案内標識は、筐体1と、筐体1の開口に脱着可能に装着された型枠2と、型枠2に張り渡された標識シート3と、額縁カバー4との組合せからなるものである。標識シート3は繊維シートであり、シート面には交通標識、道路標識などの案内標識の標示、この例では、「出口 EXIT」の標示が付されている。筐体1内には、標識の照明用として蛍光灯Lが内装されている。標識シート3は、型枠2の四周に配設された各駒8に支えられ、型枠2内に緊張状態を保たせて張り渡される。
【0012】
(1)筐体
筐体1は、前述のようにボード式案内標識の筐体であり、実施例の場合には、一面が開放された直方体の箱である。図2において、筐体1の開口内の一部には、筐体内壁に予め取り付けられているステー5が開口内に額縁状に張り出して設けられている。このステー5は、前述のようにボード式案内標識の標識ボードの支えとして用いられていたものである。本発明においては、このステー5を標識シート3の取付面に利用するのであるが、本発明においては、ステー5に標識シート3を直接取り付けるのではなく、型枠2を介して取り付けるものである。
【0013】
(2)型枠
図2において、型枠2は、互いに直交させた座部6と立上り部7とを有する断面L型のアングルを額縁状に組み合わせたものであり、標識シート3から受ける張力に耐えるに必要な強度を有している。型枠2には、取付用駒8を用いて標識シート3の4周辺が取り付けられる。型枠2が平坦面となる座部6の面(外面)は、前記ステー5に着座させる面であり、立上り部7に囲まれた座部6の面は、前記駒8の装着面となる。座部6の装着面には、一定間隔を置いてブロック9が溶接され、前記駒8は、それぞれのブロック9上に設置されているものである。図3の要部拡大図に示すようにブロック9には、座部6に形成された貫通孔10内に臨ませてねじ孔11が開口されており、該ねじ孔11を通して駒8に頭部が支えられたボルト12がブロック9にねじ込まれ、その突出端をナット13で緊締している。
【0014】
駒8はスライダー14及びガイド15を有している。スライダー14は標識シート3の端縁を保持し、型枠2の立上り部7に沿って移動調整可能に駒8上に支えられたものである。標識シート3の端縁は、クランプ16によって、スライダー14に保持される。クランプ16は、スライダー14から標識シート3の脱出を阻止するものであり、この実施例においては、スライダー14の一面にあけられた溝17内に標識シート3の端縁を差し込み、これを溝17内にはめ込んだ止板18で抑えている。スライダー14には、前記駒8に頭部が支えられたボルト19がねじ込まれ、その突出端には、ナット20がねじ込まれている。ガイド15は、図3に示すように各駒8、8、・・・のスライダー14間に跨って張り渡された標識シート3の裏面を一定の高さ位置に支えて標識シート3に同一平面を保持させるための突縁である。
【0015】
(3)額縁カバー
額縁カバー4は、各駒8のスライダー14にクランプされた標識シート3の端末を覆うためのものである。額縁カバー4からは内側にブラケット21を張り出させ、このブラケット21を前記型枠2とともに、前記ステー5上にボルト22で共締し、ボルト22をカバー21及び前記型枠2を通して前記ステー5上にあけられたねじ挿入孔内に差し込み、ステー5からの突出端をナット23で緊締している。
【0016】
本発明においては、最初に所要の標識シート3を型枠2に取り付けておき、ついで、標識シート3が取り付けられた型枠2を筐体1に取り付けることによってシート式案内標識の組立を行うものである。以下に、既設のボード式案内標識をシート式案内標識に交換する場合について、それぞれの作業の要領を説明する。
(4)既設のボード式案内標識をシート式案内標識に交換する
(4−1)標識シートを型枠に取付ける要領
工場内で所要の標識が表示された標識シート3を選定し、型枠2の四辺に跨らせて配置し、標識シート3の四周の端縁をそれぞれのスライダー14の溝17内に個別に差込み、さらに、各溝17内に各辺ごとに1本の止板18をはめ込んで、標識シート3の四辺を型枠2の各辺に備えたそれぞれスライダー14に保持させ、ついでスライダー14に駒8側から差し込まれたボルト19にねじ込んだナット20を締め付けつつ駒8に沿ってスライダー14をブロック側に押し込み、これによって標識シート3を緊張させ、各駒8のガイド15で同一平面上に支えて型枠2内に緊張状態を保たせて張り渡す。
【0017】
ついで、ブロック9と駒8とを繋ぐボルト12にねじ込んだナット13を締め付けて駒8をブロック9側に引き寄せて、さらに標識シート3の緊張状態を高める。上記作業は、それぞれの型枠2の四周に備えた各駒8、8、・・・について行い、標識シート3に弛みや皺が生じないように調整して図5(a)に示すように、型枠2内に一に張り渡す。
【0018】
(4−2)既設のボード式案内標識から、標識ボードなどを取り外す要領
図5(b)において、ボード式案内標識は、前述のように標識ボード31が筐体1のステー5をあてがわれ、その周縁を化粧枠32で抑え、ボルト・ナット33によって化粧枠とともに共締めされていたものである。既設のボード式案内標識をシート式の案内標識に変更するときには、まずボルト・ナット33を外して標識ボード31を化粧枠32とともにステー5から取り外し、筐体1はそのまま、ボー式案内標識が設置された場所に残す。
【0019】
(4−3)標識シートを筐体に取り付ける要領
図5(c)において、前記(4−1)に記載の要領で標識シート3を張り渡した型枠2と、額縁カバー4とを組み合わせ、型枠2の座部6を標識ボード31及び化粧枠32が取り外された筐体1のステー5上にあてがい、額縁カバー4の基部6を型枠2上にあてがい、額縁カバー4の基部6及び型枠2を通してステー5のねじ挿入孔内にボルト22を差込み、その突出端にナット23を緊締して型枠2及び額縁カバー4をステー5に固定し、さらに、ボルト22の頭部側に形成されたスペーサ24のねじ孔に、額縁カバー4の外面側からボルト25をねじ込んで額縁カバー4を一定形態に保形して交換作業を完了する。
【0020】
以上、実施例においては、既設のボード式案内標識をシート式案内標識に交換する場合について説明した。現状においては、内部照明式の交通標識、道路標識の殆どは、ボード式案内標識である。したがって、これら既存のボード式案内標識を視認性、耐候性に優れたシート式案内標識に変更するときに、本発明によれば、既存のボード式案内標識に用いられている筐体をそのまま利用し、標識シートを張り渡した枠体を筐体の開口縁に取り付けるだけでよく、取付に際しては、標識ボードの取付のために開口されているねじ挿入孔をそのまま利用し、予め標識シートが張り渡された枠体を固定できるために、現場では何らの加工作業を必要としていない。
【0021】
もちろん、本発明によれば、既設のボード式案内標識をシート式案内標識に交換する場合に限らず、シート式案内標識を新規に設置する場合でも、ボード式案内標識の既存の筐体があれば、その筐体をそのまま活用でき、筐体を新規に製作するに際してもボード式案内標識の既存の筐体製造設備を利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によれば、内部照明式交通標識、道路標識をはじめ、従来アクリル板が用いられていた既存のボード式案内標識の筐体に何らの手を加えることなくそのままシート式案内標識の筐体に適用して、視認性、耐候性に優れた標識の表示を行うことができる。
- 【公開番号】特開2008−81933(P2008−81933A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【発明の名称】シート式案内標識
- 【出願番号】特願2006−260094(P2006−260094)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
- 【代理人】
【識別番号】100075306
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 中
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