スクロール圧縮機
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- 【要約】
【課題】旋回スクロールと固定スクロールの摺動部に、旋回スクロールを引き離す力を発生することがなく十分な潤滑油を供給することができるスクロール圧縮機を提供すること。
【解決手段】本発明のスクロール圧縮機は、固定鏡板10a外周で旋回鏡板11aと摺動する面に一端が背圧制御機構61に開口させるとともに他端を圧縮室32の吸入工程に開口させた油溝26を設けたものであり、これにより旋回スクロール11を引き離す力を発生することがなく十分な潤滑油を供給することができるものである。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定羽根と固定鏡板とを有する固定スクロールと、旋回羽根と旋回鏡板とを有する旋回スクロールと、前記固定羽根と前記旋回羽根を噛み合わせて形成した複数の圧縮室と、前記旋回スクロールの前記旋回羽根面と反対側に設けられた背面室と、前記背面室をシール部材によって区画した高圧空間および中間圧空間と、前記高圧空間に供給された潤滑油を前記中間圧空間に供給する給油手段と、前記中間圧空間に供給された潤滑油を前記圧縮室に供給し前記背面室の圧力を一定値に維持する圧力調整機構を有し、前記固定鏡板で前記旋回鏡板と摺動する部分に油溝を設け、この油溝の一端が前記圧力調整機構に連通するとともに他端が前記圧縮室に連通したスクロール圧縮機。
【請求項2】
油溝の一端が圧力調整機構に連通するとともに、他端が圧縮室の吸入圧力領域に連通した請求項1に記載のスクロール圧縮機。
【請求項3】
二酸化炭素を冷媒とした請求項1または2に記載のスクロ−ル圧縮機。
【請求項4】
圧縮機の運転を回転数可変とした請求項1から3いずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空気調和機等の冷凍空調分野において、冷媒ガスを圧縮するためのスクロ−ル圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスクロ−ル圧縮機は、固定羽根と固定鏡板とを有する固定スクロールと、旋回羽根と旋回鏡板とを有する旋回スクロールと、前記固定羽根と前記旋回羽根を噛み合わせによって発生する軸方向ガス力に対抗して旋回スクロールの背面に圧力を付与し、旋回スクロールを固定スクロールに押し付けて両スクロール部品の端面におけるシール作用を維持するとともに、固定スクロールの端板外周の摺動部に旋回スクロールの旋回運動にて潤滑油を供給する油溝を設けたものが提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4は、特許文献1に記載された従来のスクロ−ル圧縮機の油溝構造を示す平面図を示すものである。図4に示すように、環状の給油溝101に一端が開口した円弧状の油溝102が固定スクロール103に設けられ、旋回スクロールの旋回運動によって円弧状の油溝102に潤滑油の粘性によるポンプ作用が働くことで潤滑油を摺動面に供給する構成となっている。
【特許文献1】特開平7−208356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、油溝102への給油が旋回スクロール(図示せず)の旋回運動による潤滑油の粘性によるポンプ作用で行われるため、圧縮機の低速運転時には必要な給油量が確保できないという課題を有していた。
【0005】
また、油溝102には旋回スクロールの背面の圧力に対してポンプ作用による圧力が加わるため、旋回スクロールを固定スクロール103から引き離す力として旋回スクロールに働くことで不安定な運転が発生してしまうという課題を有していた。
【0006】
本発明は、上記点に鑑み、低速運転時においても十分な潤滑油を旋回スクロールと固定スクロールとの摺動面に供給することで、信頼性の高い密閉型圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明のスクロール圧縮機は、旋回スクロールの背面の圧力を制御する圧力調整機構を固定スクロールに設け、固定スクロールの鏡板外周の摺動面に一端を圧力調整機構に開口させるとともに他端を圧縮室の吸入領域に開口させた油溝を設けたものである。
【0008】
これにより、圧縮機の低速運転時においても潤滑油を旋回スクロールと固定スクロールとの摺動面に十分な潤滑油を油溝に供給することができるとともに、旋回スクロールを固定スクロールから引き離す力が発生しないため安定な運転ができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスクロール圧縮機は旋回スクロールと固定スクロールの摺動部に十分な潤滑油を供給することができるとともに、旋回スクロールを引き離す力を発生することがないため信頼性が向上するスクロール圧縮機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、旋回スクロールの背面の圧力を制御する圧力調整機構を固定スクロールに設け、固定スクロールの端板外周の摺動面に一端を圧力調整機構に開口させるとともに他端を圧縮室に開口させた油溝を設けたことにより、旋回スクロールと固定スクロールの摺動部に十分な潤滑油を供給することができる。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明の油溝の他端を圧縮室の吸入領域に開口させることにより、旋回スクロールを引き離す力が発生しないため安定な運転が確保できる。
【0012】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の密閉型圧縮機に高圧ガスを冷媒とすることを特徴とする。例えば、二酸化炭素など高圧ガスを冷媒とすることにより、高圧側と低圧側の差圧が大きくなるため旋回スクロールを固定スクロールに押付ける力が大きくなり摺動部の潤滑性が要求されるが、本発明により信頼性が高いスクロール圧縮機を提供することができる。
【0013】
第4の発明は、特に、第3の発明のスクロール圧縮機を運転回転数可変型とすることを特徴とすることにより、低速運転時の厳しい潤滑状態においても旋回スクロールと固定スクロールの摺動部に十分な潤滑油を供給することができる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態におけるスクロール圧縮機の断面図、図2は本発明の実施の形態における固定スクロールの油溝構造を示す平面図、図3は本発明の実施形態における背圧制御弁の要部断面図を示すものである。
【0015】
密閉容器1内に、圧縮機構部2とこれを駆動する電動機3が上下に配置されている。電動機3は密閉容器1の内側に焼き嵌めや溶接などして固定された固定子4と、この固定子4の内側に回転自在に位置する回転子5とからなり、この回転子5には駆動軸6が貫通状態で結合されている。この駆動軸6の上向きとなっている一端は圧縮機構部2の一部を構成する固定部材としての主軸受部材7に固定された軸受8により回転自在に支持されている。駆動軸6の軸受8により支持されている側の先端には駆動軸6に対して偏心運動を行うクランク軸9が備えられている。
【0016】
一方、圧縮機構部2は、固定鏡板10aからうず巻き状の固定羽根10bが立ち上がった固定スクロール10と旋回鏡板11aからうず巻き状の旋回羽根11bが立ち上がった旋回スクロール11とを向かい合わせに噛み合わせて双方間に複数の圧縮室32を形成し、固定スクロール10を主軸受部材7に固定するとともに、これらの間に旋回スクロール11を挟み込んで主軸受部品7により自転防止機構12を介しバックアップしている。
【0017】
この状態で、旋回スクロール11の自転を自転防止機構12により防止しておいて、クランク軸9により旋回スクロール11をこの旋回スクロール11に接合した旋回軸受13を介して円軌道に沿った旋回運動のみをさせる。これによって、圧縮室32は容積を減少させながら例えば周辺部から旋回羽根11bと固定羽根10bの中心に向かって移動されながら、固定スクロール10の周辺部に設けた吸入孔14から冷媒ガス等を吸入し、圧縮する。圧縮した冷媒ガス等は固定スクロール10の中心部にある吐出孔15を通り、密閉容器1内の空間16に吐出される。密閉容器1内に吐出された冷媒ガスは電動機3の細部を通ってこれを冷却した後、吐出管17を経て密閉容器1外に吐出され冷凍サイクルに供給される。この冷凍サイクルを経た冷媒ガスは吸入管18を経て吸入孔14に戻され、以降繰り返し利用される。
【0018】
また、駆動軸6の下向きとなる他端側は密閉容器1内に焼き嵌めや溶接などして固定された副軸受部品36に設けられた副軸受19によって回転自在に支持されており、駆動軸6の他端側の先端には容積型のポンプ20を用いた潤滑機構37を備えている。この潤滑機構37は、ポンプ20により潤滑油貯留部21から潤滑油を吸入して駆動軸6の中心に軸方向に設けられた給油通路22を通じクランク軸9の上部に位置する旋回スクロール11の中央部背面に位置する潤滑油溜まり23に供給する。この潤滑油溜まり23への潤滑油の供給圧は圧縮機構部2の吐出圧とほぼ同等に設定されている。
【0019】
潤滑機構37は、潤滑油溜まり23に供給した潤滑油を旋回軸受13の潤滑および冷却した後、今1つの潤滑油溜まり24を経て軸受8を潤滑する潤滑経路を有し、潤滑経路での潤滑後の潤滑油は主として供給圧や重力により圧縮機構部2の下部に滲み出して潤滑油貯留部21に戻り再循環を行う。潤滑機構37は、さらに、潤滑油溜まり23に供給された潤滑油の一部を旋回スクロール11の背面室60に収納される自転防止機構12と主軸受部品7および旋回スクロール11との間の摺動部に絞り部25を通じて供給した後、固定スクロール10に設けた圧力調整機構61に流入する。この圧力調整機構61は開閉弁61aとバネ61bで構成されており、圧力調整機構61に流入した潤滑油は開閉弁61aを通過した後、固定スクロール10の固定鏡板10aに設けられた油溝26の一端に流入する。油溝26に流入した潤滑油は一部が旋回スクロールと固定スクロールの摺動面を潤滑に供給され、残りの大部分の潤滑油は油溝26の他端は圧縮室32に開口しているため、圧縮室32に流入し冷媒ガスと混合する。冷媒ガスと混合された潤滑油は冷媒ガスとともに密閉容器1内に吐出されて、冷媒ガスから分離された後潤滑油溜め部21に戻る。また、密閉容器1内の冷媒ガスは吐出管17より密閉容器1外に吐出され冷凍サイクルに供給された後、吸入管18を経て吸入孔14より圧縮室32に再び戻ってくる。
【0020】
また、油溝26の他端を圧縮室32の吸入工程に開口した場合、油溝26の圧力はほぼ吸入圧力と等しくなるため旋回スクロール11の固定スクロール10から引き離す力は発生しないため安定した運転が可能となる。
【0021】
また、例えば二酸化炭素などの高圧ガスを冷媒とした場合、圧力差が大きくなることで旋回スクロールを固定スクロールに押付け力が大きくなるが、上記実施例の構成によれば、油溝10bから摺動部に確実に潤滑油を供給することができるため、信頼性の高いスクロール圧縮機を実現できる。
【0022】
また、スクロール圧縮機を運転周波数可変型にした場合、低速運転時においても上記実施例の構成によれば、油溝26に供給される潤滑油量は絞り部25を通過した全量が供給されるため摺動部に確実に潤滑油を供給することができ、信頼性の高いスクロール圧縮機を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように、本発明にかかるスクロール圧縮機は、旋回スクロールと固定スクロールの摺動部に確実に潤滑油を供給することができ、また旋回スクロールには固定スクロールから引き離す力が発生しないため安定な運転が可能となるので、例えば空気調和機等の冷凍空調分野において、冷媒ガスを圧縮するためのスクロ−ル圧縮機等に有用である。
- 【公開番号】特開2009−13912(P2009−13912A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【発明の名称】スクロール圧縮機
【発明者】
【氏名】饗場 靖
- 【出願番号】特願2007−177924(P2007−177924)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹
【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介
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