回転検出装置の製造方法およびそれにより製造される回転検出装置
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- 【要約】
【課題】キャップと基盤部のレーザ溶接におけるばらつきを低減し、接合部の耐久信頼性および製品歩留りの高い回転検出装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】盤状の基盤部25を有してなるケース20と、筒状の磁石30と、磁石30を密封するための有底筒状のキャップ40とを有してなり、磁石30がキャップ40内に挿入され、キャップ40の開口端部41が円錐状に開いたテーパ面41tを有してなり、テーパ面41tが対向する基盤部25の継ぎ手面25uにレーザ溶接されてなる回転検出装置100の製造方法であって、継ぎ手面25uに、周囲より突き出た突き出し部26を形成し、キャップ40を突き出し部26の上面26tに押し付けながらレーザを照射して突き出し部26溶融し、テーパ面41tと継ぎ手面25uをレーザ溶接する回転検出装置100の製造方法とする。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
盤状の基盤部および該基盤部の一面から突き出るように形成され磁気検出素子を搭載する舌状保持部を有してなるケースと、
バイアス磁界を発生するための筒状の磁石と、
前記磁石および前記舌状保持部を密封するための有底筒状のキャップとを有してなり、
前記舌状保持部が、前記磁石の中空部内に挿入されると共に、前記磁石が、前記舌状保持部と共に前記キャップ内に挿入され、
前記キャップの開口端部が、円錐状に開いた内面からなるテーパ面を有してなり、
該テーパ面が、対向する前記基盤部の継ぎ手面に、レーザ溶接されてなる回転検出装置の製造方法であって、
前記継ぎ手面に、周囲より突き出た突き出し部を形成し、
前記キャップを前記突き出し部の上面に押し付けながら該突き出し部にレーザを照射して、該突き出し部を溶融し、前記テーパ面と前記継ぎ手面をレーザ溶接することを特徴とする回転検出装置の製造方法。
【請求項2】
前記ケースと前記キャップが、共に樹脂材料からなり、
前記ケースの樹脂材料のレーザ透過率は小さく、前記キャップの樹脂材料のレーザ透過率は大きいことを特徴とする請求項1に記載の回転検出装置の製造方法。
【請求項3】
前記ケースの樹脂材料と前記キャップの樹脂材料が、共にPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂からなり、
前記ケースのPPS樹脂が、前記キャップのPPS樹脂材料に較べて、カーボンブラックを多く含むことを特徴とする請求項2に記載の回転検出装置の製造方法。
【請求項4】
前記突き出し部の上面が、前記テーパ面と同じ回転対称軸を有してなり、
前記キャップを前記突き出し部の上面に押し付けた状態で前記回転対称軸の周りに回転させながら、前記突き出し部にレーザを照射することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回転検出装置の製造方法。
【請求項5】
前記継ぎ手面において、前記突き出し部を前記回転対称軸寄りに配置し、
前記キャップの底を加圧することにより、前記キャップを前記突き出し部の上面に押し付けることを特徴とする請求項4に記載の回転検出装置の製造方法。
【請求項6】
前記突き出し部の周りにおける前記キャップと基盤部および磁石で構成される空隙内に前記突き出し部の溶融凝固物が充填された状態で、前記レーザの照射を停止することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回転検出装置の製造方法。
【請求項7】
盤状の基盤部および該基盤部の一面から突き出るように形成され磁気検出素子を搭載する舌状保持部を有してなるケースと、
バイアス磁界を発生するための筒状の磁石と、
前記磁石および前記舌状保持部を密封するための有底筒状のキャップとを有してなり、
前記舌状保持部が、前記磁石の中空部内に挿入されると共に、前記磁石が、前記舌状保持部と共に前記キャップ内に挿入され、
前記キャップの開口端部が、円錐状に開いた内面からなるテーパ面を有してなり、
該テーパ面が、対向する前記基盤部の継ぎ手面に、レーザ溶接されてなる回転検出装置であって、
前記継ぎ手面における周囲より突き出て形成された突き出し部が、レーザにより溶融されて、前記テーパ面と前記継ぎ手面がレーザ溶接されてなることを特徴とする回転検出装置。
【請求項8】
前記ケースと前記キャップが、共に樹脂材料からなり、
前記ケースの樹脂材料のレーザ透過率は小さく、前記キャップの樹脂材料のレーザ透過率は大きいことを特徴とする請求項7に記載の回転検出装置。
【請求項9】
前記ケースの樹脂材料と前記キャップの樹脂材料が、共にPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂からなり、
前記ケースのPPS樹脂が、前記キャップのPPS樹脂材料に較べて、カーボンブラックを多く含むことを特徴とする請求項8に記載の回転検出装置。
【請求項10】
前記突き出し部が、前記テーパ面と同じ回転対称軸を有してなることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の回転検出装置。
【請求項11】
前記継ぎ手面において、前記突き出し部が、前記回転対称軸寄りに配置されてなることを特徴とする請求項10に記載の回転検出装置。
【請求項12】
前記突き出し部の周りにおける前記キャップと基盤部および磁石で構成される空隙内に、前記突き出し部の溶融凝固物が充填されてなることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記載の回転検出装置。
【請求項13】
前記回転検出装置が、車載用であることを特徴とする請求項7乃至12のいずれか一項に記載の回転検出装置。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の回転状態をバイアス磁界の変化により検出する回転検出装置の製造方法およびそれにより製造される回転検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転体の回転状態をバイアス磁界の変化により検出する回転検出装置が、例えば、特開2007−101230号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
図2は、特許文献1に開示された車載エンジンのクランク角センサ等の回転検出に用いられる回転検出装置で、図2(a)は、回転検出装置90の断面構造を模式的に示した図であり、図2(b)は、回転検出装置90の構成部品を模式的に示した分解斜視図である。
【0004】
図2(a)に示す回転検出装置90においては、ベアチップからなるチップ10および磁石(バイアス磁石)30が、ケース20およびキャップ(部材)40により構成されるハウジング内に密閉されて、外部雰囲気から保護される構造となっている。
【0005】
このうち、チップ10は、磁気抵抗素子対を有するセンシングチップ11と、集積回路化されて前記磁気抵抗素子対により検出される信号の各種処理を行う処理回路チップ12とから構成されている。また、ケース20は、樹脂等の非磁性体材料からなり、円盤状の基盤部25と、該基盤部25の一面から突き出るように一体形成された板状の舌状保持部(舌部)21とを備えている。舌状保持部21には、リードフレーム13をはじめ、センシングチップ11や処理回路チップ12の実装面が一体に鋳込まれている。そしてこの舌状保持部21に、これらセンシングチップ11および処理回路チップ12が、リードフレームと電気的に接続されるかたちでそれぞれ実装(搭載)されている。
【0006】
一方、上記磁石30は、例えば円柱の長手方向内部に四角形状の中空部31を有する筒状に形成されており、上記チップ10共々、ケース20の舌状保持部21を覆う態様で挿入されている。この磁石30は、センシングチップ11に組み込まれている上記磁気抵抗素子対に対してバイアス磁界を付与するものである。
【0007】
また、有底筒状の非磁性体材料からなるキャップ40は、その開口端部41が円錐状に開いた内面からなるテーパ面41tを有しており、該テーパ面41tが、対向するケース20の基盤部25の継ぎ手面25tに当接し、該基盤部25にレーザ溶接される。これによって、センサチップ11共々舌状保持部21および磁石30が外部雰囲気から保護される。
【0008】
当該回転検出装置90においては、先端部(図2(a)の右端)に対向して配置されるロータの回転時に、上記バイアス磁界と協働して生じる磁気ベクトルの変化が、上記磁気抵抗素子対の抵抗値変化として感知される。
【特許文献1】特開2007−101230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図3(a)〜(c)は、図2の回転検出装置90において、キャップ40をケース20の基盤部25へレーザ溶接する際の様子を模式的に示した拡大断面図である。図3は、図2(a)の破線で囲った部分に対応しており、図の上方に有底筒状のキャップ40の底がある。
【0010】
キャップ40を基盤部25へレーザ溶接するにあたっては、最初に、図3(a)に示すように、磁石30、基盤部25およびキャップ40を所定の配置で組み付ける。次に、キャップ40の底側から加圧して、キャップ40の開口端部41のテーパ面41tを、基盤部25に形成されている同じテーパ状の継ぎ手面25tに押し付ける。尚、磁石30は、基盤部25に当接すると共に、キャップ40の筒状の内面と嵌合することにより固定される。
【0011】
次に、図3(b)に示すように、加圧した状態で、キャップ40の開口端部41の外側からレーザを照射する。これによって、基盤部25の継ぎ手面25tを溶融すると共に、伝導熱でキャップ40のテーパ面41tも溶融する。このように、基盤部25の継ぎ手面25tとキャップ40のテーパ面41tの溶着界面では、溶けた樹脂同士が混ざって相溶する。次に、レーザの照射を停止すると、図3(c)に示すように、自然降温によって上記相溶した樹脂が再結晶化して接合部50を形成し、キャップ40と基盤部25が溶着接合される。
【0012】
図2の回転検出装置90におけるキャップ40と基盤部25の接合は、一点鎖線で示した中心軸に対するテーパ面41t(および継ぎ手面25t)のテーパ角を適宜設定するこができ、製品設計の自由度が大きい利点がある。一方、図3に示したキャップ40と基盤部25のレーザ溶接においては、キャップ40のテーパ面41tや基盤部25の継ぎ手面25tのうねり等で、加圧した際に所定の位置からずれた部分で強く接触し、図3(c)に示す接合部50の位置や幅が、設計値からずれる場合がある。また、図3(c)に示すように、溶融凝固物60によるバリが発生したり、基準面からのキャップ40の高さH(レーザ溶接後のキャップ40の沈み込み量)がばらついたりする場合がある。
【0013】
そこで本発明は、回転検出装置のキャップと基盤部のレーザ溶接におけるばらつきを低減し、接合部の耐久信頼性および製品歩留りの高い回転検出装置およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、盤状の基盤部および該基盤部の一面から突き出るように形成され磁気検出素子を搭載する舌状保持部を有してなるケースと、バイアス磁界を発生するための筒状の磁石と、前記磁石および前記舌状保持部を密封するための有底筒状のキャップとを有してなり、前記舌状保持部が、前記磁石の中空部内に挿入されると共に、前記磁石が、前記舌状保持部と共に前記キャップ内に挿入され、前記キャップの開口端部が、円錐状に開いた内面からなるテーパ面を有してなり、該テーパ面が、対向する前記基盤部の継ぎ手面に、レーザ溶接されてなる回転検出装置の製造方法であって、前記継ぎ手面に、周囲より突き出た突き出し部を形成し、前記キャップを前記突き出し部の上面に押し付けながら該突き出し部にレーザを照射して、該突き出し部を溶融し、前記テーパ面と前記継ぎ手面をレーザ溶接することを特徴としている。
【0015】
従来の回転検出装置の製造方法においては、キャップのテーパ面を、同じテーパ状の対向する基盤部の継ぎ手面の全面に押し付けた状態で、レーザ溶接を行っていた。これに対して、上記回転検出装置の製造方法においては、対向する基盤部の継ぎ手面に突き出し部を形成し、キャップを突き出し部の上面に押し付けながらレーザ溶接を行うものである。
【0016】
上記継ぎ手面に形成される突き出し部は周囲より突き出ているため、キャップのテーパ面を基盤部の継ぎ手面に押し付けた場合には、必ず所定位置の突き出し部の上面で当接することとなる。また、突き出し部の上面は、キャップのテーパ面より小さな面積となる。このため、上記製造方法においてキャップを突き出し部の上面に押し付けた状態での面圧は、押し付け力が同じであっても、従来の製造方法に較べて高い面圧となる。従って、キャップのテーパ面にうねり等がある場合であっても、押し付け時にはその影響を低減することができ、キャップのテーパ面と突き出し部の上面の隙間を低減して、ボイドの少ない接合部を形成することができる。
【0017】
また、上記キャップのテーパ面が押し付けられた突き出し部の上面の周囲には、キャップと基盤部および磁石で、空隙が構成されることとなる。従って、上記製造方法においては、キャップのテーパ面が当接した所定位置にある突き出し部の上面にレーザを照射することで、上記空隙があることにより周りへの熱の散逸が小さいため、上記突き出し部の上面の周りを確実に溶融することができる。また、上記空隙内にはレーザの照射時に発生する融液を溜め込むことができるため、溶融凝固物が外部にはみ出て形成されるバリの発生を抑制することもできる。
【0018】
以上のようにして、上記回転検出装置の製造方法によれば、キャップと基盤部のレーザ溶接における接合強度や接合位置のばらつきを低減して、接合部の耐久信頼性および製品歩留りの高い回転検出装置を製造することができる。
【0019】
上記回転検出装置の製造方法においては、請求項2に記載のように、前記ケースと前記キャップが、共に樹脂材料からなり、前記ケースの樹脂材料のレーザ透過率は小さく、前記キャップの樹脂材料のレーザ透過率は大きいことことが好ましい。言い換えれば、前記ケースの樹脂材料のレーザ吸収率を、前記キャップの樹脂材料のレーザ吸収率に較べて大きく設定する。これによれば、キャップの外側からレーザを照射し、肉厚の薄いキャップの開口端部を透過して内面のテーパ面に当接している突き出し部の上面にレーザを照射し、該上面の周りを確実に溶融することができる。
【0020】
この場合、例えば請求項3に記載のように、前記ケースの樹脂材料と前記キャップの樹脂材料を、共にPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂とし、前記ケースのPPS樹脂が、前記キャップのPPS樹脂材料に較べて、カーボンブラックを多く含む構成とすることが好ましい。これによれば、カーボンブラックの含有量を適宜設定することで、ケースおよびキャップに好適な所望するレーザ透過率を持つ樹脂材料を得ることができる。また、ケースとキャップは基本的に同じPPS樹脂からなるため、レーザ溶接した場合には、ケースとキャップを異なる樹脂材料とした場合に較べて、高い強度を持つ接合部を形成することができる。
【0021】
上記回転検出装置の製造方法においては、請求項4に記載のように、前記突き出し部の上面が、前記テーパ面と同じ回転対称軸を有してなり、前記キャップを前記突き出し部の上面に押し付けた状態で前記回転対称軸の周りに回転させながら、前記突き出し部にレーザを照射することが好ましい。このように回転させながらレーザを照射することで、突き出し部の上面に対するレーザの照射が均一となり、均一な接合部を得ることができる。
【0022】
この場合、請求項5に記載のように、前記継ぎ手面において、前記突き出し部を前記回転対称軸寄りに配置し、前記キャップの底を加圧することにより、前記キャップを前記突き出し部の上面に押し付けることが好ましい。これによれば、レーザの照射と干渉しないキャップの底側から加圧した時、突き出し部を前記回転対称軸から離れて配置する場合に較べて、加圧力を突き出し部の上面により確実に伝達することができ、所望の面圧を確保することができる。
【0023】
上記回転検出装置の製造方法においては、請求項6に記載のように、前記突き出し部の周りにおける前記キャップと基盤部および磁石で構成される空隙内に前記突き出し部の溶融凝固物が充填された状態で、前記レーザの照射を停止することが好ましい。
【0024】
上記空隙内に溶融凝固物が充填されると、キャップの押し付けと突き出し部の溶融により徐々に沈み込んでいくキャップに、溶融凝固物が緩衝材となって一時的にストッパがかかった状態となる。従って、この状態でレーザの照射を停止すことで、基準面からのキャップの高さ(レーザ溶接後のキャップの沈み込み量)を一定にすることができると共に、溶融凝固物によるばりの発生も防止ずることができる。
【0025】
以上のようにして、上記回転検出装置の製造方法によれば、製造される回転検出装置のキャップと基盤部のレーザ溶接におけるばらつきを低減し、接合部の耐久信頼性および製品歩留りの高い回転検出装置を安定的に製造することができる。
【0026】
請求項7〜13に記載の発明は、上記した製造方法により製造される回転検出装置に関する。
【0027】
請求項7に記載の回転検出装置は、盤状の基盤部および該基盤部の一面から突き出るように形成され磁気検出素子を搭載する舌状保持部を有してなるケースと、バイアス磁界を発生するための筒状の磁石と、前記磁石および前記舌状保持部を密封するための有底筒状のキャップとを有してなり、前記舌状保持部が、前記磁石の中空部内に挿入されると共に、前記磁石が、前記舌状保持部と共に前記キャップ内に挿入され、前記キャップの開口端部が、円錐状に開いた内面からなるテーパ面を有してなり、該テーパ面が、対向する前記基盤部の継ぎ手面に、レーザ溶接されてなる回転検出装置であって、前記継ぎ手面における周囲より突き出て形成された突き出し部が、レーザにより溶融されて、前記テーパ面と前記継ぎ手面がレーザ溶接されてなることを特徴としている。
【0028】
請求項8に記載の回転検出装置は、 前記ケースと前記キャップが、共に樹脂材料からなり、前記ケースの樹脂材料のレーザ透過率は小さく、前記キャップの樹脂材料のレーザ透過率は大きいことを特徴としている。
【0029】
請求項9に記載の回転検出装置は、前記ケースの樹脂材料と前記キャップの樹脂材料が、共にPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂からなり、前記ケースのPPS樹脂が、前記キャップのPPS樹脂材料に較べて、カーボンブラックを多く含むことを特徴としている。
【0030】
請求項10に記載の回転検出装置は、前記突き出し部が、前記テーパ面と同じ回転対称軸を有してなることを特徴としている。
【0031】
請求項11に記載の回転検出装置は、前記継ぎ手面において、前記突き出し部が、前記回転対称軸寄りに配置されてなることを特徴としている。
【0032】
請求項12に記載の回転検出装置は、前記突き出し部の周りにおける前記キャップと基盤部および磁石で構成される空隙内に、前記突き出し部の溶融凝固物が充填されてなることを特徴としている。
【0033】
これら請求項7〜12に記載の回転検出装置の効果については、前述した製造方法において説明したとおりであり、その説明は詳細省略する。
【0034】
上記回転検出装置は、キャップと基盤部のレーザ溶接におけるばらつきが低減され、接合部の耐久信頼性および製品歩留りの高い回転検出装置となっている。従って、上記回転検出装置は、請求項13に記載のように、過酷な環境下で使用され高い耐久信頼性が要求されると共に、低コストが要求される、車載用として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図に基づいて説明する。
【0036】
図1(a)〜(c)は、図3に対応した本発明における回転検出装置の製造方法およびそれにより製造される回転検出装置の一例を示す図で、回転検出装置100において、キャップ40をケース20の基盤部25へレーザ溶接する際の様子を模式的に示した拡大断面図である。図1は、図3と同様に、図2(a)の破線で囲った部分に対応しており、図の上方に有底筒状のキャップ40の底がある。図1の回転検出装置100の基本的な構成部品は、図2に示した回転検出装置90と同様であり、ケース20の基盤部25において、キャップ40のテーパ面41tに対向する継ぎ手面の形状のみを異にしている。従って、以下の説明においては、図2を適宜参照しながら、同じ構成部品については同じ符号を用いて説明する。
【0037】
図1に示す製造方法によって製造される回転検出装置100は、図2の回転検出装置90と同様で、盤状の基盤部25および該基盤部25の一面から突き出るように形成され磁気検出素子を搭載する舌状保持部21を有してなるケース20と、バイアス磁界を発生するための筒状の磁石30と、磁石30および舌状保持部21を密封するための有底筒状のキャップ40とを有している。図1の回転検出装置100についても、図2に示すように、舌状保持部21が、磁石30の中空部31内に挿入されると共に、磁石30が、舌状保持部21と共にキャップ40内に挿入される。また、キャップ40の開口端部41は、円錐状に開いた内面からなるテーパ面41tを有している。
【0038】
一方、回転検出装置100を製造するに当たっては、図3に示した回転検出装置90の製造方法と異なり、図1(a)に示すように、キャップ40のテーパ面41tに対向する基盤部25の継ぎ手面25uに、周囲より突き出た突き出し部26を形成している。そして、図1(b)に示すように、キャップ40を突き出し部26の上面26tに押し付けながら突き出し部26にレーザを照射して、突き出し部26を溶融する。これによって、図1(c)に示すように、接合部50を形成し、キャップ40のテーパ面41tとケース20の継ぎ手面25uをレーザ溶接する。
【0039】
従来の図3に示した回転検出装置90の製造方法においては、キャップ40のテーパ面41tを、同じテーパ状の対向する基盤部25の継ぎ手面25tの全面に押し付けた状態で、レーザ溶接を行っていた。これに対して、図1に示した回転検出装置100の製造方法においては、キャップ40のテーパ面41tに対向する基盤部25の継ぎ手面25uに突き出し部26を形成し、キャップ40を突き出し部26の上面26tに押し付けながらレーザ溶接を行うものである。
【0040】
図1に示した回転検出装置100の製造方法において、継ぎ手面25uに形成される突き出し部26は周囲より突き出ているため、図1(a)に示すようにキャップ40のテーパ面41tを基盤部25の継ぎ手面25uに押し付けた場合には、必ず所定位置の突き出し部26の上面26tで当接することとなる。また、突き出し部26の上面26tは、キャップ40のテーパ面41tより小さな面積となる。このため、上記図1の製造方法においてキャップ40を突き出し部26の上面26tに押し付けた状態での面圧は、押し付け力が同じであっても、従来の図3の製造方法に較べて高い面圧となる。従って、キャップ40のテーパ面41tにうねり等がある場合であっても、押し付け時にはその影響を低減することができ、キャップ40のテーパ面41tと突き出し部26の上面26tの隙間を低減して、ボイドの少ない接合部50を形成することができる。
【0041】
また、ケース20の継ぎ手面25uに突き出し部26を形成する図1の製造方法では、図1(a)に示すように、キャップ40のテーパ面41tが押し付けられた突き出し部26の上面26tの周囲には、キャップ40と基盤部25および磁石30で、空隙Sが構成されることとなる。従って、図1(b)に示すように、キャップ40のテーパ面41tが当接した所定位置にある突き出し部26の上面26tにレーザを照射することで、上記空隙Sがあることにより周りへの熱の散逸が小さいため、突き出し部26の上面26tの周りを確実に溶融することができる。また、上記空隙S内にはレーザの照射時に発生する融液を溜め込むことができるため、溶融凝固物60が外部にはみ出て形成されるバリの発生を抑制することもできる。
【0042】
以上のようにして、図1に示す回転検出装置100の製造方法によれば、キャップ40と基盤部25のレーザ溶接における接合強度や接合位置のばらつきを低減して、接合部50の耐久信頼性および製品歩留りの高い回転検出装置を製造することができる。
【0043】
次に、図1に示した回転検出装置100の製造方法において、好ましい実施形態を詳しく説明する。
【0044】
上記回転検出装置100の製造方法において、ケース20(基盤部25)とキャップ40は、共に樹脂材料からなり、ケース20の樹脂材料のレーザ透過率は小さく、キャップ40の樹脂材料のレーザ透過率は大きいことが好ましい。言い換えれば、ケース20の樹脂材料のレーザ吸収率を、キャップ40の樹脂材料のレーザ吸収率に較べて大きく設定する。これによって、図1(b)に示すように、キャップ40の外側からレーザを照射し、肉厚の薄いキャップ40の開口端部41を透過して内面のテーパ面41tに当接している突き出し部26の上面26tにレーザを照射し、該上面26tの周りを確実に溶融することができる。
【0045】
この場合、例えば、ケース20の樹脂材料とキャップ40の樹脂材料を、共にPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂とし、ケース20のPPS樹脂が、キャップ40のPPS樹脂材料に較べて、カーボンブラックを多く含む構成とすることが好ましい。これによれば、カーボンブラックの含有量を適宜設定することで、ケース20およびキャップ40に好適な所望するレーザ透過率を持つ樹脂材料を得ることができる。また、ケース20とキャップ40は基本的に同じPPS樹脂からなるため、レーザ溶接した場合には、ケース20とキャップ40を異なる樹脂材料とした場合に較べて、高い強度を持つ接合部50を形成することができる。
【0046】
上記回転検出装置100の製造方法においては、突き出し部26の上面26tが、図1中に一点鎖線で示したキャップ40のテーパ面41tと同じ回転対称軸を有してなり、図1(b)に示したレーザ溶接工程において、キャップ40を突き出し部26の上面26tに押し付けた状態で上記回転対称軸の周りに回転させながら、突き出し部26にレーザを照射することが好ましい。このように回転させながらレーザを照射することで、突き出し部26の上面26tに対するレーザの照射が均一となり、図1(c)に示す接合後においては、均一な接合部50を得ることができる。
【0047】
上記のように突き出し部26の上面26tとキャップ40のテーパ面41tが同じ回転対称軸を有する構成とする場合には、ケース20の継ぎ手面25uにおいて、突き出し部26を図中に一点鎖線で示した回転対称軸寄りに配置し、キャップ40の底を加圧することにより、キャップ40を突き出し部26の上面26tに押し付けることが好ましい。これによれば、図1(b)に示すように、レーザの照射と干渉しないキャップ40の底側から加圧した時、突き出し部26を前記回転対称軸から離れて配置する場合に較べて、加圧力を突き出し部26の上面26tにより確実に伝達することができ、所望の面圧を確保することができる。
【0048】
また、上記回転検出装置100の製造方法においては、図1(c)に示すように、突き出し部26の周りにおけるキャップ40と基盤部25および磁石30で構成される上記空隙S内に突き出し部26の溶融凝固物60が充填された状態で、レーザの照射を停止することが好ましい。
【0049】
上記空隙S内に溶融凝固物60が充填されると、キャップ40の押し付けと突き出し部26の溶融により徐々に沈み込んでいくキャップ40に、溶融凝固物60が緩衝材となって一時的にストッパがかかった状態となる。従って、この状態でレーザの照射を停止すことで、図1(c)に示す基準面からのキャップ40の高さH(レーザ溶接後のキャップの沈み込み量)を一定にすることができると共に、溶融凝固物60によるばりの発生も防止ずることができる。
【0050】
以上のようにして、図1で例示した本発明の回転検出装置の製造方法によれば、製造される回転検出装置のキャップと基盤部のレーザ溶接におけるばらつきを低減し、接合部の耐久信頼性および製品歩留りの高い回転検出装置を安定的に製造することができる。
【0051】
また、回転検出装置100で例示した本発明の製造方法により製造される回転検出装置の効果については、前述した製造方法において説明したとおりであり、その説明は詳細省略する。上記したように、本発明の回転検出装置は、キャップ40と基盤部25のレーザ溶接におけるばらつきが低減され、接合部50の耐久信頼性および製品歩留りの高い回転検出装置となっている。従って、本発明の回転検出装置は、過酷な環境下で使用され高い耐久信頼性が要求されると共に低コストが要求される、車載用として好適である。
- 【公開番号】特開2009−63452(P2009−63452A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【発明の名称】回転検出装置の製造方法およびそれにより製造される回転検出装置
【発明者】
【氏名】奥井 陽一
【氏名】角谷 和好
【氏名】河本 保典
【氏名】荻野 明彦
- 【出願番号】特願2007−231975(P2007−231975)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
- 【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
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