ポンプ装置
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- 【要約】
【課題】ラジアル軸受とスラスト軸受間に液体による潤滑膜を確実に形成でき、冷却及び潤滑を良好に持続させること。
【解決手段】軸体16の内部に、一端が羽根車14の吸込口3a側に臨んで開放され、他端が上記ラジアル軸受15と上記スラスト軸受17との摺接面41に臨んで開放されたスリット状流路40を形成したポンプ装置である。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を給排する羽根車を内蔵したポンプ部と、ポンプ部が収納され上記流体を吸排する吸込口と吐出口とを備えたポンプケースと、上記羽根車を回転駆動するモータ部とを備え、羽根車の中心部に羽根車のラジアル荷重を受ける円筒状のラジアル軸受を取り付け、ラジアル軸受をポンプ部内に支持される軸体の外周面に回転自在に嵌め込みむと共に、ラジアル軸受に面して羽根車のスラスト荷重を受けるスラスト軸受を配置したポンプ装置であって、上記軸体の内部に、一端が羽根車の吸込口側に臨んで開放され、他端が上記ラジアル軸受と上記スラスト軸受との摺接面に臨んで開放されたスリット状流路を形成したことを特徴とするポンプ装置。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置に関し、詳しくはラジアル軸受とスラスト軸受間に液体による潤滑膜を確実に形成するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のポンプ装置として、図3に示すように、流体を吸排する羽根車14を内蔵したポンプ部5と、ポンプ部5を収納すると共に流体の吸込口3と吐出口4とを備えたポンプケース6と、羽根車14を回転駆動するモータ部7(ロータ9、ステータ10)とを備え、羽根車14の中心部に羽根車14のラジアル荷重を受ける円筒状のラジアル軸受15を取り付け、ラジアル軸受15をポンプ部5内に支持される軸体16の外周面に回転自在に嵌め込んだ構造が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところが上記特許文献1に見られる従来例では、吸込口3aからの液体は回転する羽根車14に設けた複数の羽根13,13…によって外周方向Aへ圧送され、ポンプケース6の側面に設けた吐出口4からポンプ装置外部に吐出されるものであるが、このとき、羽根車14の吸込口3a付近では負圧になるため、羽根車14は軸体16のスラスト方向(図3の上方)へ引っ張り荷重が加わる。そこでポンプケース6と羽根車14との間に、スラスト荷重を受けるスラスト軸受17を配置して、ラジアル軸受15及びポンプケース6の磨耗を抑えるようにしている。
【0004】
しかしながら、上記ラジアル軸受15とスラスト軸受17との摺接面41に液体が潤滑膜を形成している間は磨耗が低減されるが、摩擦熱によって液体がなくなると磨耗を起こし、発熱によりポンプ寿命が低下する要因となる。
【0005】
他の従来例として、ラジアル軸受を液体潤滑させて冷却及び潤滑させる流れの一部として、スラスト軸受も冷却及び潤滑する構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
ところがこの従来例では、高揚程・低流量の小型ポンプの場合、内部循環水の流れも遅く、しかも高揚程であるので、軸受の発熱や磨耗が生じやすく、ポンプ寿命を短くするという問題がある。
【特許文献1】特開2005−48675号公報
【特許文献2】特開平8−303380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、ラジアル軸受とスラスト軸受間に液体による潤滑膜を確実に形成でき、冷却及び潤滑を良好に持続させることができる長寿命のポンプ装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明は、液体を給排する羽根車14を内蔵したポンプ部5と、ポンプ部5が収納され上記流体を吸排する吸込口3と吐出口4とを備えたポンプケース6と、上記羽根車14を回転駆動するモータ部7とを備え、羽根車14の中心部に羽根車14のラジアル荷重を受ける円筒状のラジアル軸受15を取り付け、ラジアル軸受15をポンプ部5内に支持される軸体16の外周面に回転自在に嵌め込むと共に、ラジアル軸受15に面して羽根車14のスラスト荷重を受けるスラスト軸受17を配置したポンプ装置であって、上記軸体16の内部に、一端が羽根車14の吸込口3a側に臨んで開放され、他端が上記ラジアル軸受15と上記スラスト軸受17との摺接面41に臨んで開放されたスリット状流路40を形成したことを特徴としている。
【0009】
このような構成とすることで、羽根車14の回転により吸込口3aから吸い込まれた流体が外周方向Aへ圧送される際に、その液体の一部が軸体16の端部に開放されたスリット状流路40内に、毛細管現象及び羽根車14の回転による遠心力によって吸引され、さらにスリット状流路40の他端からラジアル軸受15とスラスト軸受17との摺接面41に向けて吐出される。これにより摺接面41にはスリット状流路40から吐出する液体による潤滑膜が常に形成されるようになるので、軸受15,17間の冷却及び潤滑が良好に行なわれ、発熱及び磨耗を確実に抑制できるようになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、軸体の内部に形成したスリット状流路の他端をラジアル軸受とスラスト軸受との摺接面に臨んで開放したことにより、摺接面には液体による潤滑膜が常に形成されることとなり、発熱及び磨耗を確実に抑制できる結果、ポンプ寿命を長く延ばすことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0012】
図2は、遠心ポンプ1を利用した冷却循環装置の一例であり、リザーブタンク50内の流体(冷媒、水又は不凍液)は遠心ポンプ1によって冷却器52へ送られて、発熱部品53の熱を奪うことで温度が上昇し、その後、放熱器54へ送られて冷やされ、温度が低下した状態で配管51を通ってリザーブタンク50へ戻される。このような冷却循環装置は遠心ポンプ1により流体を循環させて発熱部品53を冷却するものである。
【0013】
図1(a)は本実施形態の遠心ポンプからなるポンプ装置1の一例を示しており、本体ケース2の上端には、流体を吸排するポンプ部5を内蔵するポンプケース6が配置されている。ポンプケース6には、吸込口3と吐出口4とが設けられ、吸込口3は図2のリザーブタンク50の出側に配管接続され、吐出口4は図2の冷却器52の入側に配管接続されている。ポンプケース6は例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)等のプラスチックやステンレス等の金属で構成されている。
【0014】
本体ケース2内には、ポンプ部5の駆動源となるモータ部7が収納されている。本体ケース2内には防水隔壁8が設けられ、例えばアルミニウム等の金属や耐熱性プラスチック等で構成される。
【0015】
上記モータ部7は、磁界を発生させる円筒形状のステータ10と、そのステータ10を制御する制御部と、ステータ10及び制御部の露出を防ぐ蓋12とを備えている。ステータ10及び制御部は防水隔壁8の外側に配置されている。
【0016】
一方、ポンプ部5には、流体を吸排するための羽根車14が内蔵されている。
【0017】
羽根車14は、例えばPPS等のプラスチック等で構成され、円板状の前面シュラウド20と後面シュラウド21とが複数の羽根(インペラ)13,13……を介して溶着されたものであり、羽根13,13……間の空間が流体通路70となっている。
【0018】
後面シュラウド21の中心側には小径筒部21bが突設され、この小径筒部21bの内側に焼成カーボン或いはモールドカーボンからなる円筒状のラジアル軸受15が嵌入されており、ラジアル軸受15の内側に円柱形状の軸体16が挿入されている。この軸体16は例えばステンレス等の金属で構成され、軸体16の上端部がポンプケース6の軸支持部6bに回動自在に遊挿され、軸体16の下端部が防水隔壁8の底部中央側の台座部27の凹部27aに嵌着されて固定されている。
【0019】
上記羽根車14のラジアル軸受15の軸方向の両端側にはそれぞれ、セラミック等からなる中空円板形状のスラスト軸受17が摺接しており、羽根車14の回転により生じるスラスト荷重をスラスト軸受17にて受け止めるようにしている。
【0020】
上記後面シュラウド21の外周側には、羽根車14の中心と同心円状の大径筒部21aが突設され、大径筒部21aの外周側に円筒形状のロータ9が一体に取り付けられている。このロータ9は防水隔壁8を挟んでモータ部7のステータ10と対向配置されている。ロータ9の外面には永久磁石が固定されており、上記ステータ10が発生させた磁界によりロータ9が回転駆動され、ロータ9と一体の後面シュラウド21が回転することで、羽根車14全体が回転駆動する仕組みとなっている。
【0021】
上記羽根車14の前面シュラウド20の中心側には、ポンプケース6の吸込口3側に向けて突出する円筒状の吸入口マウス部22が設けられている。吸入口マウス部22の口径は、吸込口3の出口部よりも大きく形成されている。
【0022】
ここで、本発明においては、羽根車14のラジアル軸受15が嵌め込まれる軸体16の内部に、一端が羽根車14の吸込口3a側に臨んで開放され、他端が上記ラジアル軸受15と上記スラスト軸受17との摺接面41に臨んで開放されたスリット状流路40が形成されている。このスリット状流路40は、図1(b)に示すように、軸体16の軸方向から見て十字状に形成されている。これにより、スリット状流路40の他端が周方向に90°の間隔をおいて4箇所で開放され、ラジアル軸受15とスラスト軸受17間の摺接面41に向かって均等に液体を吐出させるようにしている。
【0023】
次に動作を説明する。ステータ10に制御電流が印加されると、ステータ10が磁界を発生させ、この磁界によりロータ9が回転駆動する。ロータ9が回転駆動すると、ロータ9と一体化された羽根車14が回転駆動する。これにより吸込口3aから流体が吸い込まれて、吸入口マウス部22を通って羽根車14内の流体通路70に吸入されると共に回転する複数の羽根13,13……により外周方向Aに向かう遠心力が付与されて、吐出口4から吐出される。
【0024】
しかして、羽根13,13……の回転によって流体が外周方向Aへ圧送される際に、吸込口3a側からの液体の一部が、毛細管現象及び羽根車14の回転による遠心力によって、軸体16の端部に設けたスリット状流路40の一端から吸引されて、スリット状流路40の他端からラジアル軸受15とスラスト軸受17との摺接面41に向けて吐出される。これにより摺接面41には液体による潤滑膜が常に形成されるようになるので、軸受15,17間の冷却及び潤滑が良好に行なわれ、ポンプの発熱及び磨耗を確実に抑制できるようになる。しかも羽根車14の回転の増加に応じて遠心力が高くなるので、羽根車14が高速回転するほど、スリット状流路40からの液体の吐出流を早めることができるので発熱や磨耗を効率よく低減できるようになる。結果、ポンプ寿命を長く延ばすことができるものである。
- 【公開番号】特開2009−7961(P2009−7961A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【発明の名称】ポンプ装置
【発明者】
【氏名】酒井 敏輔
【氏名】阿南 哲也
- 【出願番号】特願2007−168235(P2007−168235)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】
【識別番号】000005832
【氏名又は名称】パナソニック電工株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫
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