スポンサード リンク
火災報知システム
スポンサード リンク
- 【要約】
【課題】同一感知器回線に接続した2報目までに発報した火災感知器を特定できるようにする。
【解決手段】受信機から引き出された感知器回線に複数の火災感知器を接続したP型の火災報知システムに於いて、火災感知器は、火災を検出して発報した際に火災発報信号とアドレス信号を順次出力する発報制御部と、火災発報信号が出力された場合に第1の電圧変化によって共通の火災信号を送信する第1スイッチング回路と、アドレス信号が出力された場合に第1の電圧変化よりも大きな第2の電圧変化によってアドレス信号を送信する第2スイッチング回路とを備え、受信機は、共通の火災信号を受信して警報すると共にアドレス信号を受信して、感知器回線に接続した2報目までに発報した発報感知器を識別する受信制御部を備える。
スポンサード リンク
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の火災感知器を接続した感知器回線に流れる電流の変化による感知器回線端子間の電圧変化に基づいて火災を報知する受信機を備えた火災報知システムに於いて、
前記火災感知器は、
火災を検出して発報した際に火災発報信号を出力し、続いて自己のアドレス信号を出力する発報制御部と、
前記発報制御部から前記火災発報信号が出力された場合に、前記感知器回線に第1の電流を与えることによって前記感知器回線端子間に第1の電圧変化を発生させて前記受信機に前記複数の火災感知器に共通の火災信号を送信する第1スイッチング回路と、
前記発報制御部から前記アドレス信号が出力された場合に、前記感知器回線に第2の電流を与えることによって前記感知器回線端子間に第2の電圧変化を発生させて前記受信機に前記アドレス信号を送信する第2スイッチング回路と、
を備え、
前記第1のスイッチング回路による前記第1の電圧変化は、通常時の前記感知器回線端子間電圧に対し所定の電圧低下であり、
前記第2のスイッチング回路による前記第2の電圧変化は、前記第1の電圧変化より大きな電圧低下による前記発報制御部からの前記アドレス信号に基づくパルス変化であり、
前記発報制御部は、前記複数の火災感知器のうち、自己以外の火災感知器による前記第2の電圧変化が与えられていない時にのみ、前記第2のスイッチング回路に対して前記アドレス信号を出力し、
前記第2の電圧変化の最大値が、前記複数の火災感知器の少なくとも2台分の前記第1の電圧変化よりも大きいことを特徴とする火災報知システム。
【請求項2】
請求項1記載の火災報知システムに於いて、
前記第1スイッチング回路は、前記感知器回線端子間に大きな抵抗を接続して前記感知器回線に第1の電流を与え、
前記第2スイッチング回路は、前記感知器回線端子間に小さな抵抗を接続して前記感知器回線に第2の電流を与えることを特徴とする火災報知システム。
【請求項3】
請求項1記載の火災報知システムに於いて、前記第1スイッチング回路は、前記感知器回線に前記第1の電流として5乃至30ミリアンペアの範囲にある定電流を与えることを特徴とする火災報知システム。
【請求項4】
請求項1記載の火災報知システムに於いて、
前記第1スイッチング回路は、前記感知器回線端子間電圧を前記第1の電圧変化でクランプすることで前記共通の火災信号を送信し、
前記第2スイッチング回路は、前記感知器回線端子間電圧を前記クランプした電圧と前記第2の電圧変化の最大値との間でパルス変化させて前記アドレス信号を送信することを特徴とする火災報知システム。
【請求項5】
請求項1記載の火災報知システムに於いて、前記発報制御部は、同一感知器回線の2報目以降の発報では前記第1スイッチング回路による共通の火災信号の送信を禁止することを特徴とする火災報知システム。
【請求項6】
請求項1記載の火災報知システムに於いて、前記発報制御部は、前記第2スイッチング回路によるアドレス信号の送信を繰り返すことを特徴とする火災報知システム。
【請求項7】
請求項1記載の火災報知システムに於いて、前記受信機は、前記共通の火災信号を受信して警報すると共にアドレス信号を受信して発報した火災感知器の少なくとも2台を識別する受信制御部を備えたことを特徴とする火災報知システム。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機から引き出された感知器回線に複数の火災感知器を接続し、回線単位に火災感知器の発報を受信して警報する火災報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、P型として知られた火災報知システムにあっては、受信機から引き出された感知器回線に複数の火災感知器を接続し、回線単位に火災感知器からの発報信号を受信して火災を警報するようにしている。
【0003】
一方、R型として知られた火災報知システムにあっては、受信機から引き出された伝送路に、伝送機能を備えた中継器やアナログ火災感知器等の端末装置を接続し、火災検出時には例えば端末装置からの火災割込みに基づき、検索コマンドを発行して発報した端末装置のアドレスを特定し、火災発生アドレスを表示すると共に、特定した端末装置から火災データを収集して監視するようにしている。
【0004】
このように火災を検出した火災感知器や中継器のアドレスが分かると、適切な避難誘導や消火活動が可能となり、特に規模の大きな設備の火災監視には不可欠な機能となっている。
【0005】
しかし、P型の火災報知システムにおいては、受信機ではどの感知器回線が火災発報したかが判るが、発報した感知器回線に接続された複数の感知器の中のどの感知器が発報したのかは判らない。
【0006】
そこで、近年、P型の火災報知システムについても、発報した火災感知器からアドレス信号を送信して発報した火災感知器を特定できるようにしている。図12は従来のP型火災報知システムにおける火災発報時の感知器回線電圧と火災感知器のスイッチング回路のタイムチャートである。
【0007】
同じ感知器回線に接続している複数の火災感知器のうち、例えばアドレス2番を設定した火災感知器が時刻t1で火災を検出して発報したとすると、発報した火災感知器に設けているスイッチング回路をオンすることで感知器回線に共通の火災信号としての発報電流を流し、このため図12(A)の感知器回線の電圧が監視時の例えば24Vから10Vに低下する。続いて発報した火災感知器は図12(B)に示すスイッチング回路のアドレス2番を示すスイッチング動作によりアドレス信号を送信し、これにより感知器回線電圧は10Vと24Vとの間で変化する。
【0008】
受信機にあっては、時刻t1で火災発報したアドレス2番の火災感知器から送信された共通の火災信号、即ち受信機から発報した火災感知器に流れる発報電流を受信して警報を行い、火災の共通信号に続いて受信されるアドレス信号から発報した火災感知器アドレスを特定して火災発生地区などの必要な表示を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−184571号公報
【特許文献2】特開2004−38647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の発報した火災感知器から共通の火災信号に加えてアドレス信号を送信するようにしたP型火災報知システムにあっては、最初に火災発報した1報目の火災感知器を特定することは可能であるが、その後に同一感知器回線に接続している他の火災感知器が発報する2報目以降については、火災感知器を特定することができない問題がある。
【0011】
本発明は、同一感知器回線に接続した2報目までに発報した火災感知器を特定できるようにしたP型の火災報知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。本発明は、複数の火災感知器を接続した感知器回線に流れる電流の変化による感知器回線端子間の電圧変化に基づいて火災を報知する受信機を備えた火災報知システムに於いて、火災感知器は、火災を検出して発報した際に火災発報信号を出力し、続いて自己のアドレス信号を出力する発報制御部と、発報制御部から火災発報信号が出力された場合に、感知器回線に第1の電流を与えることによって感知器回線の端子間に第1の電圧変化を発生させて受信機に複数の火災感知器に共通の火災信号を送信する第1スイッチング回路と、発報制御部からアドレス信号が出力された場合に、感知器回線に第2の電流を与えることによって感知器回線端子間に第2の電圧変化を発生させて受信機にアドレス信号を送信する第2スイッチング回路とを備え、第1のスイッチング回路による第1の電圧変化は、通常時の感知器回線端子間電圧に対し所定の電圧低下であり、第2のスイッチング回路による第2の電圧変化は、第1の電圧変化より大きな電圧低下による前記発報制御部からの前記アドレス信号に基づくパルス変化であり、発報制御部は、複数の火災感知器のうち、自己以外の火災感知器による第2の電圧変化が与えられていない時にのみ、第2のスイッチング回路に対してアドレス信号を出力し、第2の電圧変化の最大値が、複数の火災感知器の少なくとも2台分の第1の電圧変化よりも大きいことを特徴とする。
【0013】
ここで、第1スイッチング回路は、感知器回線端子間に大きな抵抗を接続して感知器回線に第1の電流を与え、第2スイッチング回路は、感知器回線端子間に小さな抵抗を接続して感知器回線に第2の電流を与える。また、第1スイッチング回路は、感知器回線に第1の電流として5乃至30ミリアンペアの範囲にある定電流を与える。
【0014】
第1スイッチング回路は、感知器回線端子間電圧を第1の電圧変化でクランプすることで共通の火災信号を送信し、第2スイッチング回路は、感知器回線端子間電圧をクランプした電圧と第2の電圧変化の最大値との間でパルス変化させてアドレス信号を送信する。
【0015】
発報制御部は、火災を検出した同一感知器回線の2報目以降の発報では第1スイッチング回路による共通の火災信号の送信を禁止する。発報制御部は、火災を検出した同一感知器回線の2報目以降の発報では、1報目の火災感知器から送信されるアドレス信号に対し異なる時間に第2スイッチング回路からアドレス信号を送信する。発報制御部は、第2スイッチング回路によるアドレス信号の送信を繰り返す。
【0016】
受信機は、共通の火災信号を受信して警報すると共にアドレス信号を受信して発報した火災感知器の少なくとも2台を識別する受信制御部を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、火災感知器が発報すると共通の火災信号として例えば小さな電流信号を送信するため、同じ感知器回線に接続している複数の火災感知器が発報しても共通の火災信号の総和は小さく、感知器回線の電圧低下による感知器の動作停止を確実に防止できる。
【0018】
また小さな電流信号として共通の火災信号を送信中に、大きな電流信号との間の変化でアドレス信号を送信しているため、複数の火災感知器が発報した状態であっても、発報した複数の火災感知器のアドレス信号を十分な信号変化として受信機に送り、少なくとも2報目までの発報した感知器アドレスを認識して表示や制御が確実にできる。
【0019】
また2報目以降に発報した火災感知器について共通の火災信号の送信を禁止した場合には、共通の火災信号として感知器回線に流れる発報電流は1報目の火災感知器分だけであり、複数の火災感知器が発報しても発報電流は増加せず、その結果、感知器回線の電圧も1報目の発報状態に維持され、発報感知器の台数が増加しても感知回線電圧が低下して火災感知器が動作不能となることはない。
- 【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明が適用される火災報知システムの説明図
【図2】図1の火災感知器の実施形態の説明図
【図3】図1の感知器回線の1つを取り出して本発明による火災発報制御機能を示した説明図
【図4】図3における火災発報時の共通の火災信号とアドレス信号の送信動作を示したタイムチャート
【図5】図3においてアドレス信号の送信を繰り返した場合のタイムチャート
【図6】図3の火災感知器による発報制御処理を示したフローチャート
【図7】本発明の火災受信機による受信制御処理を示したフローチャート
【図8】2報目の火災発報で共通の火災信号の送信を禁止した本発明の火災感知器による発報制御処理のフローチャート
【図9】本発明による火災感知器の他の実施形態の説明図
【図10】図9の火災感知器による火災発報時の共通の火災信号とアドレス信号の送信動作を示したタイムチャート
【図11】本発明による火災感知器の他の実施形態の説明図
【図12】従来システムにおける発報制御のタイムチャート
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
- 【公開番号】特開2010−157263(P2010−157263A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【発明の名称】火災報知システム
- 【出願番号】特願2010−50103(P2010−50103)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
- ※以下のタグをホームページ中に張り付けると便利です。
-
当サイトではIPDL(特許電子図書館)の公報のデータを著作権法32条1項に基づき公表された著作物として引用しております、
収集に関しては慎重に行っておりますが、もし掲載内容に関し異議がございましたらお問い合わせください、速やかに情報を削除させていただきます。