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鉄道信号機の視認可否を確認する方法及び装置
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- 【要約】
【課題】 隣接する複数の鉄道信号機やその他のノイズ成分の中から目的の鉄道信号機の視認可否の確認を行えるようにすること。
【解決手段】 i番目とi+1番目の点滅パターンが同じだった場合には、j+1番目の画像の画素の輝度A j+1とj番目の画像の画素の輝度Ajとの差の絶対値が閾値Thを超えているか否か判定し、閾値Thを越えない場合には1、超えた場合には0とし、領域を抽出する抽出処理を行う(207)。i番目のとi+1番目の点滅パターンが異なった場合には、j+1番目の画像の画素の輝度A j+1とj番目の画像の画素の輝度Ajとの差の絶対値が閾値Thを超えているか否か判定し、閾値Thを越えた場合には1、超えない場合には0とし、領域を抽出する処理を行う(208)。Nビット全てのフレームで上述の二値化処理が行われたら、Nビット分の前記の抽出領域の集合演算を行い(211)、その結果で鉄道信号機の視認可否を確認する(212)。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道信号機に取り付けられた赤外線発光機に視認地点の方向に向けてID点滅パターンの赤外線発光を行わせ、前記視認地点で前記赤外線発光を赤外線ビデオカメラで撮影し、前記赤外線ビデオカメラの撮影画像の現在のフレームと一つ前のフレームの差分に対して閾値を設け、前記閾値を越えた場合には「1」、前記閾値を越えない場合には「0」とする二値化処理を行って、前記赤外線発光機の輝度の変化を見ることで点滅パターンを認識するようにしたことを特徴とする鉄道信号機の視認可否を確認する方法。
【請求項2】
鉄道信号機に取り付けられた赤外線発光機に視認地点の方向に向けてID点滅パターンの赤外線発光を行う赤外線発光機、前記視認地点で前記赤外線発光を撮影する赤外線ビデオカメラ、及び、前記赤外線ビデオカメラの撮影画像の画像処理装置とで構成された鉄道信号機の視認可否を確認する装置において、前記赤外線ビデオカメラの撮影画像の現在のフレームと一つ前のフレームの差分に対して閾値を設け、前記閾値を越えた場合には「1」、前記閾値を越えない場合には「0」とする二値化処理を行って、前記赤外線発光機の輝度の変化を見ることで点滅パターンを認識するようにしたことを特徴とする鉄道信号機の視認可否を確認する装置。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規定された距離で建植された鉄道信号機の点灯、消灯を確認できるか否かを確認する方法及び装置、即ち、鉄道信号機の視認可否を確認する方法及び装置である。前記規定された距離は、視認距離とも呼ばれるもので、例えば600mや800mと定められている。なお、本明細書で鉄道信号機とは、鉄道用色灯式信号機、標識又は特殊信号発光機である。
【背景技術】
【0002】
近年の鉄道用色灯式信号機の色灯の光源には、特開2000−052988号公報(特許文献1)や特開2001−213322号公報(特許文献2)に記載されている如く、信号電球でなくLEDが用いられている。これは省電力化と、定期的な電球交換作業が不要になるなどの省力化が同時に実現できるからである。
【0003】
鉄道信号機は色灯の点灯又は消灯により、列車の運転士に列車運行情報を伝達する装置である。上記の列車運行情報は、列車の運転士が鉄道信号機の色灯の点灯又は消灯を目視確認することで伝達されるので、運転士が信号を見落とした場合には上記列車運行情報が正しく伝達されない危険性がある。また、鉄道信号機は線路脇に建植されるものであるため、設置場所に制約があるという問題もある。そこで、特開平11−348784号公報(特許文献3)に記載されている如く、標識情報を記憶させた無線式電子タグを、標識と共に線路脇に設置し、車上に搭載した無線式インタロケータにより、列車通過時に読み取った前記標識情報を車内に表示する無線式鉄道標識が提案されているが、未だ実施に至っていない。従って、鉄道信号機の色灯の点灯又は消灯による標識情報を列車の運転士が目視確認することは、現行の列車運行に必要不可欠な情報伝達方法である。
【0004】
それだけに、列車の運転士に列車運行情報を伝達する鉄道信号機は、その色灯の点灯又は消灯が視認地点から列車の運転士が確実に視認できるように、その色灯は送光方向が適切な向きになるよう建植されていなければならない。また、鉄道信号機と視認地点とを結ぶ光路上に光を遮断する樹木等の障害物が存在しないようにしなければならない。そのために、建植時の鉄道用信号機の視認可否が可として正しく確保されていることの確認が重要であるが、現状は鉄道信号機の建植地点と視認地点のそれぞれに作業員を配置して手作業で行われている。
【0005】
建植地点の作業員は鉄道信号機に付けられている視認可否確認用覗き穴から視認地点の方向を見ることで、凡その送光方向を調節する。その後、目視地点の作業員が鉄道信号機の色灯の点灯又は消灯を目視できた場合には鉄道信号機の視認可否が可であると確認する。目視できなかった場合には鉄道信号機の視認可否は否であると言えるので、光路上に障害物がないかを調べ、あればそれを除去する。障害物がなければ、建植地点の作業員と携帯電話機叉は無線機で連絡し合って、鉄道信号機の送光方向を調節する。この送光方向の調節は、建植地点の作業員が上記覗き穴から視認地点の方向を覗きながら微調整することで行われる。このような手作業と作業員の目視による確認作業を伴うものであるため、これまでの鉄道信号機の視認可否の確認は作業効率が悪いという問題がある。しかも、視認可否確認作業のために日中の営業時間に、実際に鉄道信号機を点灯又は消灯することは、列車の運転士に誤った列車運行情報を与えることになるので現実には難しい問題がある。
【0006】
そこで、本出願人は先に、視認地点の方向に向けて鉄道信号機に取り付けられ且つ確認用ビットパターンの赤外線発光を行う赤外線発光機、前記視認地点で前記赤外線発光を撮影する赤外線ビデオカメラ、及び、前記赤外線ビデオカメラの撮影画像を画像処理し、撮影された発光パターンと前記確認用ビットパターンとの同一性を判定する画像処理装置とで構成された鉄道信号機の視認可否を確認する方法及び装置を開発し、これを特許出願(特願2007−249232)した。
【0007】
この鉄道信号機の視認可否を確認する方法及び装置により、列車の運転士に影響を及ぼさないように、実際に信号機の点灯又は消灯することなく、鉄道信号機の視認可否を確認する方法と装置が提供された。また、本発明により、鉄道信号機の視認可否の確認作業中に、列車の運転士に誤った列車運行情報を与えることは全くなくなった。また、鉄道信号機の視認可否の確認が作業員の主観によるものでなはなく、定量的な判断に基いて行うことが可能になった。
【0008】
ところで、踏切が隣接している場合など鉄道信号機が隣接している場合には、上述の鉄道信号機の視認可否を確認する方法及び装置では、例えば800m離れた地点において視認可否の確認を行えない場合があることが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−052988号公報
【特許文献2】特開2001−213322号公報
【特許文献3】特開平11−348784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする第1の課題は、隣接する複数の鉄道信号機やその他のノイズ成分の中から目的の鉄道信号機の視認可否の確認を視認地点で行えるようにすることである。
本発明が解決しようとする第2の課題は、日中などの全体的に明るい状況や、夕方などの全体的に暗い状況でも、隣接する複数の鉄道信号機やその他のノイズ成分の中から目的の鉄道信号機の視認可否の確認を視認地点で行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、視認地点の方向に向けて鉄道信号機に取り付けられ且つ固有の点滅パターンの赤外線発光を行う赤外線発光機、前記視認地点で前記赤外線発光を撮影する赤外線ビデオカメラ、及び、前記赤外線ビデオカメラの撮影画像の画像処理装置とで構成された鉄道信号機の視認可否を確認する方法及び装置において、前記赤外線ビデオカメラの撮影画像の現在のフレームと一つ前のフレームの差分に対して閾値を設け、前後のフレームのビットパターンの推移に応じて前記閾値を越えた場合には「1」若しくは「0」、前記閾値を越えない場合には「0」若しくは「1」とする二値化処理を行って、前記赤外線発光機の輝度の変化を見ることで点滅パターンを認識するようにした。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、隣接する複数の鉄道信号機の中から目的の鉄道信号機の視認可否の確認を視認地点で行えるようなった。しかも、日中などの全体的に明るい状況や、夕方などの全体的に暗い状況でも、隣接する複数の鉄道信号機の中から目的の鉄道信号機の視認可否の確認を視認地点で行えるようになった。更に、本発明に係る鉄道信号機の視認可否を確認する装置は、その3つの構成装置のうちの赤外線ビデオカメラと画像処理装置は市販の装置を利用できるものであり、且つ赤外線発光機は簡単な構成のものであるから、製造コストは安く、且つ作業性が高いという特長を有する。
- 【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る鉄道信号機の視認可否を確認する装置の概要説明図である。
【図2】本発明に係る鉄道信号機の視認可否を確認する装置のブロック構成図である。
【図3】赤外線発光機の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】確認装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】確認装置図4の処理の流れを概念的に示した概念図である。
【図6】赤外線発光素子が点灯状態から滅灯状態に変化したときにノイズが乗っていないときの赤外線カメラの撮影画像のフレーム差分の概念図(a)と赤外線発光素子が点灯状態のままで変化がないときにノイズが乗ったときの赤外線カメラの撮影画像のフレーム差分の概念図(b)である。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
- 【公開番号】特開2010−173597(P2010−173597A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【発明の名称】鉄道信号機の視認可否を確認する方法及び装置
- 【出願番号】特願2009−21341(P2009−21341)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
- 【代理人】
【識別番号】100079212
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 義治
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