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列車検知装置の故障検知装置
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- 【要約】
【課題】踏切バックアップ地上子の故障判定にフェールセーフを実現する。
【解決手段】踏切の手前に設定された踏切用軌道回路と、列車の非常停車に必要な距離を確保した上でできる限り踏切に近い位置に踏切バックアップ装置が設置されている。バックアップ用地上子5は、無警報状態となった状態で、列車が通過したときに、その列車に非常停止制御をかけ、踏切の手前に停止させる。自己診断ユニット14は、踏切バックアップ装置の受信器7に設置され、自己診断信号と、検知時間判定部の判定信号および出力時時間延長部の判定信号が正規の範囲内の値であるかどうかを判定し、何れかの信号の少なくとも一つが正規の範囲外の値を示すときに故障を判定する。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己診断機能を有する列車検知装置の故障検知装置であって、
列車検知装置は、列車の非常停止に必要な距離を確保した上でできる限り踏切に近い位置に設置されたバックアップ地上子と受信器とを有し、
バックアップ地上子は、踏切用軌道回路の列車検知不能により無警報状態となった状態で、列車がバックアップ地上子上を通過したときに、その列車に非常停止制御をかけ、踏切の手前に停止させるものであり、
前記受信器は、バックアップ地上子に接続され、該バックアップ地上子上を通過した列車を検知するものであり、
自己診断機能は、列車の検知の有無に関わらず、常時動作して自己診断用にバックアップ地上子を介して返送される信号及び装置内の複数の信号が正規の範囲内の値であるかどうかを判定し、何れかの信号の少なくとも一つが正規の範囲外の値を示すときに故障判定信号を出力するものであることを特徴とする列車検知装置の故障検知装置。
【請求項2】
前記受信器は、電源ユニットと、列車検知ユニットと、論理ユニットと、自己診断ユニットとから構成され、
電源ユニットは、踏切器具箱内の踏切制御回路より供給される電源電圧から各ユニットに必要な電源を生成し、生成した電源を各ユニットの内部回路に供給するものであり、
列車検知ユニットは、踏切無警報時に、列車がバックアップ地上子上を通過した際に、バックアップ地上子の検知コイルから123kHzの信号を検知して論理ユニットに列車検知信号を出力し、論理ユニットからの応答を受け、バックアップ条件として踏切動作制御指令を踏切制御回路に出力するものであり、
論理ユニットは、列車検知ユニットから列車検知信号を受け、その信号から線区の最高速度に応じた検知時間の判定を行い、列車検知時間を延長して踏切動作に必要な信号の出力時間を作成し、その信号を列車検知ユニットに戻すものであり、
自己診断ユニットは、列車検知部、検知時間判定部、出力時間延長部を含む少なくとも3つのブロックに分けて自己診断を行うものであり、
列車検知部の診断は、バックアップ地上子に対し、自己診断信号を出力し、その応答信号を受信し、バックアップ地上子を含む列車検知部の動作の正否を判断し、故障と判断されたときには、その故障情報を踏切制御回路に出力するものであり、
検知時間判定部及び出力時間延長部の診断は、論理ユニットで設定された列車検知時間及び踏切動作用信号出力時間の回路について、内部信号の周波数を検定することによって行うものであることを特徴とする請求項2に記載の列車検知装置の故障検知装置。
【請求項3】
前記故障判定信号は、装置内のいずれかの回路が故障したことを必ず判定できる信号であり、
自己診断ユニットは、故障判定リレーを有し、
故障判定リレーは、自己診断用に地上子を介して返送される信号及び装置内の複数の信号のいずれか一つが正規の範囲外の時に動作して故障情報を発するものであることを特徴とする請求項2に記載の列車検知装置の故障検知装置。
【請求項4】
自己診断ユニットは、ミキサ回路と、フィルタ回路とを有し、
ミキサ回路は、2段以上直列に接続され、前段に入力された判定信号と後段に入力される判定信号とを混合してその合成信号を出力するものであり、
フィルタ回路は、それぞれ所定の通過帯域が設定され、第1段に入力された判定信号を最初ミキサ回路に入力する際、および前記合成信号を通し、所定の通過帯域範囲内の信号を正常判定信号として後段のミキサ回路に出力するものであり、最終段のミキサ回路から出力された正常判定信号は、フェールセーフ駆動回路の動作信号となり、出力が無信号のときに故障の判定を行うものであることを特徴とする請求項2に記載の列車検知装置の故障検知装置。
【請求項5】
各判定信号を入力する各段のフィルタ回路の前段及びミキサ回路の前段には、それぞれ逓倍/分周回路が設置され、
各逓倍/分周回路は、フィルタ回路の性能に合わせて入力信号の周波数を調整するものであることを特徴とする請求項4に記載の列車検知装置の故障検知装置。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車検知装置の故障検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
踏切保安装置は、踏切警報機、踏切遮断機その他の設備によって構成される。踏切遮断機は、道路通行者に対し、踏切があることを明確に表示、警報するとともに、列車が接近、通過するとき音と光とにより警報して道路通行を停止させるための装置であり、踏切遮断機は、遮断かんによって道路交通を遮断する装置である。
【0003】
踏切保安装置に今ひとつ重要な装置に列車検知装置がある。列車検知装置は、踏切の手前の一定の位置に列車が進入してきたことを検知する装置である。列車検知装置には、踏切制御子や踏切用軌道回路が知られている。これらは、いずれも列車の車輪がレールを短絡することで列車の接近を検知する方式である。
【0004】
しかしながら、踏切制御子や踏切用軌道回路のように、車輪がレールを短絡することで列車を検知する方式によるときには、錆の発生や落ち葉の堆積などによってレール間の短絡が阻害され、踏切の無警報が発生するという虞がある。現在行われている踏切の無警報を防ぐための有効な対策として鳴動開始点に踏切バックアップ装置を設置する方法がある。
【0005】
踏切制御子や踏切軌道回路の補完として踏切バックアップ装置を設置したときには、踏切制御子や踏切軌道回路が列車の車輪によって短絡しなくても、踏切バックアップ装置による列車の検知によって踏切を所定通りに鳴動させることができる。このように電気的な接触による検知方式である踏切制御子又は踏切軌道回路と無線検知方式である地上子との併用により、お互いのデメリットを補い、単独での検知による弊害を解消することができる。
【0006】
特許文献1には、踏切の鳴動開始点に踏切バックアップ装置を設置するだけにとどまらず、踏切制御子と踏切バックアップ装置とを常時監視し、何れかの一方に故障が発生した時に、いずれの機器が故障したかを検知し、その検知情報を出力する装置が記載されている。この装置は、要するに、故障検知アダプタと故障検知受信器とを有する列車検知装置の故障検知装置であり、故障検知アダプタは、踏切制御子の動作と、踏切バックアップ装置の動作とを常時比較し、動作の不一致が発生したときにその不一致の検知情報を故障検知受信器に伝送し、故障検知受信器は、故障検知アダプタより伝送された不一致の検知情報を処理し、不具合が生じた踏切制御子あるいは踏切バックアップ装置を特定して報知するというものである。
【0007】
ところで、踏切の鳴動開始点に踏切バックアップ装置を導入するときには、ケーブルの布設に多大のコストがかかると言われているが、それでも踏切制御子の電源は、踏切器具箱からケーブルを通して供給され、踏切バックアップ装置を踏切制御子に近接して設置されることから、踏切制御子のケーブルを踏切バックアップ装置のケーブルに共用し、踏切制御子及び踏切バックアップ装置によって検知された列車検知信号出力の検知手段を受信箱内に組み込むことによって踏切制御子の監視はもとよりバックアップ地上子を監視することは可能である。
【0008】
ところが、踏切用軌道回路はバッテリーあるいは商用電源を通じて電源が軌道回路に供給される仕組みであるため、踏切バックアップ装置を導入するためには、踏切器具箱から、踏切バックアップ装置まで新たにケーブルを布設しなければならない。特に制御区間が長い踏切に踏切バックアップ装置を設置しようとするときには、制御区間の長さに対応して長大なケーブルの布設が必要となり、軌道回路方式の踏切については、そのバックアップ対策を行う場合の難点となっていた。
【0009】
このような問題を解決する方法として、踏切バックアップ装置を従来よりも踏切の近くに設置することでケーブル布設長さの短縮によるコストダウンを図る試みがある。つまり、踏切が無警報状態のときに地上子を通過した場合には、列車に非常停止制御をかけ、踏切の手前に列車を停止させようという試みである(非特許文献1参照)。しかし、この試みを軌道回路方式の踏切に適用しようとするときには、特許文献1における踏切制御子等の踏切制御回路と、踏切バックアップ装置との組み合わせのように両機器の動作比較による故障検知が困難であるという問題がある。
【0010】
故障判定のさらに重要な問題点は、一般に複数のフェールセーフな故障判定を実現するに際し、従来はフェールセーフリレー駆動回路及びリレーを複数個用意して回路を構成していたという点である。すなわち、リレーは高い信頼性をもっているため、故障の有無を判定しようとする信号(判定信号)が増えるほど、リレーの数が増えて価格が増大し、また、リレーは半導体回路に比して重量が大きいために判定信号の数が増えるほど全体の重量が増大するという問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第2972999号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】JR東日本研究開発センター JR EAST Technical Review No.17 autumn 2006 P54〜58「踏切の無警報対策」 森 健司
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
解決しようとする問題点は、バックアップ地上子を導入した制御回路方式の踏切において、バックアップ地上子の故障判定にフェールセーフを実現しようとするに際し、踏切制御回路と、踏切バックアップ装置との動作比較が困難であるという問題があるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、踏切バックアップ装置の故障判定に際し、踏切バックアップ装置の内部回路で自己診断を行う点を最大の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明による列車検知装置の故障検知装置によれば、故障の判定は踏切バックアップ装置の内部回路の自己診断によって故障検知を行うため、踏切用軌道回路からの列車検出信号との比較の必要がなく、ATS機能により列車に非常停止をかけるためバックアップ地上子の設置位置をできるだけ踏切に近づけてケーブルの布設長さの短縮を図ることができる。
【0016】
また故障の判定に際しては、列車の検知の有無に関わらず自己診断用にバックアップ地上子を介して返送される信号及び装置内の複数の信号が正規の範囲内の値であるかどうかを判定し、何れかの信号の少なくとも一つが正規の範囲外の値を示すときにフェールセーフ駆動回路の駆動を停止して故障判定信号を出力するようにしたので、故障判定回路の構成を軽量化、簡略化を実現できる。
- 【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】故障検知装置に自己診断ユニットを組み込んだ列車検知装置の配置例を示す図である。
【図2】本発明のシステムの構成を示す図である。
【図3】受信器の機能を含めてバックアップ地上子の故障の有無を判定する要領を示す図である。
【図4】逓倍あるいは分周回路を導入して故障判定を行う場合の例を示す図である。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
- 【公開番号】特開2010−195200(P2010−195200A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【発明の名称】列車検知装置の故障検知装置
- 【出願番号】特願2009−42525(P2009−42525)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
- 【代理人】
【識別番号】100075306
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 中
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