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収納装置及び収納装置据付方法
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- 【要約】
【課題】重量物である消火栓装置などの収納装置のトンネル内での据付け作業を少ない人数で且つ安全を確保しながら行うことのできる収納装置及び収納装置据付方法を提供する。
【解決手段】クレーン84により消火栓装置10を上部がトンネル壁面側に近く下部がトンネル壁面から離れるように重心Gの位置からずらして傾斜状態で吊上げ、この状態でトンネル壁面の刳り貫き部82に振り子移動して装置下部を架台11の位置で略水平状態として載置させる。消火栓装置10は、筐体を側面から見て重心Gを通る垂直線より前方に位置する筐体上面に設けた吊り輪にフックを掛けて吊上げる。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱型形状を有する筐体内に機器を収納した収納装置に於いて、
前記筐体を側面から見て重心を通る垂直線より前方に位置する筐体上面に吊下げ部材を設けたことを特徴とする収納装置。
【請求項2】
請求項1記載の収納装置に於いて、前記吊下げ部材は筐体上面の左右方向の2箇所に設けたことを特徴とする収納装置。
【請求項3】
請求項1記載の収納装置に於いて、前記吊下げ部材はクレーンから垂下したフックを係合する吊り輪部材であることを特徴とする収納装置。
【請求項4】
請求項1記載の収納装置に於いて、前記筐体を側面から見て重心を通る垂直線が位置する筐体上面に第2の吊下げ部材を設けたことを特徴とする収納装置。
【請求項5】
トンネル壁面に形成された刳り貫き部に設置された架台上に収納装置を設置する収納装置据付方法に於いて、
クレーンにより前記収納装置を上部がトンネル壁面側に近く下部がトンネル壁面から離れるように重心位置からずらして傾斜状態で吊上げ、
前記収納装置の傾斜吊上げ状態で前記刳り貫き部に振り子移動して装置下部を前記架台位置で略水平状態として載置させる、
ことを特徴とする収納装置据付方法。
【請求項6】
請求項1記載の収納装置据付方法に於いて、前記筐体を側面から見て重心を通る垂直線より前方に位置する筐体上面に設けた吊下げ部材にフックを掛けて吊上げることを特徴とする収納装置据付方法。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火栓扉をハンドル装置の操作で開いて放水ノズル付きホースを引き出して放水する消火栓装置などの収納装置及び収納装置据付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路などのトンネル内には、火災発生時に備えて消火栓装置が設置されている。
【0003】
図10は従来のトンネルに設置された消火栓装置100の正面図であり、図11はトンネル断面図であり、トンネル壁面に箱抜きとして形成された刳り貫き部104に設置された架台102上に消火栓装置100を据え付け、消火栓装置100には下側から立ち上げられた配管101が接続されている。
【0004】
図12はトンネル壁面の刳り貫き部104に対する従来の消火栓装置100の据え付け作業を示した説明図である。図10において、トラック等の荷台に並べてトンネル現場に運ばれた消火栓装置100は、クレーン108により吊上げられ、図示のように刳り貫き部104の手前の位置に移動される。消火栓装置100の上部には吊り輪106が設けられており、ここにロープ110の先端のフックを掛けて吊上げている。吊り輪106は消火栓装置100の重心Gの位置に対応して設けられており、このためクレーン108で吊り上げた場合、傾きを起こすことなく、架台102に対する据え付け姿勢と同じ正しい吊上げ状態となる。
【0005】
続いて、クレーン106に吊上げている消火栓装置100を作業員が刳り貫き部104に向けて押し込み、消火栓装置100aに示すように、装置下部を架台102に乗り上げさせ、この状態で作業員が手前に倒れないように押し込みながらクレーン108のロープ110を緩めて外し、図11に示すように、架台102に乗せた状態に押し込んで位置合せし、最終的に装置内の底部をアンカーボルトにより架台102に固定するようにしている。
【特許文献1】特開2005−318972号公報
【特許文献2】特開2003−38676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような消火栓装置のトンネル壁面に対する据付方法にあっては、クレーン108で消火栓装置100を吊上げた場合、トンネル壁面が湾曲面となっているため刳り貫き部104から離れた位置となり、クレーン108で吊上げたままスイングするように刳り貫き部104に向けて押し込み、装置下部が筐体102の先端に乗り上げたら、ワイヤー110を外して押し込むが、このとき消火栓装置100の重心Gは架台102上にないため、作業員がきちんと支えないと落下する可能性があり、特に、消火栓装置100の重量は100〜200Kgと重いことから、3,4人の作業員で支える必要があり、据付作業に常に危険が伴い、また作業員も充分な人数を確保する必要があり、手間と時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、重量物である消火栓装置などの収納装置のトンネル内での据付け作業を少ない人数で且つ安全を確保しながら行うことのできる収納装置及び収納装置据付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(収納装置)
本発明は、箱型形状を有する筐体内に機器を収納した収納装置に於いて、筐体を側面から見て重心を通る垂直線より前方に位置する筐体上面に吊下げ部材を設けたことを特徴とする。
【0009】
ここで、吊下げ部材は筐体上面の左右方向の2箇所に設ける。また、吊下げ部材はクレーンから垂下したフックを係合する吊り輪部材である。
【0010】
また、筐体を側面から見て重心を通る垂直線が位置する筐体上面に第2の吊下げ部材を設ける。
(据付方法)
本発明は、トンネル壁面に形成された刳り貫き部に設置された架台上に収納装置を設置する収納装置据付方法に於いて、
クレーンにより収納装置を上部がトンネル壁面側に近く下部がトンネル壁面から離れるように重心位置からずらして傾斜状態で吊上げ、
収納装置の傾斜吊上げ状態で刳り貫き部に振り子移動して装置下部を架台位置で略水平状態として載置させる、
ことを特徴とする。
【0011】
ここで、筐体を側面から見て重心を通る垂直線より前方に位置する筐体上面に設けた吊下げ部材にフックを掛けて吊上げる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、収納装置を重心から外した位置でクレーンにより吊上げることにより、上部からトンネル壁面に近く、下部がトンネル壁面から離れるように、傾斜した状態で吊上げ、この傾斜吊上げ状態でトンネル壁面の刳り貫き部に向けて押し込むと、傾斜していた収納装置が振り子移動することで、据付時の正しい姿勢となるように傾きがなくなり、装置下部が刳り貫き部に設置している架台と略平行となった状態で架台上に位置し、このとき収納装置の重心が架台上か又は架台に近い位置にあり、この状態でクレーンのワイヤーを外しても、軽く支えているだけで手前に倒れてくることはなく、100〜200Kgといった重量物であっても、少ない人数で安全に収納装置をトンネル内に据え付けることができる。
【0013】
また筐体を側面から見て重心を通る垂直線が位置する筐体上面に第2の吊下げ部材を設け、トラックの荷台に並べている収納装置をクレーンで吊上げて設置場所に降ろす際には、第2の吊下げ部材を使用することで、収納装置を傾けることなく吊上げることができ、隣に並んだ収納装置をこすってしまうことを確実に防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の収納装置としてトンネルに設置される消火栓装置を例にとって実施形態を示した正面図である。図1において、消火栓装置10は、消火栓側の筐体12−1と消火器側の筐体12−2に分割した構造であり、前面に化粧板14−1,14−2を装着しており、筐体12−1,12−2に対し必要な機器及び部材を組付けた後に連結固定部15で固定した状態とし、この状態でトンネル現場に搬入して架台11上に設置している。
【0015】
化粧板14−1,14−2には扉開口部16,17が設けられている。第1筐体12−1の扉開口部16には、消火栓扉18と保守扉22が設けられており、その内部がホース収納部及びバルブ類収納部となっている。消火栓扉18は下側のヒンジ21を中心に前方に開閉することができ、通常時は一対のハンドル20によるロックで図示の閉鎖位置に閉じており、ハンドル20に手を入れて手前に引くとロックが外れ、開くことができる。
【0016】
消火栓扉18の上には、ヒンジ23により上向に開閉する保守扉22が設けられており、点検時に消火栓扉18を開いて内側のロックを外すことで開くことができる。また、第1筐体12−1の上部両側には、トンネル壁面の刳り貫き部に据え付けるために装置を吊り上げるための吊り輪25が取り付けられている。
【0017】
第2筐体12−2の扉開口部17の右側には通報装置扉24が設けられ、ここに赤色表示灯26、発信機28、及び応答ランプ30を設けている。なお、通報装置扉24の内側には図2に示すように電話ジャック31を設けている。
【0018】
赤色表示灯26は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機28を押してスイッチボタンをオンすると、発信信号が監視室の火災受信機に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が火災受信機から送られて、応答ランプ30を点灯するようにしている。
【0019】
扉開口部17の左側には消火器扉32が設けられ、消火器扉32に対応した筐体12の内部を消火器収納部とし、例えば2本の消火器を収納している。消火器扉32にはハンドル34が設けられ、ハンドル34を手前に引くとラッチが外れ、消火器扉32は左側をヒンジとして前方に開くことができる。また、消火器扉32の下側には覗き窓35が設けられ、外部から消火器の収納状態の有無を確認できるようにしている。
【0020】
図2は図1の実施形態について、第1筐体12−1側の消火栓扉18を外し、保守扉22は上向きに開いてステー27で支持した状態で内部構造を示した正面図である。図2において、第1筐体12−1の左側にはホース収納部36が形成され、右側にバルブ類収納部38を形成している。
【0021】
扉開口部16の下側両角部には、消火栓扉18が開放されるときに扉内面に当接して消火栓扉18をゆっくりと開放させる緩衝部材65が設けられている。
【0022】
ホース収納部36にはフレームパイプを水平方向で上下に配置したバケットフレーム40に配置され、内部にホース収納空間を形成している。バケットフレーム40は一方のパイプを正面から見てU字形で且つ平面から見て横L字形となるように屈曲しており、左側の上下のパイプ端は第1筐体12−1の左側面の内壁面に固定され、右側の屈曲端部はフレームホルダ45により筐体背面の内壁面に固定されている。
【0023】
バケットフレーム40の中央には縦方向に2本のホースガイド42が固定され、その中にホース引出し口を形成している。ホースガイド42はホース44を引き出す際に、内巻きしているホース44が崩れたり、扉開口部16に擦れてホース44が損傷したり折れたりすることを防ぐ。
【0024】
バケットフレーム40及び筐体内壁で囲まれたホース収納部36にはホース44が内巻きして収納されている。ここで、右側のバルブ類収納部38の下部にはホース接続口46が配置されており、ホース接続口46にホース44の1次側を接続した後、ホース44をホース収納部36に巻き込むことになるが、この場合のホース44の巻き込みは、扉開口部16から見て右巻きとなるようにホース44を巻き込んでいる。
【0025】
即ち、ホース接続口46に接続したホース44は、まず第1筐体12−1の下側内壁に沿うようにホース収納部36方向に向かい、ホース収納部36の下側から巻き込まれ、その後に、右回りに収納部内に巻き込まれ、最後にノズル48を装着したホース先端をバケットフレーム40中央付近に取り付けられたホースガイド42の間から取り出し、下側のバケットフレーム40に装着しているノズルホルダー50にノズル48を着脱自在に装着している。
【0026】
第1筐体12−1に設けたホース収納部36の右側に配置したバルブ類収納部38には、ポンプ設備からの配管が接続される消火栓接続口51からホース接続口46に至る配管系統に、給水弁52、消火栓弁、自動調圧弁、自動排水弁、及びメンテナンス装置60を設けている。このうち消火栓弁に設けた消火栓弁開閉レバー64に対応して銘板66が設けられており、銘板66の裏側に消火栓弁、自動調圧弁、自動排水弁が配置されて放水作業時に操作しない構成部品を隠している。
【0027】
縦方向に配列された配管系統は第1筐体12−1の右側縁よりに配置してあり、扉開口部16の端に寄せることで消火栓扉18を開いたときに配管系統を目立たなくして、扉開口部16内の構成部品をスッキリとさせている。
【0028】
図3は図1について内部構造を示した側面図であり、バルブ類収納部の構造を示している。図3において、第1筐体12−1の前面の閉鎖状態にある消火栓扉18は、ハンドル操作によりラッチを解除することで、ヒンジ21を中心に図示の前方位置に開くことができる。
【0029】
この場合、消火栓扉18には、ノズルや消火栓弁開閉レバーが設けられていないことから軽量化されており、開放の際の衝撃を吸収するダンパーを必ずしも設ける必要はなく、簡単なダンパ機構やバネ機構などの緩衝機構65を設けるだけで良い。
【0030】
バルブ類収納部38には、給水弁52、消火栓弁54、自動調圧弁56及びメンテナンス装置60が縦方向に連設配置されている。自動排水弁58は消火栓弁54の2次側に装着されている。
【0031】
メンテナンス装置60には点検装置挿入口62が設けられ、点検時に点検装置のホース先端に装着しているアダプタを点検装置挿入口62に装着し、3方に連通したメンテナンス装置60の流路を、ホース接続口側を遮断し点検装置側に限定する。
【0032】
消火栓弁54には直接に消火栓弁開閉レバー64が装着されている。即ち消火栓弁開閉レバー64が図示の上向き位置の閉位置のとき、消火栓弁54は閉状態であり、このとき配管内に消火用水が存在せず、圧がないことから自動排水弁58は開状態にある。
【0033】
消火栓弁開閉レバー64を下向きとなる開位置に操作すると、消火栓弁54が開放位置に作動され、配管内に圧が上昇して自動排水弁58は閉鎖位置に作動される。これによって、給水接続口51から加圧された消火用水を自動調圧弁56を通して所定圧に調圧した後、ホース44側に供給するようにしている。
【0034】
同時に消火栓弁開閉レバー64の背後に設置しているスイッチがオンし、これによってポンプ設備に信号が送られ、ポンプ設備が起動される。放水を停止する際には、消火栓弁開閉レバー64を元の上向き位置に戻すと消火栓弁54が閉じ、同時にスイッチがオフとなってポンプ設備の運転停止が行われる。
【0035】
図4は図1について吊り輪と重心の位置関係を示した平面図である。図4において、第1筐体12−1と第2筐体12−2は連結固定部15でボルト、ナットにより固定されており、全体として平面から見た重心Gの位置は第1筐体12−1側に存在している。
【0036】
これは図2の内部構造から明らかなように、第1筐体12−1側にはホース収納空間36とバルブ類収納空間38が形成されてホース44及び各種バルブ類を含む機器が組み込まれ、消火栓収納部39が形成された第2筐体12−2に対し、装置全体としての重量のほとんどが第1筐体12−1側にあることに依存している。
【0037】
筐体12−1側の重心Gを通る筐体正面と平行な重心通過線70に対し、吊り輪25は吊り輪通過線72に示すように、装置前方に距離ΔLだけずらして配置している。また2個の吊り輪25はサイズ及び重量の大きな筐体12−1側に設けている。
【0038】
筐体を吊上げた際の左右のバランスをとるためには重心Gに対し左右同じ距離に吊り輪を配置することが望ましいが、そうすると筐体12−1と筐体12−2に分かれて吊り輪を配置することになる。
【0039】
しかし、筐体12−1と筐体12−2に分けて吊り輪を配置した場合、クレーンにより吊上げた時に、連結固定部15を折り曲げる方向の荷重が加わることとなり、連結固定部は隔壁の連結であることから、それほど強度は高くなく、大きく歪む可能性がある。そこで本実施形態にあっては、筐体12−1側に2個の吊り輪25を配置して吊上げ時に連結固定部15に大きな荷重が加わらないようにしている。
【0040】
図5は図1について吊り輪と重心の位置関係を示した側面図であり、側面方向から見た重心Gを通る重心通過線74に対し、吊り輪25を通る吊り輪通過線78は装置前方に距離ΔLだけずらして配置している。ここで、吊り輪25にはクレーンのワイヤー先端に設けたフックが係合され、このため吊り輪25のリング穴の上端のP点が吊上げ点となる。
【0041】
図6は図5について吊り輪により吊り上げた際の消火栓装置の姿勢を示した側面図である。消火栓装置10の吊り輪25にクレーンのワイヤー先端に設けたフックを掛けてP点で吊上げたとすると、吊上げ点Pを通る垂直方向の吊下げ線80上に重心Gが来たときの消火栓装置12の姿勢で安定し、この吊上げ安定状態で消火栓装置10は、筐体上部がトンネル壁面側に近づき、筐体下部がトンネル壁面からは離れた傾斜姿勢となる。
【0042】
このときの消火栓装置10の重心Gを通る筐体前面に平行な重心通過線74の吊下げ線80に対する傾斜角θは、図5の重心通過線74と吊り輪通過線78の距離ΔLに依存して決まり、重心Gと吊下げ点Pの垂直方向の距離をHとすると、
θ=sin-1(ΔL/H)
の関係にあり、ΔLを調整することで、傾斜角θを最適値に調整することができる。
【0043】
図7は本発明による消火栓装置の据付作業を示した説明図である。工場で完成した消火栓装置はトラックの荷台に積まれ、据付場所となるトンネル工事現場に運搬されて据付作業が行われる。
【0044】
トンネル壁面には箱抜きにより刳り貫き部82が形成され、刳り貫き部82の底面には架台11が設置されている。トラックの荷台に乗せている消火栓装置10は吊り輪25にワイヤー86先端のフックを係合してクレーン84により吊上げられ、図示のように、トンネル壁面の刳り貫き部82の手前に移動する。
【0045】
しかし、クレーン84のブームはトンネル壁面や壁面に設置しているケーブルや機器などにぶつかるため、刳り貫き部82の直上まで伸ばすことができず、少し離れた手前の位置に移動する。
【0046】
このとき消火栓装置10は図6に示したように、吊り輪25の取付位置が重心Gからずれているため、装置上部がトンネル壁面側に近づき、装置下部がトンネル壁面からは離れた傾斜姿勢の吊上げ状態にある。
【0047】
次に傾斜姿勢の吊上げ状態にある消火栓装置11の前に例えば二人の作業員が付き、クレーン84による吊り上げ状態のまま消火栓装置11を刳り貫き部82に向けて押し込むことで振り子移動する。
【0048】
消火栓装置10を振り子移動させると、振り角の増加、即ち刳り貫き部82に近づくにつれて、消火栓装置10の傾斜姿勢が修正されて傾きのない正しい据付姿勢に変化し、架台11の上に振り子移動させた時、装置底部は架台11に略平行な正しい据付姿勢に変化する。この振り子移動の際には消火栓装置10の下側が架台11に当らないようにワイヤー86の長さを調整しながら振り子移動し、架台11上に移動できたらワイヤー86を緩めて架台11に乗せる。
【0049】
続いて架台11に消火栓装置10の一部が乗った状態でクレーン84のワイヤー86を緩めてフックを外すことになるが、フックを外すとき架台11上に振り子移動した消火栓装置10の重心Gは架台11の先端の内側か或いは架台11の先端に近い位置にあり、ワイヤー86を外しても外側に倒れようとする力はそれほど大きくなく、一人又は二人の作業員の力で簡単に支えることができる。
【0050】
続いて消火栓装置10を架台11に対し押し込んで位置決めし、最終的に装置内の底部に設けた通し穴にアンカーボルトを入れて架台11のネジ穴に捩じ込んで固定して据付けを完了する。
【0051】
これに対し従来の据付作業にあっては、図10に示したように、消火栓装置100は傾斜姿勢となって架台102に位置し、重心が架台102の外側にあるため、クレーンのフックを外す時にきちんと支えないと落下する可能性があり、3,4人の作業員で支えなければならないという危険を伴う作業であったが、本発明にあっては、この据付作業に必要な作業員が1〜2人と少なくて済み、且つ消火栓装置をクレーンから外す際の落下の危険性がなくなることで安全性が確保され、消火栓装置の据付作業を効率良く安全に進めることができる。
【0052】
図8は本発明による消火栓装置の他の実施形態であり、この実施形態にあっては、図5に示したと同じ重心Gを通る重心通過線74に対し前方に距離ΔLだけずらした上面位置に配置した吊り輪25−1に加え、重心通過線74が通る筐体上面の位置に第2の吊り輪25−2を配置したことを特徴とする。
【0053】
図9は第2の吊り輪25−2を用いた荷降ろし作業を示している。本実施形態の消火栓装置10はトンネルの設置現場にトラックの荷台に並べて積まれた状態で運び込まれ、ます、トラックの荷台から設置場所にクレーン84を使用して消火栓装置10を荷降ろしする。このとき重心位置から前方にずれている吊り輪25−1を使用して吊上げると、図6に示したように消火栓装置10は傾き、荷台に並べている隣の消火栓装置10に当ってこすり、表面を傷付けてしまう恐れがある。
【0054】
そこで、荷降ろしの際には、図9に示すように、重心位置に対応して設けている第2の吊り輪25−2を使用してクレーン84で吊上げることで、隣の消火栓装置10をこすることなく荷降ろし作業を行うことができる。
【0055】
なお上記の実施形態にあっては、第1筐体と第2筐体の分割構造をもつ消火栓装置を例にとるものであったが、筐体一体構造の消火栓装置についても、そのまま適用することができる。
【0056】
また、第1筐体と第2筐体との分割構造をもつ上記の実施形態にあっては、サイズ及び重量の大きな第1筐体側に2個の吊り輪を設け、クレーンで吊上げた際に、筐体の連結固定部に応力が加わらないようにしているが、筐体一体構造の場合には、筐体重心位置を中心に左右の等しい距離の位置に2個の吊り輪を設け、クレーンで吊上げた際の左右バランスを取るようにすることが望ましい。
【0057】
また、上記の実施形態にあっては、消火栓装置を例にとるものであったが、トンネル壁面の刳り貫き部等にクレーン作業により設置する適宜の収納装置についても、同様に本発明を適用することができる。
【0058】
また図8の実施形態にあっては、2個の吊り輪25−1,25−2を設けているが、吊り輪は1つとし、重心通過線74か通る位置と吊り輪通過線74が通る位置の間で移動するように設けても良い。
【0059】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
- 【公開番号】特開2010−29585(P2010−29585A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【発明の名称】収納装置及び収納装置据付方法
- 【出願番号】特願2008−197507(P2008−197507)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
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