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電子機器の固定具
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- 【要約】
【課題】告知放送用の受信機の如き電子機器を、大きな梱包スペースを必要とすることなく、様々な固定形態で容易に固定することができる、固定具を提供すること。
【解決手段】受信機1を固定するための固定具20であって、平板状の本体部30と、この本体部30の少なくとも一方の端部に接続された起立部40、50とを備える。起立部40、50を本体部30に対して同一平面状に配置した平板状態と、起立部40、50を本体部30に対して当該本体部30との接続位置を中心に回動させることで起立させた第1起立状態とに変形可能とする。第1起立状態において、本体部30に対する略同一平面上の位置に受信機1の一端部を載置すると共に、起立部40、50によって受信機1の他端部を支持することにより、受信機1を本体部30に対して傾けた状態で支持可能とする。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を固定するための固定具であって、
平板状の本体部と、
前記本体部の少なくとも一方の端部に接続された起立部とを備え、
前記起立部を前記本体部に対して同一平面状に配置した平板状態と、前記起立部を前記本体部に対して当該本体部との接続位置を中心に回動させることで起立させた第1起立状態と、に変形可能であり、
前記第1起立状態において、前記本体部に対する略同一平面上の位置に前記電子機器の一端部を載置すると共に、前記起立部によって前記電子機器の他端部を支持することにより、前記電子機器を前記本体部に対して傾けた状態で支持可能としたこと、
を特徴とする電子機器の固定具。
【請求項2】
前記電子機器は正面形状が長方形状であり、
前記起立部の幅を、前記電子機器の短手方向の幅より広く、かつ、前記電子機器の長手方向の幅より狭くし、
前記第1起立状態において、
前記電子機器の下方側の短手側部を前記本体部に対する略同一平面上の位置に載置した縦置き状態では、前記電子機器の上方側の短手側部を前記起立部によって側方から挟持可能とし、
前記電子機器の下方側の長手側部を前記本体部に対する略同一平面上の位置に載置した横置き状態では、前記電子機器の上方側の長手側部を前記起立部によって下方から支持可能としたこと、
を特徴とする請求項1に記載の電子機器の固定具。
【請求項3】
前記本体部又は前記起立部には、当該固定具を平面状の設置面に取り付けるための設置面取付手段と、当該固定具に前記電子機器を取り付けるための電子機器取付手段とを設け、
前記平板状態において、当該固定具を前記設置面に沿った向きで前記設置面取付手段を介して当該設置面に取り付けると共に、当該固定具に前記設置面に沿った向きで前記電子機器取付手段を介して前記電子機器を取り付け可能としたこと、
を特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器の固定具。
【請求項4】
前記本体部に、前記設置面取付手段及び前記電子機器取付手段を設け、
前記起立部を、前記本体部から切り離し自在としたこと、
を特徴とする請求項3に記載の電子機器の固定具。
【請求項5】
前記本体部の両方の端部の各々に前記起立部を備え、
両方の前記起立部を前記本体部に対して同一平面状に配置した前記平板状態と、一方の前記起立部を前記本体部に対して当該本体部との接続位置を中心に回動させることで起立させた前記第1起立状態と、両方の前記起立部を前記本体部に対して当該本体部との接続位置を中心に回動させることで起立させた第2起立状態と、に変形可能であり、
前記第2起立状態においては、両方の前記起立部によって前記電子機器の端部を挟持することにより、前記電子機器を前記本体部に対して直立させた状態で支持可能としたこと、
を特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子機器の固定具。
【請求項6】
前記起立部には、当該起立部を前記本体部に対して当該本体部との接続位置を中心に回動させた状態において、当該起立部から前記本体部に対する略同一平面上の位置に延出することにより、当該起立部を支持する起立支持片を設けたこと、
を特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電子機器の固定具。
【請求項7】
前記本体部と前記起立部を樹脂材を用いて一体に成形し、当該本体部と当該起立部との接続位置に凹部を形成することにより、当該凹部を中心として当該起立部を当該本体部に対して回動可能としたこと、
を特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電子機器の固定具。
【請求項8】
前記電子機器は、送信手段から送信された告知放送信号を受信する受信機であること、
を特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電子機器の固定具。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器を固定するための固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
センターから複数の住戸に対して各種の告知放送を行うための告知放送システムが普及している。この告知放送システムは、概略的に、センター側に配置したセンター装置と、各住戸内に設置した受信機とを、CATV等の伝送線路を介して相互に接続して構成されている。そして、地域のイベント開催等の一般放送や、火災や地震が発生した時の緊急放送を行う際、センター装置は告知放送信号を伝送線路を介して送信し、この告知放送信号を受信機が受信して、告知放送をスピーカにて音声出力する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような受信機を住戸内に固定する形態としては、壁面に固定する形態と、床面や卓上に載置する形態を挙げることができる。従来、壁面に固定する場合には、最初に平板状の専用の取付ステーを取り付けネジにて壁面に固定し、次いで取付ステーに対して受信機を係止させることで、この取付ステーを介して受信機を壁面に固定していた。また、床面や卓上に載置する場合には、取付ステー等の固定手段を用いることなく、単に床面や卓上に受信機を直接置いていた。
【0004】
【特許文献1】特開平9−8753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特に近年の受信機には、受信機に録音された告知放送の再生を指示するための再生ボタンや、告知放送の録音状態を示す表示灯のように、様々な操作手段や表示手段が設けられており、単に床面や卓上に受信機を置いた場合には、これら操作手段や表示手段の視認性が悪く不便であった。このような課題を解消するためには、受信機を傾けた状態で固定するためのスタンドを利用することが考えられる。
【0006】
しかし、スタンドを単に立体的な構造で形成した場合には、スタンドが嵩張り、梱包スペースが大きく増加する等、好ましくない事態となる。
【0007】
また、受信機の設置形態は利用者によって様々であり、設置形態を事前に予測することはできないため、壁面固定用の取付ステーと床面固定用のスタンドの両方を受信機に付属させて販売する必要が生じる等、受信機の販売コストの上昇を招くために好ましくない。
【0008】
さらに、受信機を傾けた状態で固定する場合であっても、縦置きと横置きの2状態のいずれかを利用者が任意に選択して固定したい場合があり、縦置き用のスタンドと横置き用のスタンドを付属させる必要が生じる等、受信機の販売コストの一層の上昇を招くために好ましくない。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、告知放送用の受信機の如き電子機器を、大きな梱包スペースを必要とすることなく、様々な固定形態で容易に固定することができる、固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の電子機器の固定具は、電子機器を固定するための固定具であって、平板状の本体部と、前記本体部の少なくとも一方の端部に接続された起立部とを備え、前記起立部を前記本体部に対して同一平面状に配置した平板状態と、前記起立部を前記本体部に対して当該本体部との接続位置を中心に回動させることで起立させた第1起立状態と、に変形可能であり、前記第1起立状態において、前記本体部に対する略同一平面上の位置に前記電子機器の一端部を載置すると共に、前記起立部によって前記電子機器の他端部を支持することにより、前記電子機器を前記本体部に対して傾けた状態で支持可能としたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の電子機器の固定具は、請求項1に記載の電子機器の固定具において、前記電子機器は正面形状が長方形状であり、前記起立部の幅を、前記電子機器の短手方向の幅より広く、かつ、前記電子機器の長手方向の幅より狭くし、前記第1起立状態において、前記電子機器の下方側の短手側部を前記本体部に対する略同一平面上の位置に載置した縦置き状態では、前記電子機器の上方側の短手側部を前記起立部によって側方から挟持可能とし、前記電子機器の下方側の長手側部を前記本体部に対する略同一平面上の位置に載置した横置き状態では、前記電子機器の上方側の長手側部を前記起立部によって下方から支持可能としたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の電子機器の固定具は、請求項1又は2に記載の電子機器の固定具において、前記本体部又は前記起立部には、当該固定具を平面状の設置面に取り付けるための設置面取付手段と、当該固定具に前記電子機器を取り付けるための電子機器取付手段とを設け、前記平板状態において、当該固定具を前記設置面に沿った向きで前記設置面取付手段を介して当該設置面に取り付けると共に、当該固定具に前記設置面に沿った向きで前記電子機器取付手段を介して前記電子機器を取り付け可能としたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の電子機器の固定具は、請求項3に記載の電子機器の固定具において、前記本体部に、前記設置面取付手段及び前記電子機器取付手段を設け、前記起立部を、前記本体部から切り離し自在としたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の電子機器の固定具は、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子機器の固定具において、前記本体部の両方の端部の各々に前記起立部を備え、両方の前記起立部を前記本体部に対して同一平面状に配置した前記平板状態と、一方の前記起立部を前記本体部に対して当該本体部との接続位置を中心に回動させることで起立させた前記第1起立状態と、両方の前記起立部を前記本体部に対して当該本体部との接続位置を中心に回動させることで起立させた第2起立状態と、に変形可能であり、前記第2起立状態においては、両方の前記起立部によって前記電子機器の端部を挟持することにより、前記電子機器を前記本体部に対して直立させた状態で支持可能としたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に記載の電子機器の固定具は、請求項1から5のいずれか一項に記載の電子機器の固定具において、前記起立部には、当該起立部を前記本体部に対して当該本体部との接続位置を中心に回動させた状態において、当該起立部から前記本体部に対する略同一平面上の位置に延出することにより、当該起立部を支持する起立支持片を設けたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項7に記載の電子機器の固定具は、請求項1から6のいずれか一項に記載の電子機器の固定具において、前記本体部と前記起立部を樹脂材を用いて一体に成形し、当該本体部と当該起立部との接続位置に凹部を形成することにより、当該凹部を中心として当該起立部を当該本体部に対して回動可能としたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項8に記載の電子機器の固定具は、請求項1から7のいずれか一項に記載の電子機器の固定具において、前記電子機器は、送信手段から送信された告知放送信号を受信する受信機であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の電子機器の固定具によれば、電子機器を固定する際には第1起立状態とすることで当該電子機器を傾けた状態で支持できる一方、梱包時には平板状態にして梱包スペースを節約することが可能となる。
【0019】
また、請求項2に記載の電子機器の固定具によれば、第1起立状態においては縦置き状態の電子機器を側方から挟持でき、第2起立状態においては横置き状態の電子機器を下方から支持できるので、1台の固定具により、電子機器を縦置き状態と横置き状態のいずれにおいても支持することが可能となる。
【0020】
また、請求項3に記載の電子機器の固定具によれば、平板状態において、設置面に沿った向きで電子機器を取り付けできるので、1台の固定具により、電子機器を壁面等に取り付けることも可能となる。
【0021】
また、請求項4に記載の電子機器の固定具によれば、起立部を本体部から切り離し自在としたので、電子機器を壁面等に取り付ける場合には、不要な起立部を本体部から切り離すことができ、本体部のみを用いて電子機器を固定できる。
【0022】
また、請求項5に記載の電子機器の固定具によれば、第2起立状態において、電子機器を直立させた状態で固定することもでき、1台の固定具により、一層多様な状態での取り付けを行うことができる。
【0023】
また、請求項6に記載の電子機器の固定具によれば、起立部に起立支持片を設けたので、起立支持片を介して起立部を支持でき、電子機器を確実に支持することが可能となる。
【0024】
また、請求項7に記載の電子機器の固定具によれば、本体部と起立部を一体に成形したので、固定具の製造コストを低減できると共に、固定具の取扱いを一層容易に行なうことができる。
【0025】
また、請求項8に記載の電子機器の固定具によれば、告知放送用の受信機を固定具にて固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る電子機器の固定具の実施の形態について説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。この実施の形態では、固定対象となる電子機器として、告知放送システムのセンター装置から送信された告知放送信号を住戸内で受信して告知放送出力を行う受信機を挙げて説明する。
【0027】
(構成−受信機)
最初に、固定対象となる受信機の構成について説明する。図1は受信機を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。図1(a)に示すように、受信機1は、筐体2の内部に図示しない各種の電子部品等を収容して構成されている。以下では、図1(a)の寸法L1を受信機1(筐体2)の「長さ」、図1(a)の寸法L2を受信機1(筐体2)の「幅」とする。ここでは、受信機1(筐体2)は、長さL1>幅L2となる縦長直方形状に形成されている。
【0028】
この筐体2の正面には、操作部3及び表示部4が設けられている。操作部3としては、具体的には、受信機1に録音された告知放送の再生を指示するための告知再生スイッチ3a及び放送音量を調節するためのボリュームスイッチ3bが設けられている。表示部4としては、具体的には、電源ON時に点灯する電源表示灯4a、緊急放送時に点灯又は点滅する緊急放送表示灯4b、及び一般放送時に点灯又は点滅する一般放送表示灯4cが設けられている。また、筐体2の正面には、筐体2の内部に設けた図示しないスピーカから出力された音を、当該筐体2の外部に放出するための音響孔5が設けられている。
【0029】
図1(b)に示すように、この受信機1に対しては、告知放送信号を受信機1に入力するための同軸ケーブル10が接続される。この同軸ケーブル10は、筐体2の上側に形成された収容空間部7にコネクタ部分が収容されると共に、筐体2の右側に形成された収容空間部8にケーブル部分が収容されることで、筐体2の外部に突出することが防止されている。また、受信機1に対しては、商用電源からの電力を受信機1に供給するための電源コード11が接続される。この電源コード11は、筐体2の左側に形成された収容空間部9にコネクタ部分及びケーブル部分が収容されることで、筐体2の外部に突出することが防止されている。なお、図1では、同軸ケーブル10及び電源コード11の一部のみを示す。
【0030】
また、図1(b)に示すように、筐体2の背面には係止穴2aが形成されている。この係止穴2aは、後述する固定具20の本体部30の係止突起33を係脱自在に係止するための凹部であり、筐体2の重心位置を中心として上下左右に対称となる複数箇所に形成されている。
【0031】
(構成−固定具)
次に、このように構成された受信機1を固定するための固定具20の構造について説明する。図2は固定具20を示す図であり、(a)は正面図(受信機1に対向する側を正面とする)、(b)は上面図、(c)は右側面図、(d)は背面図(設置面に対向する側を背面とする)である。この固定具20は、全体として平板状に構成されており、本体部30と、この本体部30を中心として左右に設けられた起立部40、50を備えて構成されている。以下では、図2(a)の寸法L3を固定具20(あるいは本体部30又は起立部40、50)の「長さ」、寸法L4を本体部30の「幅」、寸法L5を起立部40、50の「幅」とする。ここでは、固定具20の長さL3が、上述した受信機1の長さL1より若干短くなるように、かつ、本体部30の幅L4が、受信機1の幅L2より若干短くなるように、これら各部の寸法が決定されている。
【0032】
(構成−固定具−本体部)
本体部30は、樹脂にて形成された板状体であり、上下一対のネジ孔31、32、複数の係止突起33、及び支持片固定部34を備える。
【0033】
上方のネジ孔31は、受信機1を壁面に設置する際に当該壁面にねじ込まれた取り付けネジ100(図2に図示せず)を係止させるためのダルマ形状の孔部であり、取り付けネジ100の頭部を挿通可能な径の大径部31aと、この大径部31aに対して上方に設けられたものであって取り付けネジ100の頭部は挿通不能であるが取り付けネジ100の本体部30を挿通可能な径の小径部31bとを、相互に連通させて構成されている。下方のネジ孔32は、取り付けネジ100の頭部は挿通不能であるが取り付けネジ100の本体部30を挿通可能な径にて形成されたもので、ネジ孔31の小径部31bを中心とする円弧に沿った長孔状として形成されている。これらネジ孔31、32は、特許請求の範囲における設置面取付手段に対応する。
【0034】
複数の係止突起33は、受信機1を壁面に設置する際に当該受信機1の背面の係止穴2aに係脱自在に係止されるもので、この係止穴2aに対応する位置及び形状(側面略L字形状)で、本体部30から受信機1に向けて突出するように形成されている。これら複数の係止突起33は、特許請求の範囲における電子機器取付手段に対応する。
【0035】
支持片固定部34は、後述する起立支持片45、55を固定するために本体部30の上側面及び下側面にそれぞれ一対ずつ形成されたもので、起立支持片45、55の先端部を挿入可能な凹部34aと、起立支持片45、55の先端部に係脱自在に係止させる突起34bとを備える。
【0036】
(構成−固定具−起立部)
起立部40、50は、本体部30を中心として対称となる形状及び構造に配置されている。各起立部40、50は、板状体であり、本体部30と同じ長さ及び厚みで、起立部40、50の幅L5は本体部30の幅L4の約半分とされている。この起立部40、50は、ケーブル固定孔41、51、挟持部42、52、ストッパー43、53、当接支持片44、54、及び起立支持片45、55を備える。
【0037】
ケーブル固定孔41、51は、受信機1に接続された同軸ケーブル10を係脱自在に固定するための固定手段であり、起立部40、50の上側面及び下側面にそれぞれ一対ずつ形成されている。このケーブル固定孔41、51は、全体としてダルマ形状に形成されており、同軸ケーブル10より若干大きな径の大径部41a、51aと、同軸ケーブル10より若干小径の小径部41b、51bとを、相互に連通させて構成されており、起立部40、50を弾性変形させることで拡張させた小径部41b、51bを介して、同軸ケーブル10を大径部41a、51aに挿通させた状態で保持することができる。
【0038】
挟持部42、52は、受信機1を後述する縦置き状態で固定する際に、当該受信機1の幅方向の両側部を側方から挟持する挟持手段である。この挟持部42、52は、起立部40、50における本体部30とは反対側の側部を、受信機1の幅L2に対応する長さだけ切欠くことによって形成された凹部42a、52aと、この凹部42a、52aの両端の挟持片42b、52bとを備える。そして、凹部42a、52aに受信機1の側部を嵌入することで、この側部が挟持片42b、52bによって挟持され、受信機1が固定具20に対して固定される。
【0039】
ストッパー43、53は、受信機1を後述する縦置き状態あるいは横置き状態で固定する際に、受信機1の底面に当接することで、受信機1が固定具20からずり落ちることを防止する支持手段である。このストッパー43、53は、起立部40、50の正面における挟持部42、52の近傍位置において、挟持部42、52の凹部42a、52aの幅方向の略全長に対応する幅の帯状体として、起立部40、50から受信機1に向けて突出するように形成されている。
【0040】
当接支持片44、54は、受信機1を後述する縦置き状態で固定する際に、受信機1の背面に当接することで、受信機1の支持強度を向上させる支持手段である。この当接支持片44、54は、起立部40、50の正面における挟持部42、52に近い位置において、起立部40、50の幅方向の略全長に至る帯状体として形成されており、その高さは起立部40、50と受信機1との相互間隔に対応する。
【0041】
起立支持片45、55は、受信機1を後述する縦置き状態、横置き状態、あるいは直立状態で固定する際に、本体部30に固定された状態で設置面に当接することで、起立部40、50を支持する支持手段である。この起立支持片45、55は、起立部40、50の左側面及び右側面にそれぞれ一つずつ立設されており、その高さは、起立部40、50を本体部30に対して所定角度で起立させた際における当該起立部40、50と設置面との相互間隔に対応する。この起立支持片45、55は、本体部30の支持片固定部34の突起34bを係脱自在に係止させる孔部45a、55aと、起立部40、50を本体部30に対して所定角度で起立させた際に、設置面に対して平行な角度で当接する当接面45b、55bを備える。
【0042】
(構成−固定具−本体部と起立部の相互関係)
このように構成された本体部30と起立部40、50は、本体部30に対して起立部40、50を所定角度に回動させて起立させることが可能なように形成されている。例えば、本体部30と起立部40、50は、樹脂成型にて相互一体に形成されており、これら本体部30と起立部40、50の境界に沿ってスリット60を形成することで、当該境界の可撓性を高め、本体部30に対して起立部40、50を回動させることが可能となっている。ただし、このような構造に限らず、これら本体部30と起立部40、50をヒンジ構造の如き公知の回動構造にて接続してもよい。ただし、樹脂成型にて形成することで、固定具20の製造が容易になり、固定具20の製造コストを低減できる。
【0043】
また、本体部30と起立部40、50は、本体部30から起立部40、50を切り離すことが可能なように形成されている。例えば、上述のように本体部30と起立部40、50を一体成型すると共に、これらの境界に形成したスリット60を適切な強度及び薄厚さにすることで、鋏やカッターの如き公知の工具を用いて、スリット60に沿って起立部40、50を切り取ることが可能となる。このように左右の起立部40、50を切り離すことで、本体部30のみによって固定具20を構成し、この固定具20を介して受信機1を壁面に固定することができる。
【0044】
(固定方法)
次に、このように構成された固定具20を用いた受信機1の固定方法について説明する。受信機1の固定状態としては、縦置き状態、横置き状態、直立状態、及び壁面平行状態の4つの方法を取り得る。
【0045】
最初に、縦置き状態での固定について説明する。図3は、縦置き状態で固定された受信機1を固定具20と共に示す斜視図、図4は、縦置き状態で固定された受信機1を固定具20と共に示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図、図5は、図4(b)の要部拡大図である。この縦置き状態において固定具20は、本体部30の縦方向上部に位置する側の起立部40が、本体部30に対して起立された状態とされると共に、他方の起立部50は本体部30と同一平面状に配置されている。この状態は、特許請求の範囲における第1起立状態に対応する。
【0046】
図5に示すように、起立された状態の起立部40における起立支持片45は、本体部30の係止突起34の突起34bに係脱自在に嵌合されており、この起立支持片45が支柱となって、起立部40が支持されている。また、この嵌合構造に加えて、起立支持片45の当接面が設置面G(図5にのみ図示)に対して平行な角度で当接する当接構造を採用しているので、起立支持片45の起立強度を向上させることが可能となっている。
【0047】
図3、4に戻り、このように起立された起立部40に対して受信機1が固定されている。具体的には、起立部40の幅L3は、受信機1の短手方向の幅L2より広くなっているため、受信機1の上方側の短手方向の側部が、挟持部42の凹部42aに嵌入されると共に、挟持片42bによって左右両側方から挟持されている。また、水平状の起立部50におけるストッパー53が受信機1の底面に当接することで、縦置き配置されることで斜め下方に加わっている受信機1の重量を下方から支持し、受信機1が固定具20から脱落することを防止している。さらに、この起立部50における当接支持片54が受信機1の背面に当接することで、受信機1の支持強度を向上させている。なお、受信機1の同軸ケーブル10は、起立部40のケーブル固定孔41に嵌合固定されており、この同軸ケーブル10をすっきりと収めることができる。
【0048】
なお、上記の説明では、起立部40を起立させると共に起立部50を水平状とした状態で、受信機1を縦置き固定しているが、起立部50を起立させると共に起立部40を水平状とした状態でも、同様に、受信機1を縦置き固定可能である(後述する横置き状態での固定において同じ)。
【0049】
次に、横置き状態での固定について説明する。図6は、横置き状態で固定された受信機1を固定具20と共に示す斜視図、図7は、横置き状態で固定された受信機1を固定具20と共に示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。この横置き状態における固定具20の各部の配置は、上述した縦置き状態と同じであるが、受信機1の下方側の短手方向の側部が本体部20に対する略同一平面上の位置に載置されている。また、起立部40の幅L3は、受信機1の長手方向の幅(つまり、長さ)L1より狭くなっているため、起立された状態の起立部40の挟持片42bが受信機1の背面に当接し、受信機1を支持している。また、水平状の起立部50におけるストッパー53は、受信機1の右側面に当接することで、受信機1が固定具20から脱落することを防止している。
【0050】
次に、直立状態での固定について説明する。図8は、直立状態で固定された受信機1を固定具20と共に示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。この直立状態において固定具20は、両方の起立部40、50が、本体部30に対して起立された状態とされている。この状態は、特許請求の範囲における第2起立状態に対応する。
【0051】
起立部40、50における起立支持片45、55は、本体部30の支持片固定部34に係脱自在に嵌合されており、この起立支持片45、55が支柱となって、起立部40、50が支持されている。また、この嵌合構造に加えて、起立支持片45、55の当接面が設置面(図示せず)に対して平行な角度で当接する当接構造を採用しているので、起立支持片45、55の起立強度を向上させることが可能となっている。
【0052】
このように起立された起立部40、50に対して受信機1が固定されている。具体的には、受信機1は、その底面の全体が起立部40、50に当接した状態となっており、その側部が、挟持部42、52の凹部42a、52aに嵌入されると共に、挟持片42b、52bによって左右両側から挟持されている。なお、受信機1に接続された同軸ケーブル10及び電源コード11はそれぞれ異なるケーブル固定孔41、51に挿通された状態で固定具20の外方に引き出されており、これら同軸ケーブル10及び電源コード11をすっきりと収めることができる。
【0053】
最後に、壁面平行状態での固定について説明する。図9は、設置壁Wに固定された本体部30の正面図、図10は、壁面平行状態で固定された受信機1を固定具20の本体部30と共に示す右側面図(ただし受信機1は想像線にて外形のみを示す)である。図9に示すように、この壁面平行状態においては、本体部30から起立部40、50が切り離されており、本体部30のみで固定具20が構成されている。そして、この本体部30のネジ孔31、32には、設置壁Wにねじ込まれた取り付けネジ100が係止されている。具体的には、設置壁Wにねじ込まれた取り付けネジ100の頭部を、上方のネジ孔31の大径部31aに挿通させた後、小径部31bに挿通させ、この取り付けネジ100を支点に本体部30の鉛直面内での角度を任意に調整した後、下方のネジ孔32を介して設置壁Wに取り付けネジ100をねじ込むことで、本体部30を設置壁Wに固定する。その後、図10に示すように、本体部30の係止突起33を受信機1の背面の係止穴2aに係脱自在に係止することで、本体部30に受信機1を固定する。
【0054】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、受信機1を固定する際には第1起立状態とすることで当該受信機1を傾けた状態で支持できる一方、梱包時には平板状態にして梱包スペースを節約することが可能となる。
【0055】
また、第1起立状態においては縦置き状態の受信機1を側方から挟持でき、第2起立状態においては横置き状態の受信機1を下方から支持できるので、1台の固定具20により、受信機1を縦置き状態と横置き状態のいずれにおいても支持することが可能となる。
【0056】
また、平板状態において、設置面に沿った向きで受信機1を取り付けできるので、1台の固定具20により、受信機1を壁面等に取り付けることも可能となる。
【0057】
また、起立部40、50を本体部30から切り離し自在としたので、受信機1を壁面等に取り付ける場合には、不要な起立部40、50を本体部30から切り離すことができ、本体部30のみを用いて受信機1を固定できる。
【0058】
また、第2起立状態において、受信機1を直立させた状態で固定することもでき、1台の固定具20により、一層多様な状態での取り付けを行うことができる。
【0059】
また、起立部40、50に起立支持片45、55を設けたので、起立支持片45、55を介して起立部40、50を支持でき、受信機1を確実に支持することが可能となる。
【0060】
また、本体部30と起立部40、50を一体に成形したので、固定具20の製造コストを低減できると共に、固定具20の取扱いを一層容易に行なうことができる。
【0061】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例の一例について説明する。
【0062】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0063】
(受信機及び固定具の寸法や形状について)
実施の形態で説明又は図示した受信機1及び固定具20の寸法や形状は例示であり、変更可能である。特に、固定具20の各部の形状の詳細については、当該各部の機能を発揮し得る限りにおいて、受信機1や固定具20自身の形状や位置に応じて、任意に変更することができる。
- 【公開番号】特開2010−34373(P2010−34373A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【発明の名称】電子機器の固定具
- 【出願番号】特願2008−195993(P2008−195993)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
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