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中継装置
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- 【要約】
【課題】電源線のグランド端子と信号線のコモン端子を電気的に分離し且つ信号線の消費電流が少なくて済むようにする。
【解決手段】受信機10から引き出され、直流電源電圧が印加された電源線20と、直流回線電圧が印加された信号線22のそれぞれに無線受信用中継器12を接続する。無線受信用中継器12復旧検出回路40には、信号線20に対する受信機からの直流回線電圧の印加を受けてパルス信号を間欠的に発振し、一対の信号線の電圧印加を一時停止する受信機10の復旧信号伝送時にパルス信号の発振を停止する発振回路が設けられ、発振回路からのパルス信号をフォトカプラにより電気的に分離して出力し、パルス信号の停止により受信機からの復旧信号の伝送を判別して復旧動作を行う。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機から引き出され、所定の直流電源電圧が印加された一対の電源線と、所定の直流回線電圧が印加された一対の信号線のそれぞれに接続された中継装置に於いて、
前記一対の信号線間に接続され、前記直流回線電圧の印加を受けて間欠的にパルス信号を発振し、前記一対の信号線の電圧印加を一時停止する前記受信機の復旧信号伝送時に前記パルス信号の発振を停止する発振回路と、
前記発振回路からのパルス信号を電気的に分離して出力するアイソレーション回路と、
前記一対の電源線からの電源供給により動作し、前記アイソレーション回路からのパルス信号の停止により前記受信機からの復旧信号の伝送を判別して復旧動作を行う中継器回路と、
を備えたことを特徴とする中継装置。
【請求項2】
受信機から引き出され、所定の直流電源電圧が印加された一対の電源線と、所定の直流回線電圧が印加された一対の信号線のそれぞれに接続された中継装置に於いて、
前記一対の信号線間に逆流を阻止するダイオードまたは抵抗器を介して接続され、前記直流回線電圧に充電されるコンデンサと、
パルス信号を間欠的に発振する発振回路と、
前記コンデンサの充電電圧を前記発振回路に電源電圧として供給するスイッチ回路と、
前記コンデンサから電源供給を受けて動作し、前記一対の信号線の印加電圧が所定電圧以上であることを検出した時に、前記スイッチ回路をオフして前記発振回路を停止状態とし、前記受信機からの復旧信号伝送時における前記一対の信号線の電圧印加の一時停止に伴う電圧低下を検出した時に、前記スイッチ回路をオンして前記発振回路の動作によりパルス信号を間欠的に発振させる電圧検出回路と、
前記発振回路からのパルス信号を電気的に分離して出力するアイソレーション回路と、
前記一対の電源線からの電源供給で動作し、前記アイソレーション回路からのパルス信号の入力により前記受信機からの復旧信号の伝送を判別して復旧動作を行う中継器回路と、
を備えたことを特徴とする中継装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の中継装置に於いて、前記アイソレーション回路は、前記発振回路からのパルス信号により発光駆動される発光素子と、前記発光素子からの光によりオンするフォトトランジスタを備えたフォトカプラであることを特徴とする中継装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の中継装置に於いて、前記アイソレーション回路は、前記発振回路の出力を直流カット用のコンデンサを介して入力接続したアンプであることを特徴とする中継装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の中継装置に於いて、前記中継器回路は、火災を検出して発報無線信号を送信する無線式感知器から発報無線信号した際に、前記一対の信号線間に信号電流を流して前記受信機に発報信号を送信することを特徴とする中継装置。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線式感知器から無線送信された火災信号を受信して信号線接続された受信機に中継する無線防災システムで用いる中継装置に関する
【背景技術】
【0002】
従来、火災を監視する無線防災システムにあっては、ビルの各フロアといった警戒区域に複数の無線式感知器を設置し、無線式火災感知器で火災を検出した時、火災を示す無線信号をフロア単位に設置した無線受信用中継装置に送信する。無線受信用中継装置は火災受信機からの感知器回線に接続されており、火災無線信号を受信すると、リレー接点やスイッチング素子のオンにより感知回線間に発報電流を流すことにより火災発報信号を受信機に送信して火災警報を出すようにしている。
【0003】
また無線式感知器から無線受信用中継装置までの距離が長い場合には、途中に電波中継器を設置し、無線式感知器からの火災無線信号を中継送信し、電波の減衰により火災無線信号が失われないようにしている。
【0004】
このような無線防災システムによれば、建物のフロア単位に設置している中継器と感知器を接続する感知器回線を不要にでき、配線工事が簡単になり、感知器の設置場所も必要に応じて適宜に決めることができる。
【0005】
ところで、このような無線防災システムの無線受信用中継装置にあっては、図11に示すように、受信機100から引き出された電源線104を無線受信用中継装置102の電源端子Vとグランド端子GNDに接続し、また信号線106を無線受信用中継装置102のライン端子Lとコモン端子Cに接続している。尚、受信用中継器は、無線信号を常時受信できる状態で待機するため、消費電流が大きく、LC線から電源を取ることができない。
【0006】
無線受信用中継装置102に設けた中継器回路は電源線104による所定の直流電源電圧の供給を受けて動作する。信号線106には受信機100より所定の回線電圧として例えばDC24ボルトが印加され、無線式感知器から火災信号を受信すると、図示しないスイッチング回路をオンし、信号線106に発報電流を流すことで発報信号を受信機100に伝送する。
【0007】
また受信機100からは復旧操作などに伴い無線受信用中継装置102に復旧信号が伝送される。復旧信号の伝送は受信機100から信号線106に対する印加電圧を一時的に停止することで行う。
【0008】
図11に示す従来の復旧信号検出回路108は、トランジスタQ1と抵抗R11〜R13で構成される。信号線106にDC24ボルトが印加された通常時は、抵抗R11,R12によるバイアスを受けてトランジスタQ1がオンし、中継器回路に対する出力信号をLレベルの論理としている。
【0009】
受信機100の復旧に伴い信号線106の印加電圧が一時的に停止すると、トランジスタQ1がオフし、中継器回路に対する出力信号をHレベルの論理として復旧動作を行わせる。
【特許文献1】特開平5−274580号公報
【特許文献2】特開2001−292089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の無線受信用中継装置に設けた復旧信号検出回路108にあっては、電源線104のグランド端子GNDと信号線106のコモン端子Cを中継装置内部で短絡接続してグランド端子GNDとコモン端子Cの電位を一致させる必要があり、その分、組立や設置に手間と時間がかかる問題がある。これはグランド端子GNDとコモン端子Cを短絡接続していないと、中継器回路で両者の電位差による電流が流れ、機器破壊の原因となるからである。
【0011】
このようなグランド端子GNDとコモン端子Cの短絡接続を不要として復旧信号を受信する方法として、フォトカプラを使う回路が考えられる。図12はフォトカプラ112を用いた復旧信号検出回路108を示している。
【0012】
図12の復旧信号検出回路108は、信号線106のライン端子Lとコモン端子Cの間にフォトカプラ112の発光素子LEDを電流制限用の抵抗R14を介して接続し、信号線106に対するDC24ボルトの印加で発光素子LEDに電流を流して発光駆動し、発光素子LEDからの光でフォトトランジスタPTをオンし、Lレベル信号を出力している。
【0013】
受信機100の復旧に伴い信号線106の印加電圧が一時的に停止すると、発光素子LEDの発光が停止してフォトトランジスタPTがオフし、抵抗R15を介してコンデンサC1を充電することで、Hレベルに変化する微分パルス信号を出力して復旧動作を行わせる。
【0014】
このようにフォトカプラ112を設けて信号線106側と電源線104を電気的に分離することで、グランド端子GNDとコモン端子Cの短絡接続を不要にすることができる。
【0015】
しかし、フォトカプラ112を用いた復旧信号検出回路108にあっては、フォトカプラ112を駆動するために信号線106に一般に数mAという比較的大きな電流を流す必要がある。このように信号線106にフォトカプラ112を駆動するために大きな電流が流れた場合、受信機100側では無線受信用中継装置102から発報信号が伝送されたと誤って判断される可能性があり、このためフォトカプラにより電気的に分離する方法をとることは難しい。
【0016】
本発明は、電源線のグランド端子と信号線のコモン端子を短絡接続する必要がなく且つ信号線の消費電流が少なくて済むようにした無線受信用の中継装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、受信機から引き出され、所定の直流電源電圧が印加された一対の電源線と、所定の直流回線電圧が印加された一対の信号線のそれぞれに接続された中継装置に於いて、
一対の信号線間に接続され、直流回線電圧の印加を受けてパルス信号を間欠的に発振し、一対の信号線の電圧印加を一時停止する受信機の復旧信号伝送時にパルス信号の発振を停止する発振回路と、
発振回路からのパルス信号を電気的に分離して出力するアイソレーション回路と、
一対の電源線からの電源供給で動作し、アイソレーション回路からのパルス信号の停止により受信機からの復旧信号の伝送を判別して復旧動作を行う中継器回路と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明の別の形態にあっては、受信機から引き出され、所定の直流電源電圧が印加された一対の電源線と、所定の直流回線電圧が印加された一対の信号線のそれぞれに接続された中継装置に於いて、
一対の信号線間にダイオードまたは抵抗器を介して接続され、直流回線電圧に充電されるコンデンサと、
パルス信号を間欠的に発振する発振回路と、
コンデンサの充電電圧を発振回路に電源電圧として供給するスイッチ回路と、
コンデンサから電源供給を受けて動作し、一対の信号線の印加電圧が所定電圧以上であることを検出した時にスイッチ回路をオフして発振回路を停止状態とし、受信機からの復旧信号伝送時における一対の信号線の電圧印加の一時停止に伴う電圧低下を検出した時に、スイッチ回路をオンして発振回路の動作によりパルス信号を間欠的に発振させる電圧検出回路と、
発振回路からのパルス信号を電気的に分離して出力するアイソレーション回路と、
一対の電源線からの電源供給で動作し、アイソレーション回路からのパルス信号の入力により受信機からの復旧信号の伝送を判別して復旧動作を行う中継器回路と、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
ここで、アイソレーション回路は、発振回路からのパルス信号により発光駆動される発光素子と、発光素子からの光によりオンするフォトトランジスタを備えたフォトカプラである。
【0020】
また、アイソレーション回路は、発振回路の出力を直流カット用のコンデンサを介して入力接続したアンプとしても良い。
【0021】
中継器回路は、火災を検出して発報無線信号を送信する無線式感知器から発報無線信号した際に、一対の信号線間に信号電流を流して受信機に発報信号を送信する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、信号線に受信機から所定の直流回線電圧が印加されている場合は、発振回路が一定間隔でパルス信号を発振し、このパルス信号がフォトカプラを介して入力しており、一方、受信機の復旧信号伝送時に信号線の印加電圧が一時停止されると発振回路からのパルス信号が停止し、これを検出して中継器側の復旧動作を行うことができ、フォトカプラによるアイソレーションで電源線のグランド端子GNDと信号線のコモン端子Cを短絡接続する必要がなく、同時に、フォトカプラをオンする発振回路のパルス信号のデューティ比を適切な値に設定することにより、フォトカプラに流れる消費電流を大幅に低減できる。
【0023】
また、本発明の別の形態にあっては、受信機から信号線に所定の直流回線電圧が印加されている場合は発振回路からのパルス信号を停止しており、一方、受信機の復旧信号伝送時に信号線の印加電圧が一時停止されると発振回路からパルス信号を出力することで、電源線のグランド端子GNDと信号線のコモン端子Cを短絡接続する必要がなく、同時に、印加電圧を一時停止している復旧信号伝送の間だけ発振回路がパルス信号を出力することにより、フォトカプラに流れる消費電流を更に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は本発明が適用された無線防災システムを示した説明図である。図1において、監視対象となる建物11の1Fには火災受信機としてP型受信機10が設置されており、P型受信機10から引き出された伝送回線18に、階ごとに本発明の中継装置である無線受信用中継器12が接続されている。伝送回線18は一対の電源線と一対の信号線で構成されている。
【0025】
1F〜3Fの各階には無線式感知器16が設置されている。更に本実施形態にあっては、無線受信用中継器12に対し、距離が離れている無線式感知器16からの電波の減衰による信号の喪失を防ぐため電波中継器14を設置している。
【0026】
このような本実施形態の無線防災システムにあっては、無線式感知器16、無線受信用中継器12、及び電波中継器14によって、無線ネットワークが構成される。
【0027】
無線式感知器16は、火災による煙濃度または温度が所定の閾値を超えたときに火災と判断し、火災発報信号を無線送信する。本発明の中継装置である無線受信用中継器12は、無線式感知器16から送信された火災発報信号を受信し、P型受信機10に対し接点出力として発報電流を流すことで、火災発報信号を送信する。
【0028】
電波中継器14は、無線式感知器16から送信された火災発報信号を受信した際に、受信した火災発報信号を無線受信用中継器12に向けて中継送信する。
【0029】
図2は図1の無線防災システムについて本発明が適用された無線受信用中継器の回路機能を受信機と共に示したブロック図である。
【0030】
図2において、無線式感知器16は、煙感知部またはサーミスタなどを用いた温度検出部を備え、例えば煙濃度が予め定めた閾値を超えたときに火災と判断し、火災発報信号をアンテナ24から無線送信する。なお、本実施形態における無線通信は、日本国内の場合には例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格に従った無線通信を行う。
【0031】
電波中継器14は、無線式感知器24から送信された火災発報信号を他の無線中継器や無線受信用中継器12に中継する。
【0032】
本発明の中継装置となる無線受信用中継器12は、CPU28、無線通信部30、アンテナ32、回線入出力部34、電源回路部36及び表示回路部38で構成される。回線入出力部34に対しては受信機10から引き出された電源線20と信号線22が接続される。電源線20は受信機10から所定の直流電源電圧を供給し、電源回路部36でCPU28を含む中継器回路の電源電圧を生成している。
【0033】
CPU28にはプログラムの実行により実現される機能として、中継処理部42と復旧処理部44が設けられている。中継処理部42は無線回路部30で無線式感知器24からの火災発報信号を受信した際に、受信機10から引き出している信号線22間を低インピーダンスに短絡して火災発報電流を流して火災発報信号を受信機10に送信する。
【0034】
回線入出力部34には復旧検出回路部40が設けられている。受信機10は火災発報信号の受信状態にある無線受信用中継器12を復旧する際には、復旧スイッチの操作で信号線22に対する回線電圧の印加を停止する。この回線電圧の印加停止による受信機10からの復旧信号の伝送は復旧検出回路部40で検出され、CPU28の復旧処理部44により中継器回路の復旧動作を行わせる。
【0035】
復旧検出回路部40による復旧信号の検出については、フォトカプラを使用することで電源線20のグランド端子GNDと信号線22のコモン端子Cとの短絡接続を不要とし、更に、フォトカプラを使用しても信号線20に流れる消費電流を低減するようにしている。
【0036】
受信機10にはCPU46が設けられ、CPU46に対しては、電源供給部48、回線受信部50−1〜50−3、表示部52、音響警報部54、操作部56、移報部58及びメモリ60が設けられている。CPU46にはプログラムの実行により実現する機能として火災監視部62が設けられている。
【0037】
電源供給部10は電源線20により所定の直流電源電圧、例えばDC30ボルトを供給している。また、回線受信部50−1〜50−3から引き出された信号線22には所定の直流回線電圧として例えばDC24ボルトが供給されている。
【0038】
無線受信用中継器12からの火災発報信号の伝送は、信号線22に発報電流を流して行うことから、回線受信部50−1は信号線18に流れる発報電流を検出してCPU46に出力し、火災監視部62による火災警報表示と音響警報出力が行われる。
【0039】
火災発報信号を送信した無線受信用中継器12の復旧動作は、受信機10からの復旧信号により行う。このため回線受信部50−1は、操作部56に設けている復旧スイッチの操作に基づくCPU46からの復旧信号を受信した時、信号線22に対する電圧印加を停止して0ボルトとする。
【0040】
図3は図2の無線受信用中継器に設けた復旧検出回路の実施形態を示した回路ブロック図である。図3において、受信機10から引き出された信号線22は無線受信用中継器12のライン端子Lとコモン端子Cに接続され、ライン端子Lとコモン端子Cに復旧検出回路部40に設けた発振回路64を接続して回線電圧により動作させ、所定周期で間欠的にパルス信号を発振させている。
【0041】
発振回路64の出力はアイソレーション回路としてのフォトカプラ60のLED68に電流制限抵抗R1を介して接続され、LED68に対向してフォトトランジスタ70が設けられ、フォトトランジスタ70のコレクタは抵抗R12を介して電源電圧VDDにプルアップしている。
【0042】
このようにフォトカプラ66を使用して復旧検出回路40の入力側と出力側を電気的に絶縁分離することで、受信機10からの電源線20の電源端子Vとグランド端子GNDに接続した電源回路部36からCPU28を含む中継器回路に対する電源供給を行っていても、フォトカプラ66によって発振回路64を備えた信号線28側は電気的に絶遠分離されているため、信号線22のコモン端子Cを電源線20のグランド端子GNDに短絡接続する必要はない。
【0043】
また信号線18のライン端子Lとコモン端子Cの間に接続した発振回路64は例えば10msの周期で100μsのパルス幅をもつパルス信号を発振してフォトカプラ60を間欠的に駆動しており、フォトカプラ66に直接に回線電圧を印加して常時駆動としている場合に比べ、信号線22に流れる消費電流を大幅に低減することができる。
【0044】
図4は図3の復旧検出回路部40における各部の信号波形を示したタイムチャートである。図4(A)は信号線22の回線電圧であり、通常時は例えばDC24ボルトが印加されており、時刻t1〜t3に亘り復旧信号の伝送が行われたとすると、その間、回線電圧の印加が停止されて0ボルトとなっている。
【0045】
図4(B)は発振回路60から出力されるパルス信号であり、回線電圧がDC24ボルトにあるときの発振回路64の動作により、周期T1でパルス幅T2となるパルス信号を発振している。ここで例えば周期T1は10ms、パルス幅T2は100μsである。
【0046】
発振パルス信号は、回線電圧の印加が時刻t1で停止して0ボルトに低下すると発振が停止し、発振停止前の最後のパルス信号の立ち上がり時刻t0からの経過時間がパルス信号の周期T2より長い時間T3に達した時刻t2で、信号線22における回線電圧の印加停止、即ち復旧信号の伝送が行われたと判断し、復旧判別信号を出力し、中継器回路のリセットなどによる復旧動作を行わせる。
【0047】
図5は図3の復旧検出回路部の出力を用いた図2のCPUによる復旧処理を示したフローチャートである。
【0048】
図5において、まずステップS1で発振パルスありか否か判別しており、発振パルスありを判別するとステップS2に進み、図4の所定時間T3をセットしたタイマを再度リセットスタートする。
【0049】
続いてタイマ動作中のステップS3で発振パルスありか否か判別し、発振パルスがない場合にはステップS4でタイマの経過時間がセット時間T3に達したか否か判別している。ステップS3で発振パルスを判別することなくステップS4でタイマによる経過時間のセット時間T3への到達が判別されると、ステップS5に進んで受信機10からの復旧指示を認識して復旧動作を行う。
【0050】
ステップS4でタイマの経過時間がセット時間T3に達する前にステップS3で発振パルスありが判別されると、ステップS2に戻ってタイマをリセットスタートして同様な処理を繰り返す。
【0051】
図6は図2の無線受信用中継器に設けた復旧検出回路40の他の実施形態を示した回路図であり、この実施形態は、図3のフォトカプラ66を交流結合のアンプに変更したことを特徴とする。
【0052】
図6において、受信機10から引き出された信号線18が接続された無線受信用中継器12のライン端子Lとコモン端子Cには、図3の実施形態と同様に復旧検出回路部40の発振回路64を接続して回線電圧により動作させ、所定周期で間欠的にパルス信号を発振させている。
【0053】
発振回路64の出力は直流カット用のコンデンサC1,C2を介して差動入力型のアンプ72に入力し、発振回路64側に対し直流的に分離して発振パルスを出力している。なお、アンプ72は増幅率を1に設定したバッファアンプまたは増幅率を無限大に設定したコンパレータとして動作する。尚、図中ではバイアス電圧を生成するための抵抗等は明示していない。
【0054】
この実施形態にあっても、直流カット用のコンデンサC1,C2を介して発振回路64側に対しアンプ72を交流結合したことで直流的に分離し、信号線22のコモン端子Cを電源線20のグランド端子GNDに短絡接続する必要はない。
【0055】
また信号線22のライン端子Lとコモン端子Cの間に接続した発振回路64は例えば10msの周期T1で100μsのパルス幅T2をもつパルス信号を発振してアンプ72を間欠的に駆動しており、フォトカプラ116に直接に回線電圧を印加して常時駆動としている場合に比べ、信号線22に流れる消費電流を大幅に低減することができる。
【0056】
図7は図2の無線受信用中継器に設けた復旧検出回路の他の実施形態を示した回路図であり、この実施形態は回線電圧の印加停止、即ち復旧信号の伝送で発振を開始するようにしたことを特徴とする。
【0057】
図7の復旧検出回路部40において、受信機10からの信号線22が接続されたライン端子Lとコモン端子Cに対しては逆流防止用のダイオードD1を介してコンデンサC3が接続され、コンデンサC3を回線電圧であるDC24ボルトに充電している。
【0058】
コンデンサC3に続いては電圧検出回路74が設けられる。電圧検出回路74はコンデンサC3の充電電圧を電源電圧として動作し、ダイオードD1のライン端子L側から回線電圧を入力し、回線電圧が所定の閾値電圧Vth、例えば受信機10が回線電圧24ボルトを印加している場合はその半分の12ボルトを閾値電圧Vthとして設定し、回線電圧が閾値電圧Vth以上であればHレベルの論理を持つ電圧検出信号を出力し、閾値電圧Vth未満であればLレベルの論理をもつ電圧検出信号を出力する。
【0059】
電圧検出回路74に続いてはスイッチ回路76が設けられ、スイッチ回路76を介して発振回路64をコンデンサC3に充電した電源の負荷として接続している。スイッチ回路76はPNP型のトランジスタ78及び抵抗R3,R4で構成される。
【0060】
回線電圧が閾値電圧Vth以上にあって電圧検出回路74がHレベル信号を出力すると、トランジスタ76はオフとなり、発振回路64に対するコンデンサC3からの電源供給は行われず、発振回路64はパルス信号を出力する発振を停止している。
【0061】
受信機10からの復旧信号の伝送として回線電圧の印加が停止されると、回線電圧は閾値電圧Vthを下回り、電圧検出回路74の出力はHレベル信号からL信号に立ち下がり、トランジスタ78をオンし、コンデンサC3の充電電圧を発振回路64に電源電圧として供給し、コンデンサC3の放電が終了するまで発振回路64は発振パルスを出力する。
【0062】
発振回路64に続いては図3の実施形態と同様にアイソレーション回路としてのフォトカプラ66が設けられ、信号線22側の回路をCPU28を含む中継器回路部に対し電気的に分離している。
【0063】
図8は、図7の復旧検出回路部40における各部の信号波形を示したタイムチャートである。図8(A)は回線電圧であり、通常、DC24ボルトが印加されており、時刻t1〜t2に亘り受信機10から復旧信号の伝送が行われると、回線電圧24ボルトの印加が停止し、0ボルトとなる。
【0064】
この回線電圧の0ボルトへの低下は電圧検出回路74で検出され、スイッチ回路76にLレベルの論理を持つ電圧検出信号を出力してトランジスタ78をオンし、発振回路64をコンデンサC3の充電電圧を電源電圧として動作させ、時刻T1〜t2に亘りパルス信号を発振する。
【0065】
このとき信号線22の回線電圧は0ボルトであるが、ダイオードD1を介してコンデンサC3に充電している電圧が電源電圧として電圧検出回路74、スイッチ回路76及び発振回路64に供給され、回線電圧の印加が停止して0ボルトとなっても、有効に電源を供給して動作させることができる。
【0066】
図8(C)は復旧判別信号であり、一定時間内(例えば100ms)に所定の数(例えば3)以上の発振パルスが入力された場合に復旧判別信号が生成され、中継器回路部の復旧動作を行うことができる。
【0067】
図9は図7の復旧検出回路部の出力を用いた図2のCPUによる復旧処理を示したフローチャートであり、図5の復旧処理に比べ、通常動作時に発振パルスによる割り込み動作がかからないため、制御部にかかる負荷を減らすことができる。
【0068】
図9において、まずステップS11で発振パルスありか否か判別しており、発振パルスありを判別するとステップS12に進み、タイマをスタートする。
【0069】
続いてタイマ動作中のステップS13でパルス数が所定数以上、例えば3以上か否か判別し、所定数未満の場合にはステップS14でタイマが所定時間経過、例えば100ms経過したか否か判別している。所定時間を経過する前にステップS13でパルス数が所定数以上となったことが判別されると、ステップS15に進んで受信機10からの復旧指示を認識して復旧動作を行う。
【0070】
ステップS13でパルス数が所定数以上となることを判別する前にステップS14でタイマによる所定時間の経過が判別されると、ステップS11に戻って同様な処理を繰り返す。
【0071】
この図7の実施形態にあっても、フォトカプラ66を介して発振回路64側を電気的に分離したことで、信号線22のコモン端子Cを電源線20のグランド端子GNDに短絡接続する必要はない。
【0072】
また信号線22の回線電圧の印加を停止したときにコンデンサC3の充電電圧により発振回路64を動作して発振パルスを出力することで復旧信号の伝送を判別しているため、図3及び図6の実施形態に対し更に信号線22に流れる消費電流を大幅に低減することができる。
【0073】
図10は回線電圧の印加停止でパルス信号を発振する図2の無線受信用中継器に設けた復旧検出回路の他の実施形態である。図10にあっては、フォトカプラ66以外は図7の実施形態と同じであり、図7のフォトカプラ66をコンデンサC1,C2により交流結合した差動型のアンプ72に変更している。
【0074】
この図10の実施形態にあっても、直流カット用のコンデンサC1,C2を介して発振回路64側に対しアンプ72を交流結合して直流的に分離したことで、信号線22のコモン端子Cを電源線20のグランド端子GNDに短絡接続する必要はない。
【0075】
また信号線22の電圧印加が停止したときにコンデンサC3の充電電圧により発振回路64を動作して発振パルスを出力して復旧信号の伝送を判別しているため、図3及び図6の実施形態に対し更に信号線22に流れる消費電流を大幅に低減することができる。
【0076】
なお、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜を変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
- 【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明が適用された無線防災システムの実施形態を示した説明図
【図2】図1の無線防災システムについて本発明が適用された無線受信用中継器の回路機能を受信機と共に示したブロック図
【図3】回線電圧の印加停止で発振を停止する図2の無線受信用中継器に設けた復旧検出回路の実施形態を示した回路図
【図4】図3の復旧検出回路部における各部の信号波形を示したタイムチャート
【図5】図3の復旧検出回路部の出力を用いた図2のCPUによる復旧処理を示したフローチャート
【図6】図3のフォトカプラをアンプに交流結合のアンプに変更した図2の無線受信用中継器に設けた復旧検出回路の他の実施形態を示した回路図
【図7】回線電圧の印加停止で発振を開始する図2の無線受信用中継器に設けた復旧検出回路の他の実施形態を示した回路図
【図8】図7の復旧検出回路部における各部の信号波形を示したタイムチャート
【図9】図7の復旧検出回路部の出力を用いた図2のCPUによる復旧処理を示したフローチャート
【図10】図7のフォトカプラをアンプに交流結合のアンプに変更した図2の無線受信用中継器に設けた復旧検出回路の他の実施形態を示した回路図
【図11】従来の復旧検出回路を示した回路図
【図12】フォトカプラを用いた従来の復旧検出回路を示した回路図
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
- 【公開番号】特開2010−67024(P2010−67024A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【発明の名称】中継装置
- 【出願番号】特願2008−233041(P2008−233041)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
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