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スイッチアジャスタ
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- 【要約】
【課題】 スイッチアジャスタの調整作業の安全性を高める。
【解決手段】 ロッド9と、アジャスタ部10とを有するスイッチアジャスタである。ロッド9は、ポイントの対をなすトングレール8a,8bをつなぐ転てつ棒4に取り付けられた腕金具5の軸筒7内に挿込まれ、腕金具5を支え、電気転てつ機1の動作かん11のストロークを受けてトングレール8a,8bを定位から反位へ、あるいは反位から定位へ転換させるものであり、アジャスタ部10は、電気転てつ機1の動作かん11と、ロッド9とにつながれ、調整操作部を有している。調整操作部は、トングレール8a,8bの定位、反位転換時におけるトングレール8a,8bと、基本レール3a,3b間の密着力を調整するものであり、少なくともその一部が軌間外に配置されている。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドと、アジャスタ部とを有するスイッチアジャスタであって、
ロッドは、ポイントの対をなすトングレールをつなぐ転てつ棒に取り付けられた腕金具の軸筒内に挿込まれ、腕金具を支え、電気転てつ機の動作かんのストロークを受けてトングレールを定位から反位へ、あるいは反位から定位へ転換させるものであり、軌間の少なくとも1/2以上の長さに設定され、
アジャスタ部は、電気転てつ機の動作かんと、ロッドの端末間につながれ、調整操作部を有し、
調整操作部は、軌間外に配置され、トングレールの定位、反位転換時におけるトングレールと、基本レール間の密着力を調整するものであることを特徴とするスイッチアジャスタ。
【請求項2】
前記アジャスタ部は、ねじ軸と、対をなす筒ナットと、対をなす可動軸受と、コイルバネとの組み合わせからなり、これらの組み合わせが、バネ箱内に収容されたものであり、
前記ねじ軸は、前記ロッドと、電気転てつ機の動作かんとをつなぐものであり、
前記各筒ナットは、それぞれ周上にフランジを有し、ねじ軸にねじ込んで向き合わせに配設されたものであり、
対をなす前記可動軸受は、バネ箱に対し、それぞれの筒ナットの周上に一定の範囲内で軸方向を摺動可能に向き合わせに外装されたものであり、
前記コイルバネは、両可動軸受間に介装され、ポイントの転換時に、電気転てつ機の動作かんのストロークを受けてねじ軸とともに変位する筒ナットのフランジに押されて圧縮され、基本レールに対するトングレールの密着力を生じさせるものであり、
調整操作部は、対をなす筒ナットであることを特徴とする請求項1に記載のスイッチアジャスタ。
【請求項3】
前記アジャスタ部の調整操作部である対の筒ナットは、定位又は反位転換後のいずれか一方の状態でいずれもが軌間外に位置して軌間外で両筒ナットの操作が可能であり、他方の状態では、一方の筒ナットのみが軌間外に位置して軌間外でその調整操作が可能となるものであることを特徴とする請求項2に記載のスイッチアジャスタ。
【請求項4】
反位又は定位の状態で軌間外に位置する前記筒ナットは、列車運行中における調整操作部となるものであることを特徴とする請求項3に記載のスイッチアジャスタ。
【請求項5】
ポイントの定位密着時又は反位密着時において、前記ロッドは、前記腕金具に対して間隙D1の範囲にわたって相対移動が可能であり、一方の前記筒ナットのフランジが、当該筒ナットに外装した可動軸受の外端に押し付けられた状態で、他方の筒ナットのフランジと、当該筒ナットに外装した可動軸受の外端とは、間隙D2を置いて向き合されており、
間隙D1+D2は、スイッチアジャスタの間隙を形成するものであることを特徴とする請求項2に記載のスイッチアジャスタ。
【請求項6】
前記バネ箱は、前記筒ナットに外装された可動軸受の上周面を被うとともに、軸方向の一定の範囲内で可動軸受を移動可能に保持するものであり、
前記可動軸受の周面には、外端から一定の範囲にわたって標識が付され、
前記標識は、ポイント取付時における定位密着および反位密着操作時の目印となるものであることを特徴とする請求項2に記載のスイッチアジャスタ。
【請求項7】
前記ロッドは、角軸部を有し、
角軸部は、前記腕金具の軸筒に開口された角穴内に挿入され、取付時の不用意な回転を阻止するものであることを特徴とする請求項1に記載のスイッチアジャスタ。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転てつ装置におけるスイッチアジャスタに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道線路のポイントは、図7に示すように基本レール31、トングレール32、転てつ棒(タイバー)33、床板などで構成され、転換装置(図示略)によって基準線側及び分岐線側にそれぞれ転換できる構造になっている。ポイントは、常時開通している方向を定位といい、その反対方向を反位という。
【0003】
転換装置は、トングレール32を転換し、基本レール31に密着させる装置であり、また密着状態のトングレール32を、その位置に保持する装置を鎖錠装置(図示略)という。転てつ装置の役目は、ポイントのトングレール32を定位から反位へ、また、反位から定位へ移動(転換)させ、転換終了時に、トングレール32の状態を照査、確認をしてその状態のまま維持(鎖錠)することである。
【0004】
ポイントの転換には、電気転てつ機、スイッチアジャスタ、エスケープクランク、転てつ減摩器などが使用され、ポイントの鎖錠には、電気転てつ機、フロントロッド、ロックロッド、転てつ鎖錠器などが使用されるが、スイッチアジャスタ以外の機器は、本願発明の構成に直接関係がないので、明細書ではそれらの説明を省略する。
【0005】
スイッチアジャスタ34は、転換機(電気転てつ機、エスケープクランク、転てつ棒など)から伝達されるストロークを、ポイントストロークに変え、ポイントを転換し、トングレール32を基本レール31に密着させるためのものである。ポイントストロークをSP、転換機のストローク(電気転てつ機の動作かんのストローク)をSM、スイッチアジャスタの間隙をDとすると、SM=SP+Dの関係があり、スイッチアジャスタの間隙Dの範囲で定位、反位転換時におけるトングレールと、基本レールとの密着調整ができるようになっている。
【0006】
従来のスイッチアジャスタ34の構成を図8に示す。図8において、スイッチアジャスタ34は、ロッド35と、筒ナット36及びナット37と、これらの締付ナット38a,38bと、腕金具39と、回り止め金具40との組み合わせである。
【0007】
筒ナット36は、締付ナット38aで固定してロッド35のロッドねじ部41にねじ込まれ、図7の転てつ棒(タイバー)33に固定された腕金具39の軸筒42内に差し込まれ、ナット37は、腕金具39の一端から、間隙Dの間隔を置き、締付ナット38bで固定してロッドのねじ部41にねじ込まれたものである。
【0008】
回り止め金具40は、対の二叉部43間に筒ナット36と、ナット37をそれぞれはさみ、両ナット36、37の自由回転を阻止して腕金具39に取り付けられるものであり、回り止め金具40の二叉部43には、断面コ形の鋼板を用い、対の二叉部43を一枚のプレート44の両端に溶接し、このプレート44を腕金具39に保持させていた。
【0009】
スイッチアジャスタは、間隙Dの範囲内でロッドねじ部41に対する筒ナット36及びナット37のねじ込み量を調整することによって行われるが、基本レールと、トングレールとの接触箇所における密着力を十分に保持させるためにコイルバネが組み込まれる。特許文献1には、全体の大型化を避け、併せて密着力調整を容易に行い得る転てつ機のスイッチアジャスタにおける軌条密着力調節装置が記載されている。
【0010】
特許文献1に記載されたスイッチアジャスタは、図9に示すように転てつ棒を固定する腕金具Bの下側両端にそれぞれ係合子、バネ受けねじ45を設け、これら係合子、ばね受けねじ45のそれぞれに可動自在に嵌合した一対の対抗するバネ座金46、46間にコイルバネ47を張設し、該コイルバネ47の内側を貫通するロッド48のばね座金のそれぞれの側に長尺状の筒ナット49と締付ナット50を固定し、必要に応じ筒ナット49、締付けナット50のロッド48への締付け位置の選定で軌条密着力を容易かつ適正に調節可能としたというものである。
【0011】
しかし、特許文献1に記載されたスイッチアジャスタによっても、その調整作業は、保安作業員が鉄道線路の軌間内に入り込んで行わなければならならず、スイッチアジャスタの調整作業中に列車が誤って作業中の区間に差し掛かった時には、保守作業員は、十分な時間を確保して軌間内から退避しなければならないことには変わりはない。
【0012】
もちろん、列車が調整作業中の区間内に進入した場合でも、保守作業員が安全に退避できれば問題は生じることはないが、鉄道線路の軌間内には、砂利が敷かれて足場が悪く、保守作業員が軌間内から退避の際に砂利に足元を取られあるいはレールにつまずいて転倒し、保安作業員が怪我するだけにとどまらず、これが人身事故、列車事故の原因になる危険は避けられない。そもそも、保守作業員が退避する際に、レールをまたいで軌間内から脱出しなければならないというところに根本的な欠陥がある。
【0013】
スイッチアジャスタの態様は多様であるが、鉄道が日本に敷設されて以来、この問題は何ら改善されていないのが実情である。しかも実際の調整作業においては、スイッチアジャスタの間隙D(D=SM―SP)を見ながら保守作業員が2人掛りで作業を行わなければならなかった。また、スイッチアジャスタには、定位又は反位転換後、トングレールが基本レールに密着したことを確認をするための目印が設けられているが、従来は、2つの目印を一致させる方法によって確認を行っていたので、必ずしもレールの密着力の確認が容易であることになっていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】実開平5−89501号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】(社)日本鉄道電気技術協会 「転てつ装置」 平成4年5月10日 P9〜P21
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
解決しようとする問題点は、従来、スイッチアジャスタを調整するときには、保守作業員が鉄道線路の軌間内に入り込んで作業しなければならず、その作業はきわめて危険を伴っていたという点である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によるスイッチアジャスタにおいては、スイッチアジャスタの調整を鉄道線路の軌間内で行う必要をなくした点を最大の特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるスイッチアジャスタによれば、スイッチアジャスタの調整操作部を軌間外(基本レール外)に移したため、保安作業員はスイッチアジャスタの調整に際して軌間内に入る必要がなく、したがって保安作業者の触車事故の危険性を格段に減少することができる。
- 【公開番号】特開2011−162033(P2011−162033A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【発明の名称】スイッチアジャスタ
- 【出願番号】特願2010−26313(P2010−26313)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
- 【代理人】
【識別番号】100075306
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 中
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