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自動二輪車
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- 【要約】
【課題】走行風で効果的にエンジンを冷却することができるフロントフェンダを提供することを課題とする。
【解決手段】フロントフェンダ34は、フロントフォーク24より前方の位置に、車体側方へ膨出する左右の膨出部36、36を備え、これらの膨出部36、36より後方で且つフロントフォーク24より前方の位置に、フロントフォーク24を収納する、分割円筒状の収納部77、77とは別に、車体中心へ窪む左右の凹部78、78を備えている。
【効果】走行風の一部は凹部78内で渦85を巻く。この渦85により、この付近が周囲より負圧になる。すると、走行風が車幅中心側へ引き寄せられる。冷却フィン84の車幅方向の幅W4は、フロントフォーク24の車幅方向の最大幅W2より狭いにも拘わらず、本発明によれば走行風を十分に冷却フィン84に当てることができる。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、この車体フレームの先端に設けられているヘッドパイプに操舵可能に取付けられるフロントフォークと、このフロントフォークの下端に取付けられる前輪と、この前輪の上方にて前記フロントフォークに取付けられ前記前輪が跳ね上げる泥などの飛散を防ぐフロントフェンダとを備える自動二輪車において、
前記フロントフェンダは、前記フロントフォークより前方の位置に、車体側方へ膨出する左右の膨出部を備え、これらの膨出部より後方で且つ前記フロントフォークより前方の位置に、前記フロントフォークを収納する収納部とは別に、車体中心へ窪む左右の凹部を備え、
前記左右の膨出部の頂部同士を結んだ車幅方向の幅からなる膨出部幅は、前記フロントフォークの車幅方向の最大幅より広く設定され、前記左右の凹部の底同士を結んだ車幅方向の幅からなる凹部幅は、前記膨出部幅より狭く設定されていることを特徴とする自動二輪車。
【請求項2】
前記凹部幅は、前記フロントフォークの車幅方向の最大幅より狭く設定されていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車。
【請求項3】
前記膨出部は、前記前輪を側方から見たときに、車体前方へ突出する突部と、この突部から車体後方に向かって斜め上へ延びる上傾斜部と、前記突部から車体後方に向かって斜め下へ延びる下傾斜部とからなり、V字形状を呈していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動二輪車。
【請求項4】
前記フロントフェンダは、フェンダ本体と、このフェンダ本体に取外し可能に取付けられる前記左右の膨出部と、からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の自動二輪車。
【請求項5】
前記車体フレームにエンジンが取付けられ、このエンジンの高温部に冷却フィンが設けられ、この冷却フィンの地上からの高さに、前記凹部の地上からの高さが合致するように、前記フロントフェンダが配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の自動二輪車。
【請求項6】
前記冷却フィンの車幅方向の幅は、前記フロントフォークの車幅方向の最大幅より狭いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の自動二輪車。
【請求項7】
車幅中心側のフロントフェンダの内壁面は、前記膨出部の陰になるエリアが、平坦であり、且つ車体前後方向に延びていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の自動二輪車。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前輪にフロントフェンダを備えている自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
前輪が跳ね上げる泥などの飛散を防止するために、自動二輪車の前輪にフロントフェンダが備えられる。そして、フロントフェンダの形状を工夫することにより、泥よけ機能に、他の機能を付加することが提案されている(例えば、特許文献1(図5)参照。)。
【0003】
特許文献1の図5に示されるように、フロントフェンダ(70)(括弧付き番号は、特許文献1に記載されている符号を示す。以下同様)は、フロントフォーク(16)より前側の前側部分(72)と、この前側部分(72)から後方へ延びる後側部分(71)と、からなる。
【0004】
後側部分(71)の幅(W’)は、フロントフォーク(16)の内幅より狭い。一方、前側部分(72)は、後方ほど幅が広くなり、最大の幅(W)がフロントフォーク(16)の外幅に近似するように設定されている。
前側部分(72)が、後方ほど広がっているため、走行風がフロントフォーク(16、16)に衝突する心配がなく、空気抵抗を下げることができる。
【0005】
幅(W)と幅(W’)の差を埋めるために、リブ(74、74)が幅方向へ延ばされている。
樹脂品を射出成形すると、凝固の際にリブ(74、74)で引かれて前側部分(72)に引けが出る。対策として、リブ(74、74)の付け根は、特許文献1の図11に示されるように、肉抜き部(76、76)により、薄肉とされている。これで、引けの発生を抑制することができる。
【0006】
走行風は、前側部分(72)に沿って流れ、フロントフォーク(16、16)の側方を通って後方へ流れる。この際に、走行風は大きな幅(W)で拡げられているため、フロントフォーク(16、16)の後方では車幅方向に、更に広がるか又は広がったままとなる。
【0007】
多くの自動二輪車では前輪の後方にエンジンが配置されているが、特許文献1の構造では、前輪の後方に配置されているエンジンに走行風が当たりにくくなる。走行風による冷却が不足するときは、エンジンの冷却手段を別途を準備する必要がある。
また、リブ(74、74)の付け根に、肉抜き部(76、76)を設けるため、構造が複雑になり、フロントフェンダ(70)の製造コストが嵩む。
【0008】
自動二輪車の製造コストの低減が求められる場合には、エンジンの冷却手段を別途設ける必要が無く、且つ構造が簡単なフロントフェンダが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−186114公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、エンジンの冷却手段を別途設ける必要が無く、且つ構造が簡単なフロントフェンダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、車体フレームと、この車体フレームの先端に設けられているヘッドパイプに操舵可能に取付けられるフロントフォークと、このフロントフォークの下端に取付けられる前輪と、この前輪の上方にて前記フロントフォークに取付けられ前記前輪が跳ね上げる泥などの飛散を防ぐフロントフェンダとを備える自動二輪車において、
前記フロントフェンダは、前記フロントフォークより前方の位置に、車体側方へ膨出する左右の膨出部を備え、これらの膨出部より後方で且つ前記フロントフォークより前方の位置に、前記フロントフォークを収納する収納部とは別に、車体中心へ窪む左右の凹部を備え、前記左右の膨出部の頂部同士を結んだ車幅方向の幅からなる膨出部幅は、前記フロントフォークの車幅方向の最大幅より広く設定され、前記左右の凹部の底同士を結んだ車幅方向の幅からなる凹部幅は、前記膨出部幅より狭く設定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明では、凹部幅は、前記フロントフォークの車幅方向の最大幅より狭く設定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明では、膨出部は、前記前輪を側方から見たときに、車体前方へ突出する突部と、この突部から車体後方に向かって斜め上へ延びる上傾斜部と、前記突部から車体後方に向かって斜め下へ延びる下傾斜部とからなり、V字形状を呈していることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明では、フロントフェンダは、フェンダ本体と、このフェンダ本体に取外し可能に取付けられる前記左右の膨出部と、からなることを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る発明では、車体フレームにエンジンが取付けられ、このエンジンの高温部に冷却フィンが設けられ、この冷却フィンの地上からの高さに、前記凹部の地上からの高さが合致するように、前記フロントフェンダが配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に係る発明では、冷却フィンの車幅方向の幅は、前記フロントフォークの車幅方向の最大幅より狭いことを特徴とする。
【0017】
請求項7に係る発明では、車幅中心側のフロントフェンダの内壁面は、前記膨出部の陰になるエリアが、平坦であり、且つ車体前後方向に延びていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明では、フロントフェンダは、フロントフォークより前方の位置に、車体側方へ膨出する左右の膨出部を備え、これらの膨出部より後方で且つフロントフォークより前方の位置に、車体中心へ窪む左右の凹部を備えた。そして、左右の膨出部の頂部同士を結んだ車幅方向の幅からなる膨出部幅は、フロントフォークの車幅方向の最大幅より広く設定し、左右の凹部の底同士を結んだ車幅方向の幅からなる凹部幅は、膨出部幅より狭く設定した。
【0019】
膨出部で、走行風が車幅中心から離れる方向へ流されるが、この走行風は凹部で負圧が発生し、車幅中心側へ曲げられる。フロントフェンダの後方にエンジンがある場合には、このエンジンに走行風が当たり、エンジンは効果的に冷却される。
走行風による冷却が大きいため、別途、エンジンの冷却装置を設ける必要が無くなり、自動二輪車の製造コストを下げることができる。
【0020】
加えて、膨出部及び凹部を設けるだけであるから、従来の技術で設けていたようなリブは不要となる。リブが不要であれば、フロントフェンダの構造は簡単になり、射出成形が容易になる。
【0021】
請求項2に係る発明では、凹部幅は、フロントフォークの車幅方向の最大幅より狭く設定した。凹部が深いため、より大きな負圧が発生し、走行風を車幅中心へ強く曲げることができる。
【0022】
請求項3に係る発明では、膨出部は、側方から見たときに、車体前方へ突出する突部と、突部から車体後方に向かって斜め上へ延びる上傾斜部と、突部から車体後方に向かって斜め下へ延びる下傾斜部とからなる。上傾斜部及び下傾斜部により走行風を、後方へ円滑に導くことができ、空気抵抗を下げることができる。
【0023】
全体としてV字形状を呈し、突部に走行風が当たったときは、上傾斜部及び下傾斜部が支持作用を発揮し、上傾斜部に走行風が当たったときには、下傾斜部が支持作用を発揮し、下傾斜部に走行風が当たったときには、上傾斜部が支持作用を発揮するため、膨出部は走行風に対して十分の剛性を有する。
【0024】
請求項4に係る発明では、フロントフェンダは、フェンダ本体と、このフェンダ本体に取外し可能に取付けられる左右の膨出部と、からなる。膨出部がフェンダ本体と一体である場合は、樹脂成形の制約上、形状が限定される。この点、本発明によれば、膨出部は、フェンダ本体と別体であるため、より自由に形状を設定することができる。
【0025】
請求項5に係る発明では、エンジンの冷却フィンの地上高と、凹部の地上高が同じであるため、凹部に沿って流れる走行風が、効果的に冷却フィンに到達し、エンジンをより効率よく冷却することができる。
【0026】
請求項6に係る発明では、冷却フィンの車幅方向の幅は、フロントフォークの車幅方向の最大幅より狭くした。すなわち、本発明によれば、走行風を車幅中心へ寄せることができるため、エンジンの車幅方向の幅を狭めることができ、エンジンの形状の自由度を高めることができる。
【0027】
請求項7に係る発明では、車幅中心側のフロントフェンダの内壁面は、膨出部の陰になるエリアが、平坦であり、且つ車体前後方向に延びている。膨出部を設けると、フロントフェンダの内壁面に凹凸ができやすい。この点、本発明では、膨出部を備えているにも拘わらず、フロントフェンダの内壁面を平坦にした。フロントフェンダの内側を通る走行風が、円滑に流れるため、走行風でエンジンを十分に冷却することができる。
- 【公開番号】特開2011−16500(P2011−16500A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【発明の名称】自動二輪車
- 【出願番号】特願2009−164017(P2009−164017)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
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