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裏込め注入工法および連結式短尺状裏込め袋
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- 【要約】
【課題】エレメントの挿入に伴って、挿入完了前に適宜グラウト材を注入することのできる裏込め注入工法および連結式短尺状裏込め袋を提供することを目的とする。
【解決手段】地山400に挿入する角型鋼製エレメント10の挿入方向Lにおける外周に沿って配置し、内部に裏込め材を封入する短尺裏込めバッグ50を、角型鋼製エレメント10の地山400への挿入に伴って、角型鋼製エレメント10の先端付近の内部から後方に送り出し、送り出された短尺裏込めバッグ50に対して、所定距離ごとに裏込め材を、内部空間15から注入した。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
地山に挿入するエレメントの長さ方向における外周に沿って配置し、内部に裏込め材を封入する裏込め袋を、前記エレメントの前記地山への挿入に伴って、前記エレメントの先端付近の内部から後方に送り出し、
送り出された前記裏込め袋に対して、所定距離ごとに前記裏込め材を、前記エレメント内部から注入する
裏込め注入工法。
【請求項2】
前記裏込め袋の地山側表面を、少なくとも追従性の高い高追従性合成繊維製布帛で構成するとともに、
前記裏込め袋のエレメント側表面を、少なくとも前記エレメント表面との摩擦性能の高い高摩擦性合成繊維製布帛で構成した
請求項1に記載の裏込め注入工法。
【請求項3】
前記裏込め袋を、所定長さの短尺状裏込め袋を、連結手段で連結して構成し、
前記裏込め材の注入を、
送り出された前記短尺状裏込め袋ごとに行う
請求項1又は2に記載の裏込め注入工法。
【請求項4】
前記裏込め材の注入圧力を制御する注入制御装置を備え、
該注入制御装置が、
前記裏込め材の注入初期における注入圧力のうち圧力が所定範囲となる安定圧力に基づいて定まる管理圧力値で注入制御することを特徴とする
請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の裏込め注入工法。
【請求項5】
前記エレメントを連結して構築する地中構造物における外側面の少なくとも一部に前記裏込め袋を配置する
請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の裏込め注入工法。
【請求項6】
地山に挿入するエレメントの長さ方向における外周に沿って配置され、内部に裏込め材の封入を許容する所定長さの帯状袋体で形成し、
各帯状袋体に、
内部への裏込め材の注入を許容する注入手段と、前記帯状袋体同士を連結する連結手段とを備えた
連結式短尺状裏込め袋。
【請求項7】
前記帯状袋体を、
地山側表面を、少なくとも追従性の高い高追従性合成繊維製布帛で構成するとともに、
エレメント側表面を、少なくとも前記エレメント表面との摩擦性能の高い高摩擦性合成繊維製布帛で構成した
請求項6に記載の連結式短尺状裏込め袋。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例えば、敷設された軌道の下方の地中に構造物を構築するためにエレメントを挿入する工法において、例えば、エレメントと地山との空隙を充填する裏込め注入工法及び注入工法に用いる裏込め袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、渋滞緩和や交通網の複雑化に伴って、軌道と道路や、軌道同士、あるいは道路同士の立体交差化が進んでいる。一般的には、軌道等の既設構造物の上空を交差するように道路等の新設構造物を構築するオーバーパス工法や、既設構造物の下方の地中部分に交差する新設の地中構造物を構築するアンダーパス工法によって立体化される。
【0003】
特に、既設軌道に対する立体交差化においては、大地震による交差道路の軌道への影響を懸念し、アンダーパス工法が多く採用されている。
例えば、アンダーパス工法の場合、軌道等の既設構造物の下方に横断する方向で、前方を掘削しながらエレメントを挿入し、地下構造物を構築する工法がある。
【0004】
このように、前方を掘削しながらエレメントを挿入する場合、エレメントの周囲と地山との間に空隙が生じ、空隙をそのまま放置しておくと、空隙を埋めるように周辺の地山が緩み、上方の軌道等や地表面の沈下や陥没につながるおそれがある。
【0005】
このような問題に対して、エレメントの挿入完了後に、エレメント挿入時に上面側に沿わせて挿入していた裏込め袋に、グラウト材を注入して空隙を充填する裏込め充填工法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
しかし、エレメントの挿入距離が長くなると、裏込め袋にグラウト材を注入する注入距離も長くなり、注入圧力を高める必要がある。グラウト材の注入圧力を高めると、注入口付近で破裂したり、グラウト材が脱水して、注入口付近で硬化するおそれがある。
【0007】
また、注入距離が長くなると、グラウト材が注入途中で硬化し、グラウト注入袋の末端まで行き渡らない可能性もあり、注入量の管理も困難となる。
さらには、エレメントの挿入距離が長くなると、挿入施工が長期に亘るため、その間に、周辺の地山が緩み、エレメントが緩んだ地山によって締め付けられてエレメントの挿入抵抗が増大するおそれもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−207788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は、エレメントの挿入に伴って、挿入完了前に適宜グラウト材を注入することのできる裏込め注入工法および連結式短尺状裏込め袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、地山に挿入するエレメントの長さ方向における外周に沿って配置し、内部に裏込め材を封入する裏込め袋を、前記エレメントの前記地山への挿入に伴って、前記エレメントの先端付近の内部から後方に送り出し、送り出された前記裏込め袋に対して、所定距離ごとに前記裏込め材を、前記エレメント内部から注入する裏込め注入工法であることを特徴とする。
【0011】
前記エレメントは、角形断面鋼管、円形断面鋼管、押し管等とすることができる。また地山へのエレメントの挿入方法は、エレメントの前方において、開放型の掘削装置における人力掘削や機械掘削、あるいは密閉型の掘削装置における機械掘削等によって掘削し、到達側からのけん引や発進側からの押出し等によって挿入する方法とすることができる。
【0012】
前記裏込め材は、セメント系のグラウト材や、モルタル材、ベントナイトを配合した裏込め材等とすることができる。
【0013】
この発明により、前方を掘削しながらエレメントを挿入する際に生じるエレメントの周囲と地山との間の空隙を、裏込め袋に裏込め材を注入することで確実に充填することができる。したがって、空隙を埋めるように周辺の地山が緩み、上方の軌道等や地表面の沈下や陥没につながるおそれを防止することができる。
【0014】
詳しくは、地山に挿入するエレメントの長さ方向における外周に沿って配置し、内部に裏込め材を封入する裏込め袋を、前記エレメントの前記地山への挿入に伴って、前記エレメントの先端付近の内部から後方に送り出し、送り出された前記裏込め袋に対して、所定距離ごとに前記裏込め材を、前記エレメント内部から注入するため、裏込め材の注入距離が短くなり、確実に裏込め材を裏込め袋に注入することができる。
【0015】
また、所定距離ごとに前記裏込め材を前記エレメント内部から注入するため、エレメントと地山との間に生じた空隙を早期に充填することができ、空隙による周辺地山の緩みを防止できる。したがって、緩んだ地山によるエレメントの締め付けによる挿入抵抗の増大も防止することができる。
さらには、所定距離ごとに裏込め材を注入するため、裏込め材の注入量の管理も容易に行うことができる。
【0016】
この発明の態様として、前記裏込め袋の地山側表面を、少なくとも追従性の高い高追従性合成繊維製布帛で構成するとともに、前記裏込め袋のエレメント側表面を、少なくとも前記エレメント表面との摩擦性能の高い高摩擦性合成繊維製布帛で構成することができる。
前記摩擦性能の高い高摩擦性合成繊維製布帛は、摩擦に対する耐摩耗性に優れた合成繊維製布帛や、摩擦係数が低い合成繊維製布帛とすることができる。
【0017】
この発明により、空隙を形成する地山は様々な形状であるが、地山形状に追従し、裏込め材が注入された裏込め袋で確実に空隙を充填することができる。また、既に裏込め材を注入した裏込め袋は、挿入するエレメント外周面と摺動することとなるが、裏込め袋のエレメント側表面を高摩擦性合成繊維製布帛で構成しているため、エレメント表面との摺動による裏込め袋の破損を防止することができる。なお、高摩擦性合成繊維製布帛を摩擦係数の低い合成繊維製布帛で構成した場合、裏込め袋とエレメントとの摩擦抵抗が低減するため、エレメントの挿入抵抗の増大を防止することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記裏込め袋を、所定長さの短尺状裏込め袋を、連結手段で連結して構成し、前記裏込め材の注入を、送り出された前記短尺状裏込め袋ごとに行うことができる。
【0019】
前記連結手段は、面ファスナ、接着剤による接着、粘着剤による粘着、縫合、係止フックと係止孔による係止、係止フック同士の係止、あるいは凹部材と凸部材の嵌合等による連結とすることができる。
【0020】
この発明により、エレメントと地山との空隙をより確実に充填することができる。詳しくは、裏込め袋を所定長さで形成した短尺状裏込め袋で構成することにより、裏込め材の注入距離を短くできる。したがって、注入途中で注入圧力が異常に上昇したり、途中で裏込め材が硬化することなく、裏込め材を短尺状裏込め袋の隅々まで行き渡らせて確実に注入し、空隙を充填することができる。
【0021】
また、裏込め袋を、所定長さの短尺状裏込め袋で構成したことによって、エレメントの挿入距離分連続する裏込め袋と比較して、軽量であり、取り扱い性に優れるため、作業効率を向上することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記裏込め材の注入圧力を制御する注入制御装置を備え、該注入制御装置が、前記裏込め材の注入初期における注入圧力のうち圧力が所定範囲となる安定圧力に基づいて定まる管理圧力値で注入制御することができる。
前記安定圧力に基づいて定まる管理圧力値は、安定圧力に、エレメントを挿入する挿入箇所に作用する土圧に応じた所定圧力を加算した圧力とすることができる。
【0023】
この発明により、地山の土圧や、裏込め袋への裏込め材の注入量に応じて適した注入圧力で裏込め袋へ裏込め材を注入することができる。したがって、裏込め材の注入圧力が高すぎて、周囲の地山を加圧し、地表面や地表面に設置した構造物が隆起するおそれを防止することができる。
【0024】
詳しくは、裏込め袋への裏込め材の注入初期では、注入圧力が一時的に高くなる突入圧力が生じ、突入圧力のあと注入圧力が低下して安定圧力となる。この安定圧力に基づいて管理圧力値を設定するため、周辺地山に影響を及ぼすことなく裏込め材を裏込め袋に注入することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記エレメントを連結して構築する地中構造物における外側面の少なくとも一部に前記裏込め袋を配置することができる。
前記地中構造物は、地下構造物や盛土内に構築する地中構造物とすることができる。
この発明により、エレメント挿入による地中構造物の周辺の地山の緩みを防止することができる。したがって、安定性の高い地中構造物を構築することができる。
【0026】
またこの発明は、地山に挿入するエレメントの長さ方向における外周に沿って配置され、内部に裏込め材の封入を許容する所定長さの帯状袋体で形成し、各帯状袋体に、内部への裏込め材の注入を許容する注入手段と、前記帯状袋体同士を連結する連結手段とを備えた連結式短尺状裏込め袋であることを特徴とする。
【0027】
この発明により、前方を掘削しながらエレメントを挿入する際に生じるエレメントの周囲と地山との間の空隙を、帯状袋体に裏込め材を注入することで確実に充填することができる。したがって、空隙を埋めるように周辺の地山が緩み、上方の軌道等や地表面の沈下や陥没につながるおそれを防止することができる。
【0028】
また、短尺状裏込め袋では、裏込め材の注入距離を短くできるため、注入途中で注入圧力が異常に上昇したり、途中で裏込め材が硬化することなく、裏込め材を短尺状裏込め袋の隅々まで行き渡らせて確実に注入し、空隙を充填することができる。また、短尺状裏込め袋を所定長さで構成したことによって、エレメントの挿入距離分連続する裏込め袋と比較して、軽量であり、取り扱い性に優れるため、作業効率を向上することができる。
【0029】
この発明の態様として、前記帯状袋体を、地山側表面を、少なくとも追従性の高い高追従性合成繊維製布帛で構成するとともに、エレメント側表面を、少なくとも前記エレメント表面との摩擦性能の高い高摩擦性合成繊維製布帛で構成することができる。
【0030】
この発明により、空隙を形成する地山は様々な形状であるが、地山形状に追従し、裏込め材が注入された裏込め袋で確実に空隙を充填することができる。また、既に裏込め材を注入した帯状袋体は、挿入するエレメント外周面と摺動することとなるが、帯状袋体のエレメント側表面を高摩擦性合成繊維製布帛で構成しているため、エレメント表面との摺動による帯状袋体の破損を防止することができる。なお、高摩擦性合成繊維製布帛を摩擦係数の低い合成繊維製布帛で構成した場合、裏込め袋とエレメントとの摩擦抵抗が低減するため、エレメントの挿入抵抗の増大を防止することができる。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、エレメントの挿入に伴って、挿入完了前に適宜グラウト材を注入することのできる裏込め注入工法および連結式短尺状裏込め袋を提供することができる。
- 【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】軌道下に構築する地下横断構造物の概略斜視図。
【図2】同状態の概略正面図。
【図3】同状態の概略縦断面図。
【図4】角型鋼製エレメントについての拡大正面図。
【図5】スライド式サイドカバーについての説明図。
【図6】刃口及び角型鋼製エレメントについての説明図。
【図7】刃口についての説明図。
【図8】裏込めバッグについての説明図。
【図9】裏込めグラウト注入システムについての概略図。
【図10】エアーバッグについての説明図。
【図11】エレメント挿入工に関するフローチャート。
【図12】エレメント挿入工についての説明図。
【図13】エレメント挿入工における掘削・排土について説明する説明図。
【図14】裏込めグラウト注入工に関するフローチャート。
【図15】裏込めグラウト注入圧力管理に関するグラフ。
【図16】裏込めグラウト注入工についての説明図。
【図17】切羽防護施工についての説明図。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
- 【公開番号】特開2011−256613(P2011−256613A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【発明の名称】裏込め注入工法および連結式短尺状裏込め袋
- 【出願番号】特願2010−132371(P2010−132371)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
【識別番号】391042601
【氏名又は名称】ジェイアール東海建設株式会社
【識別番号】591065848
【氏名又は名称】名工建設株式会社
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
【識別番号】399101337
【氏名又は名称】株式会社ジェイテック
- 【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
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