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自動二輪車における燃料ホースの配管構造及び自動二輪車
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- 【要約】
【課題】ガソリン蒸気が燃料ホース中に滞留する状況を回避しアイドリングの安定性を向上させるとともに、燃料ホースとその他の部品との干渉を回避する。
【解決手段】スイングユニット型エンジン11を、車両前後方向に沿って略水平に延伸する状態で搭載し、スイングユニット型エンジン11の上方にフューエルフィルタ33を設け、フューエルフィルタ33と燃料を供給する燃料噴射装置30とを接続する燃料ホース34を、スイングユニット型エンジン11の上方において配管するスクータ型自動二輪車において、スイングユニット型エンジン11の上面に突設されたクランプ部材40により、燃料ホース34の中央をスイングユニット型エンジン11の上面から所定の高さ位置において支持するようにし、燃料ホース34をスイングユニット型エンジン11の上面と略平行の状態として配管するようにした。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイングユニット型エンジンを、車両前後方向に沿って略水平に搭載した自動二輪車において、前記スイングユニット型エンジンの上方に設けたフューエルフィルタと燃料噴射手段とを接続する燃料ホースを、前記スイングユニット型エンジンの上方にて配管する自動二輪車における燃料ホースの配管構造であって、
前記スイングユニット型エンジンの上面に突設されたホース支持部により、前記燃料ホースを、前記スイングユニット型エンジンの上面から所定の高さ位置にて支持するようにしたことを特徴とする自動二輪車における燃料ホースの配管構造。
【請求項2】
前記ホース支持部により、前記燃料ホースを、前記スイングユニット型エンジンの上面と略平行の状態として保持したことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車における燃料ホースの配管構造。
【請求項3】
前記フューエルフィルタを車幅方向において一側に、前記燃料噴射手段を車幅方向において他側に配置し、前記燃料ホースを、前記スイングユニット型エンジンの上面を車幅方向において横断するように配管し、
前記ホース支持部により、車幅方向における車両略中央で前記燃料ホースの一部を支持することで、前記燃料ホースを前記スイングユニット型エンジンの上面と略平行の状態として保持したことを特徴とする請求項2に記載の自動二輪車における燃料ホースの配管構造。
【請求項4】
前記燃料ホースを、前記フューエルフィルタと前記燃料噴射手段とを直線で結んだ距離よりも長く設定し、前記燃料ホースの一部を車両前方に向けて凸状となるように湾曲させたことを特徴とする請求項3に記載の自動二輪車における燃料ホースの配管構造。
【請求項5】
前記スイングユニット型エンジンに含まれるシリンダアッセンブリから車両後方に延出し、車両後部に配置されるエアクリーナに接続するブローバイガスを排出するためのブリーザーホースを、前記燃料ホースと前記スイングユニット型エンジンとの間に通すとともに、前記スイングユニット型エンジンの上面から所定の高さ位置にて支持したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動二輪車における燃料ホースの配管構造。
【請求項6】
前記スイングユニット型エンジンのシリンダアッセンブリに空気を流入する吸気通路に対する前記燃料噴射手段の傾斜角度を、0度よりも大きく最大90度までとしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動二輪車における燃料ホースの配管構造。
【請求項7】
前記ホース支持部は、前記スイングユニット型エンジンの上面に取り付けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動二輪車における燃料ホースの配管構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動二輪車における燃料ホースの配管構造を備えたことを特徴とする自動二輪車。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車における燃料ホースの配管構造及び自動二輪車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くのスクータ型自動二輪車では、ユニットスイング型エンジンを採用している。ユニットスイング型エンジンは、シリンダアッセンブリ、クランクケース、及び変速ユニットをユニット化したものであり、ユニットの前側に形成されたスイングピボット部を車体フレームに対し回動自在に連結し、後側で後輪を支持するとともに、車体フレームとの間でショックアブソーバを支持することで、上下方向に揺動可能なスイングアームとしての機能を果たすものである。
【0003】
また、スクータ型自動二輪車の多くはライダーシートにより開閉される所謂ヘルメットボックスである物品収納スペースを有している。
【0004】
スクータ型自動二輪車がスイングユニット型エンジンを搭載し、且つ、物品収納スペースを有する場合、当該車両は、物品収納スペースの確保のために、スイングユニット型エンジンにおけるシリンダアッセンブリ内のシリンダのシリンダ軸線を車両前後方向に沿うようにし、このシリンダ軸線に沿って後方にクランクケース及び変速ケースを配置して、スイングユニット型エンジンを搭載する。このようにユニットスイング型エンジンを車両に搭載した場合は、スイングユニット型エンジンは車両前後方向に沿って延伸する状態となる。
【0005】
このような車体構造を有するスクータ型自動二輪車では、後方に位置する変速ユニットの上面にエアクリーナを設け、その上側に位置する車体フレームに燃料タンクを設けることがレイアウト上効率的である。このようにエアクリーナや燃料タンクを設けた場合には、エアクリーナに接続される吸気ダクト、スロットルボディ及び吸気管や燃料タンクに接続される燃料ホース等を、ユニットスイング型エンジンと物品収納スペースとの間の限られたスペースの中で配管することが必要となる。なお、上記のように変速ユニットの上面にエアクリーナを設けた場合には、後輪を介してエアクリーナと対向する車幅方向外側に排気管が延出しマフラーと接続することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−130975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、上述したような車体構造を有するスクータ型自動二輪車が開示されており、このスクータ型自動二輪車では、燃料噴射装置としてディスチャージポンプ(以下、DCP)と呼ばれる装置を用いている。DCPは、インジェクタ、燃料ポンプ及びレギュレータの機能を兼ね備えたものであり、燃料系統の簡素化を図ることができるものである。
【0008】
燃料噴射装置としてDCPを用いる場合には、燃料タンクから燃料を供給する燃料ホースと、ポンプ作動時に生じるベーパー(気泡)を燃料タンク側に戻すリターンホースとが必要であり、これらホースもユニットスイング型エンジンと物品収納ボックスとの間の限られたスペース内に配管されることになる。図10は、DCPを採用した従来のスクータ型自動二輪車の燃料ホース等の配管構造の一例を示す図であり、車両前方からスイングユニット型エンジンの上側を見た図である。
【0009】
図10に示す車両では、燃料タンク101に一端を接続した燃料ホース102が、不図示の車体フレームに支持されたベーパーを除去するためのフューエルフィルタ103に、その他端を接続する。フューエルフィルタ103は、スイングユニット型エンジン100の上面よりも上方に支持されており、フューエルフィルタ103には更に、燃料ホース104が接続される。燃料ホース104は、車幅方向においてユニットスイング型エンジン100の上面を横断するようにして、燃料噴射手段であるDCP105の背面に接続する。ここまでの配管により、DCP105に燃料が供給されることになる。
【0010】
そして、DCP105にはベーパーを燃料タンク101に戻すためのリターンホース106が接続される。DCP105に接続されたリターンホース106は、上方に延出して、その後スイングユニット型エンジン100の上方に位置する不図示の物品収納スペースを回避するようにして湾曲し、エアー管107に接続する。エアー管107は上方に延出して燃料タンク101に接続し、ベーパーを燃料タンク101に戻す。
【0011】
また、図10に示す車両では、スイングユニット型エンジン100の前方に配置されるシリンダアッセンブリのシリンダヘッドに、ブローバイガスを排出するためのブリーザーホース108が接続される。ブリーザーホース108は、車両後方に向けて延出し、その後車両後方に配置されたエアクリーナ109に接続する。なお、図中110はマフラーを示し、111は後輪を示す。
【0012】
しかしながら、図10で説明したような配管構造である場合、次のような問題がある。
先ず、フューエルフィルタ103がスイングユニット型エンジン100の上面よりも上方に支持され、燃料ホース104はスイングユニット型エンジン100の揺動を吸収する余裕を持たせるために長めに設定されている。そのため、フューエルフィルタ103とDCP105とを接続する燃料ホース104は、DCP105に向けてやや下った状態となり、その一部が谷形状(104Aで示す部分)となる。このような場合、燃料ホース104の中にガソリン蒸気が溜まりやすくなってしまい、アイドリングの安定性が良好でなくなる可能性がある。
【0013】
また、燃料ホース104は、長さに余裕を持たせているため、ユニットスイング型エンジン100の揺動時に燃料ホース104と干渉してしまう場合がある。このような干渉を回避するためには、燃料ホース104とユニットスイング型エンジン100との間に十分なクリアランスを確保する必要があるが、物品収納スペース等によるスペースの制約でクリアランスの十分な確保が難しく、干渉が避けられない場合がある。
【0014】
また、シリンダアッセンブリのシリンダヘッドから後方に延出するブリーザーホース108は、燃料ホース104と交差することになる。この場合、ホース間の干渉による摩耗を避けるためにプロテクタを設けることやクリアランスを確保する必要が生じるため、コストアップやクリアランスの一層の確保の必要性が生じてしまう。
【0015】
なお、ここでは、燃料噴射装置としてDCPを用いる場合を説明したが、上述した問題は、インジェクタを用いた場合でも同様に生じる可能性のある問題である。
【0016】
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであり、ガソリン蒸気が燃料ホース中に滞留する状況を回避しアイドリングの安定性を向上させるとともに、燃料ホースとその他の部品との干渉を車両上のスペースの確保を考慮しつつ回避する自動二輪車における燃料ホースの配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のスクータ型自動二輪車における燃料ホースの配管構造は、スイングユニット型エンジンを、車両前後方向に沿って略水平に搭載した自動二輪車において、前記スイングユニット型エンジンの上方に設けたフューエルフィルタと燃料噴射手段とを接続する燃料ホースを、前記スイングユニット型エンジンの上方にて配管する自動二輪車における燃料ホースの配管構造であって、前記スイングユニット型エンジンの上面に突設されたホース支持部により、前記燃料ホースを、前記スイングユニット型エンジンの上面から所定の高さ位置にて支持するようにしたことを特徴とする。
また、本発明のスクータ型自動二輪車は、上記に記載のスクータ型自動二輪車における燃料ホースの配管構造を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ガソリン蒸気が燃料ホース中に滞留する状況を回避できるためアイドリングの安定性を向上させることができる。また、燃料ホースとその他の部品との干渉を、例えば物品収納スペースなどのスペースの確保を考慮しつつ回避することができる。
- 【公開番号】特開2011−6036(P2011−6036A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【発明の名称】自動二輪車における燃料ホースの配管構造及び自動二輪車
- 【出願番号】特願2009−154366(P2009−154366)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
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