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鉄道車両の構体構造
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- 【要約】
【課題】戸先柱と側出入口の上側水平部とが交わる、側出入口の上側隅部の強度を、補強部材を用いることなく、確保する。
【解決手段】押し出し方向が車体長手方向になるように複数の押し出し形材2を配置して側構体1が構成される。押し出し形材2を切除して側構体1に側出入口1Aが形成され、この側出入口1Aの上面部が、押し出し形材2の端面あるいはウエブ板部2cの側面を利用して構成される。側出入口1Aの前後面部を形成する押し出し形材2の切除面を塞ぐように戸先柱11が設けられる。戸先柱11は、側出入口1Aの下端部から上端部まで延びる第1の部分11Aと、側出入口1Aの上側コーナ部に相当する部位で側出入口1Aの湾曲コーナ部を形成し内周面が側出入口の上面部に連続する面となる第2の部分11Bとを有する。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
押し出し方向が車体長手方向になるように複数の押し出し形材を配置して側構体が構成される鉄道車両の構体構造において、
前記押し出し形材は、前記側構体の外側面を形成する面板部と、車体内方側に延びるウエブ板部とを有し、
前記押し出し形材を切除して前記側構体に側出入口が形成され、
前記側出入口の上面部が、前記押し出し形材の端面あるいはウエブ板部の側面を利用して構成され、
前記側出入口の前後面部を形成する前記押し出し形材の切除面を塞ぐように戸先柱が設けられ、
前記戸先柱は、前記側出入口の下端部から上端部まで延びる第1の部分と、前記側出入口の上側コーナ部に相当する部位で前記側出入口の湾曲コーナ部を形成し内周面が前記側出入口の上面部に連続する面となる第2の部分とを有することを特徴とする鉄道車両の構体構造。
【請求項2】
前記第2の部分の内周面であって前記側出入口の上面部に連続する面は、水平方向に延びていることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両の構体構造。
【請求項3】
前記戸先柱は、断面においてフラットな本体部と、この本体部の両側縁から同一方向に延びる2つの側縁部とを有するチャンネル形状で、外側面側を形成する側縁部が、内側面側を形成する側縁部より短くなっていることを特徴とする請求項1または2記載の鉄道車両の構体構造。
【請求項4】
前記側構体には、前記戸先柱の形状に対応して、前記側出入口の前後面部からコーナ部にかけて切り欠き凹部が形成され、前記切り欠き凹部に前記戸先柱が嵌り込んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の鉄道車両の構体構造。
【請求項5】
前記側出入口の下側コーナ部には、側はり上に設けられた側板によって湾曲コーナ部が形成され、
前記戸先柱は、下端部に前記側板に係合する切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の鉄道車両の構体構造。
【請求項6】
前記押し出し形材は、2つの面板部およびそれらを連結するウエブ板部を有し、前記2つの面板部のうち一方の面板部によって前記側構体の外側面が形成されるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の鉄道車両の構体構造。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の構体構造、特に側出入口の上部コーナ部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両の側構体を、アルミニウム合金の押し出し形材を用いて製造する場合、前記押し出し形材の押し出し方向が車体長手方向に一致するように配置し、前記側構体に側出入口の開口部を形成する際に、側出入口の前後両端には戸先柱を配置して押し出し形材の端部を前記戸先柱で覆うことで塞いでいる。一方、側出入口の上側水平部は、押し出し形材が2つの面板部およびそれらを連結するウエブ板部を有する構造であることから、前記面板部またはウエブ板部を利用して形成することで、特別な部材を必要としないようにしている。
【0003】
このような構造の場合、戸先柱と側出入口の上側水平部とが交わる、側出入口の上側隅部において、応力が集中するのを低減する必要がある。そのため、前記上側隅部に、湾曲面が前記側出入口に臨む略三角形状の補強部材を別途溶接により固定している。
【0004】
また、側出入口の全周にわたって縁材(枠部材)を摩擦攪拌接合するようにしたものも提案されている(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3575749号公報
【特許文献2】特開2008−126782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記側出入口の上側隅部に対し補強部材を溶接により設ける場合には、下記の問題があった。
・溶接量が多くなり、コスト面で不利である。
・溶接量が多くなり、溶接による熱歪みが生じ、外板の見栄えが低下する。
・補強部材と戸先柱および側出入口の上側水平部との接点が溶接部となり、作用する応力が高くなる部分に溶接部が集中することになり、強度上不利である。
【0007】
また、特許文献1,2に記載のものも、摩擦攪拌接合する部分の長さが長くなり、コスト面で不利である。
【0008】
本発明は、側出入口の全周にわたって縁材(枠部材)を設けることなく、戸先柱と側出入口の上側水平部とが交わる、側出入口の上側隅部の強度を、補強部材を用いることなく、確保できる鉄道車両の構体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、押し出し方向が車体長手方向になるように複数の押し出し形材を配置して側構体が構成される鉄道車両の構体構造において、前記押し出し形材は、前記側構体の外側面を形成する面板部と、車体内方側に延びるウエブ板部とを有し、前記押し出し形材を切除して前記側構体に側出入口が形成され、前記側出入口の上面部が、前記押し出し形材の端面あるいはウエブ板部の側面を利用して構成され、前記側出入口の前後面部を形成する前記押し出し形材の切除面を塞ぐように戸先柱が設けられ、前記戸先柱は、前記側出入口の下端部から上端部まで延びる第1の部分と、前記側出入口の上側コーナ部に相当する部位で前記側出入口の湾曲コーナ部を形成し内周面が前記側出入口の上面部に連続する面となる第2の部分とを有することを特徴とする。
このようにすれば、隅補強のための補強部材が必要なくなり、部品点数の低減を図ることができるとともに、重量軽減にも寄与する。また、溶接量も削減できるので、作業時間及び製造コストの削減が図れる。隅補強を廃止できるので、外板面に露出する溶接が大幅に削減され、見栄えが向上する。
【0010】
請求項2に記載のように、前記第2の部分の内周面であって前記側出入口の上面部に連続する面は、水平方向に延びていることが望ましい。
【0011】
このようにすれば、水平方向に延びている部分で接合されるので、高い応力が発生するコーナ部から接合部分を離すことができる。
【0012】
請求項3に記載のように、前記戸先柱は、断面においてフラットな本体部と、この本体部の両側縁から同一方向に延びる2つの側縁部とを有するチャンネル形状で、外側面側を形成する側縁部が、内側面側を形成する側縁部より短くなっていることが望ましい。
【0013】
このようにすれば、フラットな本体部で側出入口の周縁となる前後面部を形成することができ、内側面側を形成する側縁部によって、側構体に形成される側出入口の周縁(切断面)を簡単に隠蔽することができる。
【0014】
請求項4に記載のように、前記側構体には、前記戸先柱の形状に対応して、前記側出入口の前後面部からコーナ部にかけて切り欠き凹部が形成され、前記切り欠き凹部に前記戸先柱が嵌り込んでいることが望ましい。
【0015】
このようにすれば、切り欠き凹部に戸先柱を嵌め込むだけで、それらの位置合わせを行うことができる。また、戸先柱、隅補強部分、開口上端水平部の接点が長手方向に配置された形材内になり、強度向上が図られる。
【0016】
請求項5に記載のように、前記側出入口の下側コーナ部には、側はり上に設けられた側板によって湾曲コーナ部が形成され、前記戸先柱は、下端部に前記側板に係合する切り欠き部が形成されている構成とすることができる。
【0017】
このようにすれば、戸先柱の下端部も、見栄えを損ねることなく、側出入口の下端部まで延ばすことができる。
【0018】
請求項6に記載のように、前記押し出し形材は、2つの面板部およびそれらを連結するウエブ板部を有し、前記2つの面板部のうち一方の面板部によって前記側構体の外側面が形成されるものとすることが望ましい。
【0019】
このようにすれば、押し出し形材は2つの面板部およびそれらを連結するウエブ板部で構成されるので,剛性が高まる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上記のように構成したから、隅補強のための補強部材が必要なくなり、部品点数の低減を図ることができる。また、溶接量も削減できるので、製造コストの削減が図れる。隅補強を廃止できるので、外板面に露出する溶接が大幅に削減され、見栄えが向上する。
- 【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る鉄道車両の構体構造の一実施の形態を示す側面図である。
【図2】図1のA部を車内側から見た状態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】側出入口の上下コーナ部に戸先柱を取り付ける前の状態を示し、(a)は上側コーナ部を車内側斜め下方から見た斜視図、(b)は上側コーナ部を車外側斜め上方から見た斜視図、(c)は下側コーナ部を車内側斜め上方から見た斜視図、(d)は下側コーナ部を車外側斜め上方から見た斜視図、(e)は図2(a)のN部の詳細図である。
【図4】戸先柱を示し、(a)は車内側から見た図、(b)は図4(a)のB方向から見た図、(c)は車外側から見た図である。
【図5】戸先柱の断面図である。
【図6】図4(a)のC−C線における断面図である。
【図7】(a)は図2のF−F線断面図、(b)は図2のG−G線断面図、(c)は図2のM−M線断面図である。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
- 【公開番号】特開2012−25324(P2012−25324A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【発明の名称】鉄道車両の構体構造
- 【出願番号】特願2010−167968(P2010−167968)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
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