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踏切警報音発生装置とその制御方法
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- 【要約】
【課題】待機二重系動作において、主系と従系の動作を交番させ、警報音の発生と自己診断および相手側の監視を行う二系統交番形の踏切警報音発生装置を提供する。
【解決手段】電源部3、アンプ部4、音源制御部5、及び出力トランス6を有する同一回路構成の一対の警報音発生回路2を含み、音源制御部5にCPUとスイッチを備えて、起動信号が入力すると起動毎に、一方の警報音発生回路が音出力し、他方の警報音発生回路が監視動作を行う。出力トランス6は、一次側をアンプ部2の出力に接続し、一次側の入力信号を音源制御部5にフィードバックさせ、一方の警報音発生回路2は、主系動作として、アンプ動作を有効にして警報音を発生させ、他方の警報音発生回路2は、従系動作として、非起動系のCPUが一方の音源制御部5からの警報音の発生状態を監視しており、一対の警報音発生回路2は、起動信号Pが入力する毎に、交互に交番して主系・従系動作を切替える。
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- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏切警報機に取り付けられるスピーカーに接続されて、警報音を発生させる踏切警報音発生装置であって、
電源部、アンプ部、音源制御部、及び出力トランスを有する同一回路構成の二系統の警報音発生回路を含み、
該警報音発生回路は、起動信号が入力すると、起動毎に一方の警報音発生回路が音出力し、他方の警報音発生回路が監視動作を行うように、前記音源制御部の各々にCPUと、初期設定で前記音源制御部のオンオフ動作を決定するスイッチとが設けられ、
前記出力トランスは、それぞれ、一次側を前記アンプ部の出力に接続し、二次側を一対の前記スピーカーに並列接続するとともに、前記出力トランスの一次側の入力信号を対応する前記音源制御部にフィードバックさせ、
前記二系統の警報音発生回路は、前記起動信号が入力する毎に、交互に交番して前記主系動作と前記従系動作に切り替わることを特徴とする踏切警報音発生装置。
【請求項2】
前記警報音を発生させる一方の前記警報音発生回路は、主系動作として、起動系のCPUがメモリのカウント値に基づき、アンプ動作を有効にして警報音を発生させ、監視動作を行う他方の前記警報音発生回路は、従系動作として、非起動系のCPUが一方の音源制御部からの警報音の発生状態を監視することを特徴とする請求項1記載の踏切警報音発生装置。
【請求項3】
電源部、アンプ部、音源制御部、及び出力トランスを有する同一回路構成の二系統の警報音発生回路を含み、前記2つの出力トランスに対して並列接続されたスピーカーを介して踏切警報音を発生させるための制御方法であって、
起動信号が入力すると、予め決められた主系と従系を選択するスイッチの作動状態に基づいて、各系統の音源制御部に設けたCPUにより、起動系の警報音発生回路と非起動系の警報音発生回路を交番させ、起動毎に一方の警報音発生回路が音出力し、他方の警報音発生回路が監視動作を行う工程と、
前記CPUの制御により、一方を起動系の警報音発生回路に、他方を非起動系の警報音発生回路に選択する工程と、
前記各アンプ部から出力された前記出力トランスの一次側からのフィードバックによる警報音信号とを計測し、警報音の発生を常時チェックする工程と、
前記警報音が検知された場合、非起動系の警報音発生回路は、監視動作を続行する工程と、
前記警報音が一定以下または検知されない場合、非起動系の警報音発生回路が警報音を発生させるモードに移行し、警報音を出力する工程とを含むことを特徴とする制御方法。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、踏切において、道路を通行する歩行者や車両運転者に対して音と光によって列車が接近していることを警告する踏切警報機に用いられる踏切警報音発生装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
踏切警報機は、一般的に車両の進行方向に対して通行車線側の路側に置かれ、線路の両側に遮断機と一対となって設置されている。この踏切警報機の警報は、警報音発生装置により、列車の接近に伴い警報音を出して周囲に知らせるもので、おもに電気式、電鐘式、電鈴式があるが、現在では、警報機上部に設置されたスピーカーを介して電子音により、列車の接近を知らせるものがほとんどであり、音量調整も自由に設定できるようになっている。
【0003】
警報音発生装置は、従来、電源に警報音を発生させるための起動信号が入力すると、主系回路を作動させ、主系回路が異常状態時には従系回路に入れ替わることで、機器への電気的な安定性を維持しており、その装置の制御動作に基づき、一部分二重系動作または待機二重系動作になっている。
一部分二重系動作の踏切警報音発生装置30は、特許文献1の従来技術として示された図4の回路構成を有している。この装置30は、鉄道の踏切道に向けて設置された二個の外付けスピーカー31,32に接続されて警報音を発生するために、外部から与えられる二値論理の踏切条件Aに応じて踏切警報用主信号Bを生成する音発信号生成回路35と、電力増幅器33と出力トランス34を有して、踏切警報用主信号Bを電力増幅してスピーカー31,32の駆動線に送出する駆動回路36と、個々に外付け接続しうる複数のスピーカー31,32を並列駆動すべく両スピーカーの各駆動線を装置内部で接続した並列接続部37とを備えている。
【0004】
音発信号生成回路35は、踏切条件Aのオン時に750Hzの発振信号f1を発生し、踏切条件Aのオフ時に発振を停止する発振回路38aと、踏切条件Aのオン時に2Hz強の発信信号fmを発生し、踏切条件Aのオフ時に発振を停止する発振回路38bと、踏切条件Aのオン時に700Hzの発振信号f2を発生し、踏切条件Aのオフ時に発振を停止する発振回路38cと、発信信号f1を発信信号fmで振幅変調する振幅変調回路40と、発信信号f2を発信信号fmで振幅変調する振幅変調回路41と、両回路40,41の出力信号を重ね合わせて踏切警報用主信号Bを生成する加算合成回路42とを備えている。
そして、踏切条件Aがオンの時には、踏切警報音を出させるため踏切警報用主信号Bに750Hzと700Hzの発振状態を交互に2Hz強で採らせ、踏切条件Aがオフの時には、踏切警報音を出させないため踏切警報用主信号Bに一定値を採らせるようになっている。
【0005】
また、踏切警報用主信号Bが一定値を採っているときには、スピーカー31,32の駆動電圧が0Vになって警報音が発せられないが、踏切警報用主信号Bが発振状態を採っているときには、スピーカー31,32の駆動電圧が、例えば振幅20Vp−pで正負に振れる正弦波形になって、踏切で馴染みの警報音がスピーカー31,32から発せられるようになっている。
並列接続部37は、スピーカー31,32が故障しても、故障したのが片方だけなら、故障していない他方には警報音を出させることができる。
しかし、このような一部分二重系動作の踏切警報音発生装置30では、スピーカー駆動時すなわち警報音発生時しか故障検出ができない。また、完全な待機二重系ではないので、装置の信頼性が劣る。
【0006】
一方、主系動作と従系動作を行うものとして、上記特許文献1に示された、より高度な警報音発生装置が、図4,5に示す装置であり、この装置は、待機二重系動作になっている。
踏切警報音発生装置50は、踏切条件Aに応じて生成される踏切警報用主信号Bと検査用副信号Fとを混合して電力増幅し、スピーカー駆動線に送出する駆動回路52と、スピーカー31,32と直列インピーダンスとの分割電圧から副信号検出信号Nを生成する電圧検出部54と、信号Nに基づいて正常状態と断線故障と短絡故障とを分けて判定する判定部56とを備えている。
【0007】
そして、踏切条件Aがオンになると、750Hzと700Haとが交互に2Hz強で代わる踏切警報音がスピーカー31,32から出力される。また、踏切条件Aがオフになると静かになる。図4に示すように、踏切警報用主信号Bと検査用副信号Fを加算する加算合成回路53を介して、合成信号Hを作り、増幅器57とトランス58で構成される駆動回路に合成信号Hを入力することにより、スピーカー31,32に警報音信号を送る。
【0008】
また、電圧検出部54は、信号トランス59と信号増幅器60とパルス乗算回路61とレベル検出回路62を備えており、パルス乗算回路61では、検査用副信号Fの入力により、副信号検出信号Lと検査用副信号Fとから、半波の副信号検出信号Mを生成する。
さらに、レベル検出回路62では、副信号検出信号Mからレベル付きの副信号検出信号Nを出力し、判定部56において、スピーカー31,32との接続に係る正常状態と断線故障と短絡故障に分けて判定する。そして、故障通知回路64により、外部に判定結果Pを出力するように構成されている。
【0009】
上記踏切警報音発生装置50に設けられた故障検出回路(図示略)は、例えば、図5に示す待機二重系の踏切警報音発生装置70に利用されている。
図5において、この踏切警報音発生装置70は、主系では、制御・監視回路72、MP3回路73、及びアンプ回路74を有し、MP3回路73は、デジタル音源再生回路であり、録音された警報音源が保存されるフラッシュメモリとして、SDメモリ75またはUSBメモリ76が接続されている。
また、従系では、アナログ発振回路77とアンプ回路78を備えており、主系の制御・監視回路72を監視する。この主系からの監視信号に基づいて、主系からの警報音の発生がない場合に、従系のアナログ発振回路79からアンプ回路80を介して警報音信号を送り、主・従切替器82の出力を切替て、従系からの警報音を発生させる。
【0010】
また、主系の制御・監視回路72からは、主・従切替器82に制御信号が送られており、主系と従系の状態に応じて主・従切替器82の切替え制御を行うと共に、主・従切替器82の後段に設けられた故障検出回路83にスピーカー線の断線・短絡検出信号を送るようになっている。
このため、主系動作の故障及び出力用のスピーカーの断線、短絡等による無音故障の検出を行い、主要部を待機二重系として、主系故障時も機能を維持できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−89666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記2つの装置では、警報音が発生しない場合に対するフェイルセーフ機能として、踏切警報音発生装置における警報音を二重に発振させる、または踏切警報用主信号Bと検査用副信号Fとを合成し、常にどちらかの警報音が鳴るという安全対策がなされている。
しかし、これらの装置では、どちらか一方が常に警報音が鳴り、主系が警報音を発生しない場合にのみ、従系からの監視信号により、警報音を発生させるものであった。
このため、主系が壊れる前に、通常時に停止状態で作動しない従系が壊れると、主系の代わりに従系を作動させて、警報音を生じさせることができなくなってしまう。
また、一方を常時作動させるため、主系と従系の電気的負荷がアンバランスであり、正常であれば、常に主系のみが動作しており、従系は、長い間、停止状態のままに保たれている。このため、主系の安定動作の維持、及び従系の長期停止後にいきなり作動させることの不具合等が生じる場合がある。さらに、待機状態にある従系の保守監視においても別途、複雑な回路を必要とし、作動の立ち上がり、及び迅速な切替動作にも問題点が発生する。
【0013】
このように、一部分二重系動作または待機二重系動作の警報音発生装置の問題点に鑑みて、本発明は、一対の同一構成でなる警報音発生回路を用いて、起動信号が発生するたびに、主系動作と従系動作を順次交番させ、警報音の発生と自己診断および相手側の監視を行う二系統交番形の踏切警報音発生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、踏切警報機に取り付けられるスピーカーに接続されて、警報音を発生させる踏切警報音発生装置であって、電源部、アンプ部、音源制御部、及び出力トランスを有する同一回路構成の二系統の警報音発生回路を含み、該警報音発生回路は、起動信号が入力すると、起動毎に一方の警報音発生回路が音出力し、他方の警報音発生回路が監視動作を行うように、前記音源制御部の各々にCPUと、前記音源制御部の主従関係を定めるスイッチとが設けられ、前記出力トランスは、それぞれ、一次側を前記アンプの出力に接続し、二次側を一対のスピーカーに並列接続するとともに、前記出力トランスの一次側の入力信号を対応する前記音源制御部にフィードバックさせ、
前記二系統の警報音発生回路は、前記起動信号が入力する毎に、順次交番して前記主系動作と前記従系動作に切り替わることを特徴としている。
【0015】
本発明の実施形態では、前記警報音を発生させる一方の前記警報音発生回路は、主系動作として、起動系のCPUがメモリのカウント値に基づき、アンプ動作を有効にして警報音を発生させ、監視動作を行う他方の前記警報音発生回路は、従系動作として、非起動系のCPUが一方の音源制御部からの警報音の発生状態を監視していることを特徴としている。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記起動系のCPUは、前記メモリのカウント値が奇数のとき、アンプ動作を有効にして警報音を発生させ、前記カウント値が偶数のとき、警報音を発生することなく、自らは他系の監視動作を行う。
前記監視動作は、前記二系統の各CPU間に接続された線路を介して供給されるLNK信号による他系の異常状態信号と、前記出力トランスのそれぞれの一次側からのフィードバックされる警報音信号とを前記非起動系のCPUが計測し、警報音が出力されているか否かの2つの状態を常時検出することを特徴とする。
【0017】
また、前記主系動作の警報音発生回路は、警報音を発生させるモードにおいて、音源制御部が、常時、自らの警報音出力のフィードバック信号を監視し、出力異常と判断した場合に、自らの警報音を停止して無効化する自己診断機能を有している。
さらに、前記従系動作の警報音発生回路は、起動後に、前記主系動作の警報音発生回路からの警報音が検出された場合に、監視動作を継続し、警報音信号が一定値以下又は検出されない場合に、自ら警報音を発生させるモードに移行し、警報音を出力することを特徴とする。
【0018】
本発明の他の形態によれば、電源部、アンプ部、音源制御部、及び出力トランスを有する同一回路構成の二系統の警報音発生回路を含み、前記2つの出力トランスに対して並列接続されたスピーカーを介して踏切警報音を発生させるための制御方法であって、
起動信号が入力すると、予め決められた主系と従系を選択するスイッチの作動状態に基づいて、各系統の音源制御部に設けたCPUにより、起動系の警報音発生回路と非起動系の警報音発生回路を順次交番させ、起動毎に一方の警報音発生回路が音出力し、他方の警報音発生回路が監視動作を行う工程と、前記CPUの制御により、一方を起動系の警報音発生回路に、他方を非起動系の警報音発生回路に選択する工程と、前記各アンプ部から出力された前記出力トランスの一次側からのフィードバック信号による警報音の発生を常時チェックする工程と、前記警報音が検知された場合、非起動系の警報音発生回路は、監視動作を続行する工程と、前記警報音が一定以下または検知されない場合、非起動系の警報音発生回路が警報音を発生させるモードに移行し、警報音を出力する工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、警報音発生回路を、電源部、アンプ部、音源制御部、及び出力トランスを含む一対の同一回路構成で形成したので、回路構成を単純化し、回路素子の安定性及び信頼性を確保するとともに、コストを低減することができる。
また、一対の警報音発生回路は、起動信号の入力に従って順次交番するので、起動系と非起動系をバランス良く作動させて、回路の寿命を向上させることができ、絶えず、自己診断機能と、監視機能を維持して、警報音発生装置のフェイルセーフ機能を実現できる。
- 【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る踏切警報音発生装置の基本構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る図1における踏切警報音発生装置の警報音の動作状態を示すためのより詳細な回路構成図である。
【図3】従来例の踏切警報音発生装置の概略構成図である。
【図4】上記従来例の動作説明のための詳細図である。
【図5】他の従来例における待機二重系の踏切警報音発生装置の回路構成図である。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
- 【公開番号】特開2012−66672(P2012−66672A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【発明の名称】踏切警報音発生装置とその制御方法
- 【出願番号】特願2010−212331(P2010−212331)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
- 【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
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