シート貼付装置および貼付方法
- 【要約】
【課題】被着体に対して所定の貼付位置に正確に接着シートを貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供すること。
【解決手段】押圧手段4における支持体41の凹部43に接着シートSを受け入れることで、支持体41に対する接着シートSの位置ずれを防止することができるとともに、凹部43でウェハWを受け入れつつ接着シートSを貼付することで、ウェハWに対する接着シートSの位置ずれも防止することができ、ウェハWの所定の貼付位置に正確に接着シートSを貼付することができる。さらに、押圧手段4の支持体41で接着シートSを押圧しながらウェハWに貼付する際に、凹部43の外周面45で接着シートSの伸びを拘束することで、接着シートSがウェハWからはみ出すことなく所定形状を維持したまま貼付することができ、貼付精度を向上させることができる。
- 【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートが所定間隔を隔てて帯状の剥離シート上に仮着された原反を繰り出す繰出手段と、
前記繰出手段で繰り出された原反の剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、
前記剥離手段で剥離された接着シートを前記基材シートの他方の面側から押圧して被着体に貼付する押圧手段とを備え、
前記押圧手段には、前記基材シートの他方の面に当接可能な底面と、この底面から立ち上がって前記接着シートの外縁に当接可能な外周面と、を有した凹部が設けられ、この凹部の底面および外周面を当接させた前記接着シートを前記被着体に押圧して貼付可能に構成されていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記凹部の底面には、前記基材シートの他方の面を吸引して保持する保持手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記凹部で前記接着シートを支持した前記押圧手段と、前記被着体とを相対移動させる移動手段を備えて構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記凹部の外周面は、前記接着シートの外縁と同形状かつ当該接着シートの厚みよりも大きな立ち上がり寸法を有して形成され、当該接着シートを支持した状態で前記接着剤層よりも当該外周面の開口側の位置には、前記被着体の外縁に当接して位置決め可能な位置決め手段が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート貼付装置。
【請求項5】
前記接着シートの接着剤層は、前記基材シートの外縁に沿った所定幅を有した環状に形成され、
前記凹部の底面は、前記外周面の基端部に沿って環状に設けられる高剛性領域と、この高剛性領域よりも内部側にて当該高剛性領域よりも剛性が低い低剛性領域とを有して構成されている請求項1から請求項4のいずれかに記載のシート貼付装置。
【請求項6】
基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートが所定間隔を隔てて帯状の剥離シート上に仮着された原反を繰り出し、
繰り出した原反の剥離シートから前記接着シートを剥離し、
剥離した接着シートを押圧手段の凹部に受け入れ、この凹部の底面を前記基材シートの他方の面に当接させるとともに、この底面から立ち上がる凹部の外周面を前記接着シートの外縁に当接させた状態で、当該接着シートを被着体に押圧して貼付することを特徴とするシート貼付方法。
- 【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体に接着シートを貼付するシート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程において、被着体としての半導体ウェハ(以下、単にウェハという場合がある)の表面にダイシングテープ等の接着シートを貼付するシート貼付装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。このシート貼付装置は、円柱状のサクションローラ表面に保持した接着シートをウェハ表面に押圧しながら転動させ、接着シートにウェハを貼付させて一旦サクションローラで保持するとともに、リングフレームに対してサクションローラを転動させて接着シートをリングフレームに貼付し、この接着シートを介してウェハとリングフレームとを一体化するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−339607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシート貼付装置では、サクションローラを転動させて接着シートをウェハ表面に押圧しながら貼付するため、貼付開始位置をいくら正確に位置合せしても、接着シートが押圧力によって伸びてしまい、貼付が進むにつれてウェハの外縁からはみ出したり、ウェハからずれて貼付されてしまう等の不都合が生じる。特に、近年、ウェハ外径の大型化に伴って接着シートの面積が大きくなる傾向が顕著であり、微細な伸びが積算されることによって接着シート端部における積算伸び量が増大し、これによってウェハと接着シートとのずれが生じて貼付不良や塵の付着、搬送性の悪化、ウェハの破損など、様々な問題を招来してしまうこととなる。
【0005】
本発明の目的は、被着体に対して所定の貼付位置に正確に接着シートを貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシート貼付装置は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートが所定間隔を隔てて帯状の剥離シート上に仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記繰出手段で繰り出された原反の剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、前記剥離手段で剥離された接着シートを前記基材シートの他方の面側から押圧して被着体に貼付する押圧手段とを備え、前記押圧手段には、前記基材シートの他方の面に当接可能な底面と、この底面から立ち上がって前記接着シートの外縁に当接可能な外周面と、を有した凹部が設けられ、この凹部の底面および外周面を当接させた前記接着シートを前記被着体に押圧して貼付可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
この際、本発明のシート貼付装置では、前記凹部の底面には、前記基材シートの他方の面を吸引して保持する保持手段が設けられていることが好ましい。
さらに、本発明のシート貼付装置は、前記凹部で前記接着シートを支持した前記押圧手段と、前記被着体とを相対移動させる移動手段を備えて構成されていることが好ましい。
また、本発明のシート貼付装置では、前記凹部の外周面は、前記接着シートの外縁と同形状かつ当該接着シートの厚みよりも大きな立ち上がり寸法を有して形成され、当該接着シートを支持した状態で前記接着剤層よりも当該外周面の開口側の位置には、前記被着体の外縁に当接して位置決め可能な位置決め手段が設けられていることが好ましい。
さらに、本発明のシート貼付装置では、前記接着シートの接着剤層は、前記基材シートの外縁に沿った所定幅を有した環状に形成され、前記凹部の底面は、前記外周面の基端部に沿って環状に設けられる高剛性領域と、この高剛性領域よりも内部側にて当該高剛性領域よりも剛性が低い低剛性領域とを有して構成されていることが好ましい。
【0008】
一方、本発明のシート貼付方法は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートが所定間隔を隔てて帯状の剥離シート上に仮着された原反を繰り出し、繰り出した原反の剥離シートから前記接着シートを剥離し、剥離した接着シートを押圧手段の凹部に受け入れ、この凹部の底面を前記基材シートの他方の面に当接させるとともに、この底面から立ち上がる凹部の外周面を前記接着シートの外縁に当接させた状態で、当該接着シートを被着体に押圧して貼付することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、押圧手段の凹部に受け入れた状態の接着シートを被着体に押圧して貼付することで、接着シートが伸びようとしても、その外縁が凹部の外周面に当接することによって接着シートの伸びを拘束できることから、被着体の形状に応じて所定位置に接着シートを正確に貼付することができる。また、凹部で接着シートを受け入れることによって、貼付する際の接着シートの位置ずれを防止することもでき、これによって被着体への貼付位置をさらに正確に制御して貼付精度を高めることができる。
【0010】
この際、シート貼付装置において、凹部の底面に保持手段が設けられていれば、この保持手段で基材シートを吸引することによって、押圧手段で押圧するまでの間に接着シートがずれたり落下したりすることが防止でき、貼付位置の正確性を確保することができる。
さらに、凹部に接着シートを受け入れた状態の押圧手段と被着体とを移動手段で相対移動可能に構成すれば、剥離手段から離れた位置に被着体が支持されていても押圧手段または被着体を移動させて接着シートを貼付することができ、この移動の際にも凹部によって接着シートの移動を規制できることから、貼付位置のずれを防止することができる。
また、凹部の外周面開口側に位置決め手段が設けられていれば、この位置決め手段を被着体の外縁に当接させて位置決めすることで、凹部に受け入れた接着シートと被着体とを正確に位置決めした状態で貼付することができ、貼付精度をより一層向上させることができる。
さらに、接着シートの接着剤層が環状である場合に、この接着剤層に対応した環状の高剛性領域と、その内部側にて可撓性を有した低剛性領域とが凹部の底面に形成されていれば、高剛性領域によって接着剤層を強く被着体に押圧することができるとともに、低剛性領域が撓むことで被着体の内部側への押圧力を適宜に調節することができる。従って、例えば、被着体がその内部側(外縁部以外の部分)に電極等のバンプ(突起)を有したバンプウェハ等である場合であっても、そのバンプ部分への押圧力を適度に抑制することができ、被着体の破損を防止することができる。
- 【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係るシート貼付装置の側面図。
【図2】図1のシート貼付装置の動作説明図。
【図3】図2に続くシート貼付装置の動作説明図。
【図4】他の動作説明図。
【図5】本発明の第2実施形態に係るシート貼付装置の部分拡大図。
【図6】本発明の変形例に係るシート貼付装置の側面図。
- 【公開番号】特開2012−74476(P2012−74476A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【発明の名称】シート貼付装置および貼付方法
- 【出願番号】特願2010−217279(P2010−217279)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
- 【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
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